裸で独りぼっち

愉快な毎日の記録

M-12016決勝進出コンビの動画を見て無責任に思うことー③相席スタート

「ちょうどいいブス」というフレーズで世に飛び出した山崎ケイ(34)と

「イケメン風男子」というキャッチフレーズで世に飛び出していない山添寛(31)のコンビ。

 

山崎は、アメトーークの『イイ女の雰囲気出してる芸人』からプチブレイクをはじめ、現在もフジ『超ハマる!爆笑キャラパレード』などで、露出しています。

 

準々決勝のネタが馬鹿みたいにウケており、出色の出来と2ちゃんなどでも評判だった気がします。

gyao.yahoo.co.jp

 

この漫才のストロングポイントは大きく2点あると僕は思います。

1つは、2ストライク3ボールというこの上ないクライマックスのタイミングで、最初にさんざん振っておいたフレーズ「振ってもうた~」が出されるという、構成の妙

1ストライク→モデルで気遣いもできる超いい女

2ストライク→可愛くて話も合うが元カレのタトゥーが入った女

1ボール→自称佐藤しおり似のぽっちゃりブス

2ボール→結婚願望アピールがすごい女

3ボール→可愛いが彼氏もちの女

 

ときて、「可愛くはないが、妙にエロく見える」「振ってもうた~」の女がこの上ないタイミングでやってきます。

 

忘れかけていたフレーズを、この上ないタイミングで上手に使う、というのは、明石家さんまをはじめ言語感覚にたけたお笑いプレーヤーが良く使う手法です。

おそらく、人間には忘れていた存在を再び直視させられると快感を感じる本能があるのではないでしょうか。

「いないいないばあ」しかり、「ウォーリーを探せ」しかり。

あるいは、狩りや採集の時代、見失いかけた獲物・収穫物を再確認したときの喜びが根付いているのかもしれません。

 

とにかく、この人間の本能に根差した笑いの取り方を、漫才というパッケージに乗せて完璧に再現したわけです。

その結果、あれだけの拍手笑いが起きるのも納得です。

 

さらにうまいのが、

「さぁ~山添選手今日は女の子を何としても家に連れて帰りたい」

「うまいこというなあ!」

(動画の3:20-)

 のくだり、野球の再現に入って以降、一貫してボケだった山添が、ここでは一瞬ツッコミに戻っています。

ここでいったん流れを切っておいて、

「ピッチャー、投げました」

「よーし!」

「可愛くは、ない…(略)」

 (動画の3:25-)

 の流れに持ってくることで、それまでの流れから分離させてよりクライマックスが際立つ構成なのです。

おそらく、このネタは決勝でも披露されるでしょうし、このクライマックスでの会場ウケは、まず約束されたものだと思います。

 

さて、2つ目のストロングポイントは、山添もボケに回るネタだということです。

動画を見れば一目瞭然なのですが、観客の笑いがはじけるのは、山崎の説明ではなく、ヒーローインタビューにおける山添のコメントや演技なのです。

山添「でも、振るってことで意思表示はできたんで、ういっす、ういっす」

(動画の1:44-)

山添「いや、途中でコースが変わりましたね」

(動画の2:03-)

山崎「いやー危険球でしたねえ」

(山添幹事をにらむ)

(動画の2:47-)

 特にこのあたりでは噴出したような大笑いが響いていました。

 

・美人には手を出せなかったけど、意思表示できたらまあいいかと言い訳している

・女に好感を抱いていたが、タトゥーに引いた

・ブスを連れてきた幹事にきれている

 

いずれもこのような複雑な感情が、山添の演技力と山崎の「いかにもいそうな」女の描写の力で、読み取れます。

単なるいるいるネタではなく、それに対しての感情描写という域にまで踏み込んだ、ゴージャスともいうべきネタの練りっぷりが感じられます。

やはり、このネタは完成度が高く、素晴らしいものです。

3回戦のネタは山添が完全にボケに回ったもので、「だと思った」というフレーズを色々な場面で再現するというものでした。

この準優勝のネタはそれにいつもの山崎のいるいる女描写と、フレーズの温存を加え、完成度を抜群に高めたものだといえるでしょう。

 

ここまで、相席スタートの準決勝のネタの完成度をほめちぎったわけですが、それでも僕はどうしてもこのコンビが決勝の3組に残る、ましてや優勝する絵は見えません。

なぜなら、このネタのストライクが、「20代~で恋愛あるあるに大きくうなづける男女だけ」だからです。今年の審査員が昨年のように歴代m-1王者であれ、0年代m-1のように松本人志オール巨人などの大御所であれ、ストライクにはほど遠い。

もちろん、審査員はみなプロの漫才師である以上ネタの完成度を見抜きそこだけを取り出して評価する力はあるでしょう。

しかし、まったく同じ完成度だった場合は、やはり己のストライクが優先されると思います。

全国3503組の中から選ばれた他7組と、完成度の面でそれほどの差をつけられるとは考え難いかなと…。

また、オチ前の「球さばき」のくだりなど、下ネタがあること。

今年のKOCでだーりんずの「童貞」というフレーズが頻発するネタが、やはり会場に受け入れられていませんでした。

茶の間が受け入れることのできる下ネタはうんこ・しっこまでで、少しでも性のにおいを感じさせるフレーズはきついんだろうなあと思います。

 

とはいえ、波乱が起きるのが賞レースの常。

このネタが相席スタート勝負球であり、全国大会で披露するにふさわしい出来であることには、間違いないでしょう。