遅刻の爽快感について
今日会社に遅刻した。
会社員生活で、初のことである。
目覚めた時間は9時6分。
定時を割っていたので焦る余地もない。
冬の魚類のような顔で身支度をし、弁当を手にし、定期入れとスマホと財布を手に家を出て、駅に向かうだけであった。
駅までは歩いて15分。
当然走りはしない。
ベージュの空の下、広くもない歩幅で、朝の散歩をする老人らと共に、駅へ向かった。
ラッシュ時をすぎた駅はそれでも空いているわけではなく、俺と同じように遅刻したやつやこれから訪問へ向かう営業マンらしき人たちで溢れていた。
そのとき、俺は、気持ちよくなってしまった。
ここから怒涛の官能展開になるわけではない。
ああー、「世間が動き出してる中ズレてるって気持ちいいなぁー」と思ったのだ!
久々の遅刻感覚がこんなに良いものだとは。
クセになってしまいそうだ。
悪い予感が止まらない。
もちろんこんな話、選択的にフリーターをしている人やフリーランス、自営業の人からすればとんだ小市民の独白だろうが、なんせ爽快感があった。
それは、たまにだから味わえるものだろう、きっと。そうなると鎖があるからこその自由時間の楽しみ。自由に足を踏み出して歩きまわれるうれしさとも表現できる。
これをちょくちょく社会的に損しない形で味わう方法はないだろうか?