『パージ』ネタバレ感想
一言でいうとアメリカ人の山田悠介が考えたんかな?ていう話だった。
設定めちゃ外連味あっておもろい。
話の展開消化不良。
以下、おおまかなあらすじ。
殺人を含むすべての犯罪が年に12時間だけ合法化されるパージ。
その当日、セキュリティ会社に勤めるジェイコブは青い花を持って帰宅する。
それはパージに協力するという証。
それを玄関に飾って自社のセキュリティシステムを作動させておけば、一夜がすぎるのを安全な我が家にこもって待つだけのはずだった。
しかし、息子のチャーリーが助けを求める黒人の男をかくまったことから、一家は恐怖におびえる夜を過ごすことになる――。
映画のポイント①抜群に面白そうな設定
映画のポイント②息子が腹立つ&親父が有能、なのに…。
映画のポイント③テーマに引きずられてる
上記3つについて詳しく述べたい。
ポイント①抜群に面白そうな設定
設定はすごく面白そう。
全国の佐藤さんが殺されるとか、クラスの誰を殺すのか投票で決めるとか、そういうたぐいの発明。
ティーン大喜び。
話の展開はいくらでも考えられる。
例えば今回のように「完璧だと思っていた金持ちの家の牙城が崩されて戦う」とか、あるいは「貧乏人が狙われるあまり蠱毒のような状態が発生して最強のホームレスが生まれそいつとパージ支持民が戦う」とか。
また、こういう設定勝ちの作品では矛盾がわんさか出てくるもんですが、意外とそこへの気遣いはある方だと思った。
・玄関に青い花を飾ればパージに賛成しているという印
→「家閉じこもっても放火されたら終わりやん」というツッコミ対策
・パージは経済的な面でも国を良くしてきたというテレビを映すシークエンス
→「パージ貧乏人大損の法律やん。どこが国にとって良いねん」という指摘対策。まあ、どうやって法案が通ったのかという疑問はあるけど、富を独占したい金持ちが賄賂を出して……みたいな脳内補完は可能。んで、世の中を動かしてるのはセキュリティが出来るアッパーミドル以上だから、国はめちゃくちゃにならないのかなー。
とはいえ、以下のようなツッコミどころはあるが。
・なんで娘の彼氏忍び込めてん。そんなんできたらそれこそかくまったホームレスみたいなやつが略奪し放題隠れ放題やんか。
・パージ後の死体処理でめちゃくちゃ金がかかりそう。
・やっぱり貧乏人が存在するから金持ちが存在できるわけで……。やっぱおかしいな。なんじゃこの法律。
ポイント②息子が腹立つ&親父が有能なのに
息子のチャーリーがめちゃくちゃ腹立つ。
これはYahoo!映画等でもたくさん指摘されている。
どうして腹立つかというと、無能なのに正義感だけはあり常に事態を悪化させるからだ。
戦犯チャーリーの7つ大罪
①ホームレスを許可なく勝手に家にいれた。
②ホームレスを家に入れてからもかくまおうとした。
③パージ賛成派が家を取り囲んで家族を皆殺しにするって言ってるのに対策も考えずホームレスを守ることばかり主張する
④そのくせ家族がエドウィンをとらえて突き出そうとしているときは止めようとせず口で止めるだけ。
⑤銃をすぐ取られる。
⑥赤外線カメラで周りを探れる改造ラジコンを持っているのにパージ賛成派が押し入ってからは使いもしない。
⑦なぜかラストドヤ顔で遠くを見る(お前のせいで親父が死んだんだぞ!)。
さらに腹立つのが初めはめちゃくちゃ有能の空気を漂わせていたことだ。
ガジェットに詳しく隠れ場所を知っている無口な息子。姉はバカ彼氏とイチャイチャしてばかりの明らかな殺され要員(殺されんけど)。
そうなれば、チャーリーが家族を救うとみんな思うはずだ。
だのに、なあ。。。
一方親父のジェイコブ、この作品の主役?はめちゃくちゃ有能だ。
絶対に取り乱したりしない。
娘の彼氏に殺されかけても、息子が家族を危険にさらしても、妻がすぐふらふらどっかに行っても常に冷静に「落ち着くんだ…!」といえるのはすごい。
しかも強い。侵入してきたパージ推進派をガンガン殺す。
それなのに、あっさり敵の親玉に殺される。
二人係で斧を持った敵を銃一丁で全滅させたのに、「よっし一丁上がりだ」と角を曲がりかけたところで腹をぶっ刺される。
敵の親玉(名前最後までわからん)は「なぜ君が弱者を生かすことにしたのか、理解に苦しむよ……」と美学ある敵っぽいセリフを吐いて去る。
とまあ、有能っぽいチャーリーが頭にくるほどの無能だったり、有能覚醒親父のジェイコブがあっさり死んだりする。
イコール脚本家はお約束をあえて外しに来てる。
でも……なんでだ??
「生かされたホームレスがジェイコブの代わりに助けにくる」というお約束は外してこなかったし。
なんでほかの気持ち良いところだけ外したんだよ!
せっかくの設定なのだから、観客の気持ち良いを優先してほしかったぜー。
映画のポイント③テーマに引きずられてる
気持ち良いところを外してきた理由をあえて類推するなら、
観客に理不尽を味わわせること自体がテーマと密接に結びついているからだ。
テーマは「人間の悪意」。
・パージ推進派のホームレスをいたぶって殺す相手としか考えない思考。
・パージ推進派を殺してくれる救世主が来た!と思いきや近所の嫉妬民で、この騒ぎに乗じていい暮らしをする主人公一家を殺しにきただけ、という展開。
・そして、世の秩序のため人間の悪意(野生)を一日だけ開放するというパージという法律。
人間は理不尽で、法が許せば悪意を向ける。まともな法律のある秩序だった日常ありがとう…!
と思わせてくれた。
でも、そんなん知ってるしな。
それに矛盾するようだけど、普通に気持ちいいところを抑えていても表現できたと思う。
それでもテーマのために制作陣は気持ち良さを犠牲にしたのかもしれないが。
以上。