裸で独りぼっち

マジの日記

いつか言いたい『Char 視線』―はだかになるだけがおまえのとりえさ

はだかになるだけがおまえのとりえさ

 Charというミュージシャンがいる。

ギターの名手として有名で、自身で歌唱、作詞、作曲などもこなすマルチプレーヤーだ。

有名ナンバーとしては『smorky』や『気絶するほど悩ましい』があげられるだろうか。

 

 

 

ともかく、そのうち『Smorky』と同じく『Char』の名を冠したセルフタイトルアルバムのうちの一曲、『視線』を俺は世間に広く紹介したいのだ。

 

 

タイトな演奏力が光るアルバムの中で比較的ゆるいムードを醸すこの曲の唄いだしの歌詞はこうである。

 

 おまえはいつだって ねむってるときだって

オレの視線を 気にしてるんだろう

 

 なんて自意識過剰な奴だ。

だが、この次こそがパンチラインである。

 

裸になるだけが 女じゃないのに

 

ここから軽快なフレーズがかき鳴らされる。オーイエー。

これが、2017年に発売されたと考えてほしい。

フェミニストが怒り狂って抗議の電話をいれるのではないか。

 

だが、ご機嫌なCharは手加減などしない。

 

細腕にナイフじゃ 虫も殺せやしない

ましてこのオレには ハモノは役立たず

 強い・・・!

いろんな意味で強い。

強烈な男性性である。

こんなセリフを堂々と言えるのは範馬裕次郎か冴羽獠くらいではないか。

 

そして、最後の歌詞でボルテージは最高に達する。

 

裸になるだけが お前のとりえさ

 

……結局それだけがとりえなんかい!

思わずそう突っ込んでしまうが、それほど嫌な気持ちはしない。

自慢じゃないが、俺は相当男女平等を原則として考えているタイプのリベラル人間である。

それにもかかわらず、これほど男尊女卑的な歌詞を全く不快におもわないどころかちょっと憧れさえする。

 

いったいこれはどうしてだろう?

 

その答えは、この曲から想起される圧倒的な洒落たイメージにあるかもしれない。

この曲のMAD動画を作るなら、俺は迷わずルパン三世の名場面をリミックスするね。

ルパンと不二子の洒落た(オシャレなではなく洒落たというところがミソだ)関係に思いをついはせてしまう。

 

……この曲とは違い、圧倒的にルパン<不二子のバランスではあるが。

 

とにかくその洒落た関係をベースにこの歌詞を味わうと、この曲にある視線というのが男→女への見下し、というよりは、圧倒的な慈しみを感じさせるのだ。

 

裸になるだけが おまえのとりえさ

 は「月がきれいですね」とは全く逆ベクトルながら全く同じ距離感で「I love you」を表現しているのである。

 

いつか言いたいセリフである。

 

 

Char