天井に手をつけたい、壊したい
年を取るにつれて世界が広がっていく感覚は確かにあって、
今日もずっと憧れのように思ってた世界をずいぶん身近で垣間見てしまった。
だけど、矛盾するようだが世界が縮んでいく感覚もあって、
憧れのような世界でも食っているハードルは思う以上にガンガンに高く、
現実を見据えて地べたを這うように着実に歩むしか道はないと気づかされた。
〈Eat me〉と書かれたケーキを食べると、アリスはどんどん大きくなっていき、すぐに家の天井に頭をぶつけてしまいました。
そんな気持ちだ。
僕は着実に大きくなったが、世界の手の届く場所は広がったが、
それは蜃気楼のように大きく見えていた世界が意外に小さなジオラマだったことを知ることと似ている。
ジオラマの先は見えるだろうか?
アリスの小屋は壊せるだろうか?
実は、今のところ天井に手すらついていないので、僕にはそれはわからない。
手をつけたい。
『ムーンライト』感想
なんか切ない気持ちにさせられた。
それは、LGBTQの方にとっては逆差別に感じる言い方になるかも知れないが、やはり描かれすぎた男女の恋愛ではストレートに描きがたくなってしまった感情だと思う。
男はみんなホモ・ソーシャルという意見に俺は賛成だ。
女なんて、恋愛なんて、綺麗な嘘だ。
男と男の中だけが本当であり、青春時代のそれは、何物にも変えられない。
『スタンド・バイミー』のラストのセリフ。
「あのときみたいな友だちは、きっともう2度とは出来ない。」
大いに首肯してしまう。
本作でも、シャロンとケヴィンの関係は、当初ホモ・ソーシャル的に映った。
いじめられっ子のシャロンに「強くなれよ」といい、じゃれ合うように取っ組み合いを挑むケヴィン。
階段で女とヤったハナシを「特別だぞ」と教えてくれるケヴィン。
男の世界。友情という愛情以上に純粋なことの多い思い。それを、ここで思い出した。
だけど、そこに愛情が生まれたら?
いやむしろ、友情は愛情じゃないのか?
親友と恋人2人が崖から落ちたらどちらかを助けるかという究極の選択問題。
俺は2人を選べない。
それは、愛ではないのか?
そういった気分にさせられた。
極めて純粋に抽出された気持ちは、結果「愛」としか言い様のないものになる。
芸術はそれを描くことを一つの使命としている。
それを体現した本作は、やはりアカデミーにふさわしいと言えるだろう。
「お前それ、デカルトに向かって同じこと言えんの?」と思っていたがデカルトの生涯あんまり楽しくなさそう
就活の折、よく「素直であるのが一番だよー」と言われた。
(ほんとは一回だけだったかもしれないが、「よく」に感じた)
そのたびに思ったのが、「お前それ、デカルトの前に向かって言えんの?」だ。
俺は哲学科ではない。
だから哲学は詳しくないし、間違っている知識だらけ。
それでも、デカルトが素直な人間だったはずがない。
言われたことを疑って、周りの存在を疑って、自分自身も疑って、
最終的に、我思うゆえに我あり)Ⓒデカルトにたどり着いたんだよ。
素直な人間がそこまでの賢人になれるか???
バカたれ!
お前らはオツムが足りないからすぐ洗脳されてパッパラパーになってるだけだろうが!
なぜなら読みやすいから!
そう思っていた。
すごく中学生的というか、むしろ、大卒で音楽の才能が無い尾崎豊が持ちそうな考えだが、いまだに俺が間違っているとは思わない。
ただ、今思うのは、あのとき「素直は楽だよー」と言ってくれりゃあ良かったのになということだ。
「正しくはない」が「楽」なのだ。
そして、実は、この世に、「正しい」はない。
楽に生きることは素晴らしく楽だ。
すぐに「不道徳教育講座」とか「不良のススメ」とかに目が行く
文系男子には「良い」ではなく「楽だ」ですすめて欲しい。
「良い」と言われると、「ムムッ、良いものなんかこの世にはないぞ!良いと思うお前がいるだけだ!嘘つきめ!」となるが、
「楽だ」と言われると「ほんとに楽なのか???」となる。
どちらも似たようなものに見えるが、後者はこちらの提示する価値に乗っかっている時点で大きく前進だ。
このように彼らであり<僕>に対処すれば、この世の陰惨な事件はもう少し減ると思うのだ。
Mrs.Green Apple『Mrs.Green Apple』感想
なんだかポップでこのバンドが好きっていうのは
今Radが好きって言いだすくらい恥ずかしいぞと思ったが、
どうせ今後も売れるので僕は感想をいう;
あんまりないしね。
1-Lion
9曲目、Ozとつながってるのだろうか。
実に瑞々しい青年の主張みたいな曲。
シンセのぽわぽわした音よりギターでガキっと始まるほうが勢いはつくけど、
そうじゃないのが新世代なんでしょう。
2-In the Morning
応援ソングとデカデカと書かれると「さぶいなあ」と思ってしまいがちなのは
テン年代に追いつけてないからなんでしょう。
MVのコメントにある通り、ミセスはCメロがいいなあ。
3-おもちゃの兵隊
前作『Twelve』でいうと「パブリック」的な曲。
貴方とか此のとか、表記から詩を書く立ち位置を変えてるのも私小説的なバンドが隆興した90~0年代とは違うラインだなあと思う。
もちろん筋肉少女帯とかもっと多彩な詩を書けるバンドはあるけど。
明らかに業界に順応した売れ線かつシンガーソングライターでは珍しいような気がするような気がする。
4-絶世生物
このアルバムの目玉でしょう。
こういう音の洪水みたいな曲が好きだ。
個人的な嚆矢は2番のAメロのピアノ伴奏。
アイデアが詰まってる。
5-soFt-dRink
なんか一番今までのアルバムっぽい曲。
この位置に入れたのは最適だと思う。
6-鯨の唄
蔦屋好位置がほめた曲。
ストリングスの使い方など、これが業界随一の編曲家に認められるのは
わかる。
鯨とは「とても大きいにもかかわらず、沈んでしまっているもの」のことだろう。
一番近いのは「悲しみ」だと思うが、
この”時”に抱く感情を
言葉にするには勿体無いな
「鯨の歌」
という通り、明言しないのが、音楽の効果であった。
7-うブ
結構前からあった曲。
メンヘラの曲。幅が広い。
ギンギンにEDM。
Aメロはそんなに好きじゃないけど
サビの前のメロディは好き。急にあほみたいな文章やな。
8-サママ・フェスティバル
ほらな、サママって意味ないやん。
大文字小文字取り混ぜて記述するのも意味ないねん。
この子ら、新世代やねん。感覚で生きれんねん。
地下室タイムスの主筆の人はミセスには究極的な暗さがないって言ってたけど、
どちらかといえば理屈にとらわれて悶々とするエヴァ世代っぽい弱さがない。
だから強いねん。
「こんなんセカオワやん」とか「ポップが過ぎる」とかYoutubeのコメントでは言われてたけど
そういうのも気にしない強さ。
引く。
9-Oz
オズの魔法使いの曲。
そんなに印象に残らず。
10-Just a Friend
「5 seconds of summer」とか「Busted」的な。
海外の男性バンドルみたいな曲と歌詞。
まあでもいい曲。
11-FACTORY
あんまり印象に残らず。
だが、Cメロはいる前の水の音はほかであまり聴かないし、いいな。
12-umbrella
『サママ~』と両A面。
いい曲やけど、やっぱ終盤で聞くとちょっとたるいな。
13-JOURNEY
『Lion』みたいなポップな曲。
なんかこのアルバムがコンセプトアルバムだったのかな?
と思うような枠の広い歌詞。
なにせ
どこへ行く?
なにをする?
なにがみえる?
「JOURNY」
だからな。
少し能天気すぎる気もするがやはり最後でいいと思う。
セルフタイトルということですごく力が入ったアルバムなのかなと思ったが
いい意味で力の抜けた曲が多かったような気がする。
テーマもそんなに哲学的だったり重かったりしないし。
※『おもちゃの兵隊』・『絶世生物』は除く。
次が名アルバムになる予感なので期待して待ちたい。
ニューヨークのオールナイトニッポン0終了に寄せて
2017年3月30日(木)にニューヨークのオールナイトニッポン0が終わった。
最終回は本番でも言っていたとおり話すことが無かったようで
正直そんなに面白くなかったが、1年間毎週楽しみに聴いていた。
終了を機に、印象に残った回の振り返りと終了原因の分析をしたいと思う。
印象残り回1:第一回
ニューヨークの前に終了したラブレターズに電話を掛けるくだりに「面白い!」と思いリスナーとなるきっかけとなった。
それまであまりよく知らなかったのだが、皮肉とセンスを武器にしたとがった若手の空気をムンムンにまとっていて、アルピーロスから抜け出せず芳しい反応を返さない
ラジオファンが狭量だと感じていた。
印象残り回2:女子高生にはまろう回
第一回スペシャルウィークの企画。「ちいぽぽさん」という言葉を覚えた。
ゲストもなしに最初のスペシャルウィーク大丈夫か?と思ったのだが、
ここにニューヨークのANN0の本質が表れている気がする。
その点については後述。
印象残り回3:ヤリマン2万7000円事件の回
ニューヨークのANN0の中では神回と呼ばれている回だ。
準レギュラーさらば青春の光森田と屋敷がコンパで知り合った女に
イかれ、ヤリマン良いやつ説がピンチに陥る回。
内容についてはこちら。
印象残り回4:セフレ回
正直、「WANIMAかっ」のコーナーがセフレのコーナーに変わったときは
どやねんと思ったのだが、結果としてはやはり印象に残る回となった。
岡村隆史のANNにもオカチェラーのコーナーという形で影響を与えることになったわけだし……。
このラジオのせいでディズニー映画『モアナと伝説の海』のPVに映る加藤ミリヤが「病的に痩せてんな……」と変なところに目が行くようになってしまった。
印象残り回5:キングコング西野ゲスト回
最初はノンスタ井上のスキャンダルに言及しない2人にいらだったが、
プペルの一件を「新しい詐欺の手口」と表現できる屋敷のワードセンスは
見上げたものだと上から目線で思った。
印象残り回6:新春ラジオ放談
元IVS企画ADの屋敷人脈等で集めたIVS所属のディレクター・フジテレビのディレクター・吉本の社員を交えた対談。
フジテレビDの「マジで給料下がってる」「現場は面白いテレビ作ろうって言ってるけど上はパキッとした(ある程度のニーズが見えてる=ありきたりな)番組を作れという」などのあけすけな発言が良かった。
このころは2人がなんかテレビに熱かったね。
印象残り回7:ノンスタ石田のお笑い論
紳竜の研究における紳助の講義的な面白さ、ね。
そんなにおしゃべりの面白い人だと思ってなかったんやけど、
芸の分析についてはわかりやすく、筋が通って
明快だった。
石田が究極という漫才師は中川家、千鳥など人が漫才にのるコンビ。
システムはやればやるほどからくりが見えて嫌になるんやろなー。
それでも、ジャルジャルのような新しいシステムを生み出した漫才を目にすると天才や!と俺などは思ってしまう。
そこが浅いのかね。
なんて終わったかという話
もちろん、いちばんは売れ切らんかったからです。
キングオブコント2回戦落ちは思った以上に痛かった。
M-1決勝いったらちゃうかっんかなあ。
でも、今のシステムでは頭打ち感があって決勝には行けそうもないが。
それに加えて、以下の理由があると思う。
1.はがき職人に愛されなかった
聴収率はよかったらしいけど、はがき数は少なかったんじゃないか?
マドンナ帝国とLの二枚看板状態になってたけど、
マドンナ帝国はともかく、Lはほかの番組で一切名前きかんし。
コーナーも不人気で短命に終わるものばかりだった。
俺は「WANIMAかっ」が好きだったからあれを「最近はがきの質が下がってきた」などという理由で終わらしたのは今でも失敗だったと思う。
はがきの質が悪いのはコーナーのせいじゃなく、職人が集まってないからだろう。
2.童貞に愛されなかった
やっぱ面白いハガキ職人は童貞多いのだ、たぶん。
いや、童貞に安易に媚びうるのはもはやダサいラジオやん、という意味は分かる。
そうじゃないのがニューヨークANNの良さであった。
でも、結局それが最終回の出待ちが30人そこそこだったことにもつながったよな。
現実、まだ時代は変わっていないのだ。。
第一回を女子高生にはまろう回にしたのも(結局、こんなラジオ女子高生が聴くかいという落ちありきとはいえ)そういうラジオ尖りの現れ。
セフレに目を付けたのも。
そういうラジオが今まで踏んできた後塵は排さんぞという意識が実力に追いついてなかたのかなあ。
屋敷&嶋佐
屋敷はご存知の通りめちゃめちゃ達者。
初めて知ったのはやまちゃんがつぶしたい若手5位に上げたときだが
それだけのフレーズセンス、瞬発力はすごい。
スーパー○○(EX:スーパー人間)、ウンコ○○(EX:ウンコ西野カナ(ウンコみたいにどうしようもない西野カナのこと))などはすごく真似したくなる。
でも、愛想笑いせえへんのは嶋佐。
最終回の日、岡村に「ダサいっすよ」と口火を切ったのも嶋佐だったし、
「ネタが最後につながるのはおーってなるけど面白くねえ」といったのも嶋佐だ。
どっかイってる。芸人らしさがある。
屋敷は礼儀正しく、同支社卒のええとこの子ぉ感が嶋佐と比較すると見え隠れする。
とにかく、屋敷が顔役となり、嶋佐がクレイジーさを徐々に見せるという売れ方を
今後はしていくことになるだろう。
そのときには、再びラジオをやってほしいものである。
TBS拾ったってくれー。