20180913 #1
ブロック崩しのように毎日は消費されていく。
休む間もなく次々に試練は積みあがっていき、そのくせ長い棒はいつまでたっても手に入らないのもまた写し絵のよう。
最近太ってきた。腹の肉はタイヤを巻き付けたようにぶよぶよと私の人差し指を押し返す。
波は圧しては返す。
海浜に突然現れたエイリアンが父母を奪って去って行ったので私はとんと憤慨し、彼らを追い立てて家族を取り返すことにする。
私にとって幸いだったのは、実家の庭にヤシの木が3本も自生していたことだ。
これで筏を作ることができる。
私の家の大黒柱を中心として半径200メートルには砂浜が広がっていて、そこから先は塩辛い海がただ続いているだけ。
海を越えるには、筏を作らなければならない。とはいえ、とびきり大きなものでなくても良い。私とセクスの乗り込めるスペースがあればそれでいい。
☆
セクスは人間の大人ほども大きなダルメシアンである。その巨躯は、エイリアンを引き裂いたり圧し潰したりするのにきっと役に立つだろう。そのときの活躍の前払いとして、私はセクスのおでこをゆっくりと撫でてやる。
セクスはくうん、と鳴く。1キロくらい、遠くにまで響く。
☆
そうこう言っているうちに筏が完成した。荷造りを終えた私は太ももまで上がってきた海水をちゃぷちゃぷいわせながら何とか、筏に上体を預けてへばりつき、次いで右脚の屈折する部分を折り曲げて体重を乗せ、筏に乗り込んだ。
セクスはわん、と軽やかに飛び乗った。
まったく、翼が生えてるんじゃないかしら。
にわかに突風が巻き起こり、筏は前に進みだす。始まった?