R-1ぐらんぷり 2018 感想 ―個別のネタについて(Aブロック)
Aブロック1組目: ルシファー吉岡
ネタ:「ムスコの性癖」
キャッチコピー:円熟のコント男優
…3年連続決勝進出。コメントはナイツ。なぜか「ナベプロなのに下ネタが許される異色の芸人」というイメージだったが、マセキだったのか。
…泥くせえ。
今回、あまり点数が伸びず、トップ出番のあおりをもろに受けることとなっていた。
しかし、1評は惜しいというくらいやはり技術は秀逸
「あの~、そのままTV見ながらでいいんだけど、お父さんちょっと気になることがあって……」
この導入、
①話し手がお父さんで相手が息子だということ
②なにやら息子がやらかしたということ
③何気ない日常の1コマを描いたコントだということ
以上の3つ(状況設定・登場人物・関係性)が開始5秒でわかる完璧な導入なのだ。
結果:4位(ヒロミ1)
Aブロック2組目: カニササレアヤコ
ネタ:「雅な気持ちにさせるものまね・ショートコント」
キャッチコピー:雅なるダークホース
…普段はロボットの研究をしている会社員という濱田祐太朗がいなければ確実にただ1人の台風の目だったであろうフリー芸人さん。事務所はまだ決まっていないらしい。かわいくもなく、ぶさいくでもなく、昨今の女芸人でいうと『おもしろ荘』や『新しい波24』に出ていた吉住っぽい。と、こんな風に見た目の評論から入ってしまうのが女芸人をフラットに見れない俺の偏見を表している。
ネタは平安時代風の格好で笙を鳴らしつつ、あるある・ショートコントを詰め込むというもの。
Pepper「決勝なんてすごいじゃないですか、絶対優勝してくださいね」
カニササレ「頑張ります!」
あおりVのこのくだりがくだらなくて嫌いだった。
そういえば『AI-TV』の「メンバー入れ替えオーディション」でもPepperがしゃべる店舗遅くて滑っていた。
Pepperがウケるのは今田耕司の話に出てきたときだけである。
冒頭で見限ってしまったからか、俺はネタも正直あんまりだった。
演技力とか表現力がないのを突飛な世界観でごまかしてないか?と。
世界観を作りこみ過ぎた結果、狭すぎる世界ができていた。
ようは「なんやそれ、わからんわw」ですよね。あえてオタク的ディスコミュニケーションを演じる笑いというか。そういう点ではBブロックでチョコレートプラネット長田が行ったジェットコースターのネタに近いのかもしれない。
ただ、そこでツッコミ(とまどい)ではなくボケ(ディスコミュニケーション)を演じているので、こっちのツッコミに面白さをゆだねてしまっているというか。
なんだかなあ。
でもお笑いファンの間ではその異物感をもって評価する向きもあって、俺はそれは客席向いてないよな、と思うので反対です。
変ホ調長よりダメでした。
結果:3位(ヒロミ1 桂文枝1 お茶の間1)
Aブロック3組目: おいでやす小田
ネタ:「ホテルマン」
キャッチコピー:はじけろ! 怒りのボルテージ
…昨年までの自分に負けた。セットが無駄に豪華なのもらしくないというか、テーブルがあれば表現できるだけの力がおいでやすにはあるのだからその方が良かったのではないか?
「わかるやろーー! いちいちかけてくんな、忙しい! 赤青、日本中探して一個でも逆のとこあんのか!」
これが第一声だったことで、「豊田真由子a.k.a.違うだろー!議員の音声ってめっちゃ面白いよなあ…」ていうところから発想が出たのかなと想像が刺激された。
最初から「アホな客VSホテルマン」という構図がわかり切ってるからしり上がりにならないんだよなあ。
なんなら机をバンバンたたく流れから急にリズムネタになるくらいの意外性が欲しかった。
とはいえ、表現力が高いのは言うまでもなく、さすがプロではある。
そういえば一応霜降り明星だけでなく、「おいでやすレトリィバア」もコンビで決勝進出といえるよな。
Aブロック4組目: おぐ
ネタ:「ハゲの名は~女子高生サイド~」
キャッチコピー:輝く!うすい彗星
SMAの刺客、ロビンフットおぐ。曲を流すことで構造(おじさんと女子高生が入れ替わった)が全部説明できちゃうんだから、『君の名は』はやっぱ近年まれにみる大ヒットコンテンツで、ラッドは爆売れアーティストだなあ。
ハゲ自虐をコント内ディスで成立させ、客の同情的共感を得るという手法。
ただ、自虐がちょっと雑過ぎたんじゃないの~という不満はある。
「ハゲなのに、一階に住んでない!」
「(ハゲの横通るとき)一応、財布も押さえてた」
ハゲに貧乏イメージとか盗人イメージあるかね? いまや孫正義とかトレンディエンジェル斉藤さんがハゲ界の有名人である以上、それは成立しないんじゃないの? 雑では?
「マジ卍」とかもいかにもおじさんが考えたJKっぽくて 使ってほしくなかった。いや、ほんとにJKは使うかもしれないけど、そこ使っとこうというのは安易だなあと。なんかお人よしそうなJKだし、おじさん差別とか卍発言がキャラと合わないのよね~。
後から出てきた見た目もそういう軍に属する感じゃなかったし。。
とはいえ、圧倒的にポップだったから勝ち上がりは納得です。
結果:1位(ヒロミ2 久本雅美1 陣内智則3 お茶の間3 関根勤2)
→勝ち上がり
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というわけで、Aブロックは個人的には全然笑いませんでした。
面白いところもたくさんあったけど日本で12本の指に入るかというと、漫才や複数人のコントに対抗できるかというと、それはない、と断言できます。
つぎのBブロックからは、やや盛り上がりを見せます。
Aブロック個人的順位