裸で独りぼっち

愉快な毎日の記録

【M-1グランプリ2017】3回戦動画感想_準決勝進出コンビ(大阪)

見取り図「授業参観」

「シャクい彼女紹介される」ネタでおなじみの見取り図。

毎年おんなじネタのイメージがあったが、今年は新作。

盛山の甲高い鼻声から繰り出されるツッコミが特徴か。

ネタは参観日で息子がぼけ、実況ツッコミを親父が行うという漫才コント。

「いじめ殺されるぞ」とか「童貞」とかTV的にはややデンジャーなワードは本番では丸められるのだろうか。

盛山「ヤーバパパいうたよなあ」

リリー「いうてない」

盛山「私が言いましたすいません」

このツッコミがボケに侵食する部分で爆笑がとれたのが審査に大きく影響したのではないか。

 

大自然無人島に漂流」

「1人で2役も演じきれないんで、辞めました」

 ボケが1人何役もする漫才コントが今年は目立った気がする。スーパーマラドーナが昨年残した爪痕をたどったコンビが多いのだろうか。例えばコマンダンテとかトットとか。なぜかちょっと上品な漫才師に多かったなあ。

2人が無人島に漂流した…と思いきや何役も出てくるというこの設定。何役も演じきれないという言葉は、複数役を使いこなすコントが多かったからこそ、メタ的ではあるがそれでも確かに審査員の評価を上げたのではないだろうか。

 

セルライトスパ「レンタカー屋さん」

B型プリントのTシャツの主張よ……!

防犯ぶさーをかき消すあらびき芸でおなじみのセルライトスパ

【あらびき団】セルライトスパの 防犯ブザーをかき消すのGIF画像 created by aron_aliquam

レンタカーというやられてそうでそこまでない設定や大須賀のほんわかするボケが良い。

「なんで リンゴ狩りに行くと思てん」

 最終的にちょっとバイオレンスなボケを入れたのは「悪手かな」と思ったけど悲鳴も上がらず乗り越えられた。ていうかKOCのしずるみたいな悲劇はM-1ではないんやね。やっぱりコントの方が入り込んでしまうのかね。

 

さや香「歌のお兄さんになりたい」

新しい波24』で1軍(霜降り明星フースーヤなど)ほどはねてはないけどそれなりの存在感を示した「さや香」。

ここでは「強い気持ち」ネタではなく、別のネタで攻めてきた。

形式はいわゆる「極端な無知系」。ダイアンの「寿司」とか「サンタクロース」とかが代表的。クリームリスナーなら「はんぱねぇ質問」を思い出すと思う。

今回は歌のお兄さんを知らない石井に歌のお兄さんを教えるという展開だったのだが、それに対しいちいち新鮮な反応を示して喜ぶという「幼児の視点の再発見」という面白さの提示が「極端な無知」に+α以上の価値を与えていた。

「この手を上に~」

「おもんな!」

 のはずしのタイミングやその後の動きも見事。拍手笑いが起きていた。

 

ミキ「前後入れ替え」

ABC新人お笑いコンクールくらいから急速に露出を増やしてきたミキ。

兄昂生のわめきツッコミが持ち味。

で、その持ち味を最大限に生かすため、逆ハライチともいえる手法を今回は発明してきた。

スープカレー」を「カレースープ」と呼ぶ亜生。昂生その2つは全然違うと指摘してもピンとこない。そこで、様々な例を出して説得しようとするが……。

動画を見ればわかるが、昂生は自分で振って自分でノッて自分でツッコんでいる。亜生は「ようわからへん」というだけだ。

正直この掛け合いのなさが「ダースベイダー」などの代表ネタと比べてものたりなさはあったが、新しいやり方をパワフルに主張してきたという点ではやはり審査員も上に上げざるを得なかったのであろう。

 

天竺鼠自由形

センスがありすぎて売れ切らない芸人天竺鼠(川原)。

「押したからこうなったやないか、押されなかったらこうならなかったのに」

 かつてM-1でも披露したおなじみのくだりも披露しつつ、より自由なボケを取り混ぜたリミックス版となっている。

オーソドックスなボケツッコミのスタイルだが、それゆえに強い。

M-1という舞台で、この自由形の俺らの漫才は」

 ボケの振りとしてこのフレーズを使える当たり、まだまだセンスが古びていないということを客も演者も共有できているということで、なんとまあ。

こりゃ強い。

かまいたち「心理テスト」

KOCとM-1、全体未聞の連覇が全然ありうる総合力最強芸人のかまいたち

バキでいうとバキぐらいパワーもスピードもある。

「これで何がわかんの?」

心理テストに対して不自然なほどの「正解」を出す山内。それに対し濱家は「絶対答え知ってるやろ」と疑いながらも問題を出す。

かまいたちの漫才の一番面白い部分の核には「ごまかし」がある。

昨年準決勝で披露した「UFJUSJ」の間違いをごまかすために延々と粘るネタや3回戦で披露した「タトゥー入れろ」のネタもそうである。

バレバレのごまかしを屁理屈をこねて主張する人間(ボケ)とそれにうんざりしつつもちゃんとツッコむ人間(ボケ)。結構こういう場面は日常でもありうるので、無理してボケてる感がなく、飲み込みやすい。

ネタの粒ぞろい間でいえば大会随一なので決勝に行ったらきっと3位以内にははいるであろう。

 

アインシュタイン「オラオラな男」

ケンコバのやってるラジオ「TENGA茶屋」のアシスタントで、顔面最終兵器稲田を擁するアインシュタイン

「S・U・U・K・Y・A・D・E、すっ・きゃ・で」

稲田は結構おらついた男とかいきった男のキャラを演じることが多い。見た目とのギャップを狙って、だろうか。また、今回はオラオラ系ながら彼女にメロメロな男というキャラにすることで、時代の流行である「人を傷つけない笑い」になっている。そのあたりのクレバーな計算ができるのがブサイク芸人ではなく漫才師として評価を集めていることや裏腹にタレント的な売り出し方をされにくいことの原因かもしらんなあ。

ジャルジャル「決めポーズ」

「はいどうも、ジャルジャルで~す」

ジャルジャルの新しいシステム漫才。きっちり新しいものを作る、という観点で構築されていながら、しっかりくだらないのがまさにちゃんとしすぎてないという意味で完璧だ。

ジャルジャルは「自分たちの素は面白くない」「普通」と認めているので、どうしても漫才もコント「漫才師」となる。そのあたりの欺瞞が鼻につきそうで今回はつかなかった。まあ漫才師としての彼らをすっかり見慣れたせいかも。

一昨年の決勝は2本ともシステムが同じだったことが最終的に足を引っ張ったので、今年は別のネタを用意できてるかが勝負所になるやろなあ。去年の敗者復活でやってた唇ブルブルはおもろいけどきっと駄目だと思う。

霜降り明星「宇宙人」

はい、若手ナンバーワン。

ハイスクール漫才ですでに高い評価を得ていたこととか粗品せいやを待ったエピソードとかべしゃり暮らしを地で行く感じがそう感じさせんねやろな。

主人公感というか。

結構前からあるネタよくやってるネタだけど、何度もやることでブラッシュアップされて新たな要素が組み合わさっているようだ。ユーキャンのくだりとか。

「こいついるかいらんか上でもモメとる」

 絶対ウケるここを最後にもってきてきっちり拍手笑いをもぎ取る構成の妙はさすが。

 

とろサーモン「飴と鞭」

「お前を迫害してやろうか」

 昨年あたりがピークだった「もうええわ」崩しブームの先駆けだったこともあり漫才界の裏エースであり、毎年の優勝候補感がエグイとろサーモン

今回は久保田が1人何役をこなすタイプのネタなわけだが、自分たちに期待されているものを完璧に把握したそこはかとないクズ・アングラ感がたまらない。

引用したようなセリフがまさにちょうどいい塩梅でニヤリとさせてくれるのだ。

久保田はラップで、村田は役者でかなり飛躍したにもかかわらず漫才にここまで力注げるとは。実はちゃんとした人たちなんじゃないかと思ってしまうほどである。

スーパーマラドーナ「はじめてのSMクラブ

結構「営業ネタかな」と思うくらいわかりやすいボケが多い。

「おだまりッ」(鞭を叩く)

「小田真理(オダマリ)さんですか」

 とか。

「将来の夢は?」

「それは、お嫁さんだけど」

「冷めるゆうねん」

 

とか。

お笑いファンは認めなさそう。

でも「動きで見せるボケ」「言葉のボケ」「キャラのボケ」と何せボケが多彩で隙がないから審査員としては点付けたくなってまうんやろなあ。

 

からし蓮根「転校生」

すごいセンスある薩摩初のスーパールーキー。

特に変なこととか革新的なことはやってないけど(薩摩弁ツッコミは新しい)とにかくセンスが良い。

「ぜんぶ涙腺にもどした」

 「人間と遊んだことない?」

 「クソげーやん」

 フレーズとか発想として「あ、これが120点」と思ってしまうものばかりだ。

これがいわゆる努力では身に付かない「お笑い能力」なのだろうなと素直に感心してしまう。決勝に行ってほしい。