裸で独りぼっち

マジの日記

『パリ、嘘つきな恋』感想 定石おしゃれフランスラブコメ ※ネタバレ

Filmarks

こういうおしゃれな海外ラブコメは大好物なのでつまらないと思うわけがないと思い、足を運んだ。
結果として期待通りでありまた期待以上に社会派なテーマが織り込まれた作品だったなと思う。まあ、自分が欧米圏のセレブを見てハイソでおしゃれな気分を味わうのが好きなだけじゃないの。。という気もするのだが。

予告だけ見た段階では嘘一つついてしまい振り回されていく男。。。という物語だと思ったのだけれど、冒頭から主人公ジョスランは相当なクズの嘘つきだということが示される。税関でも町でも嘘をつきまくり。その流れで巨乳でホットパンツのチャンネエにひかれてつい自分は車いす生活だと嘘をつく。
で、その姉フロランスを紹介される。
そっからは期待通りのバレるやバレないやの恋愛コメディだ。
とはいえ、結構障害というところの描き方にがっつり挑んでやろうという部分もあったのだろうと伺われた。

障碍者テニスの試合を見に行ったジョスランは隣の男に「いろんな人が見に来ているな」と一言。すると男は「俺は耳が聞こえにくいんだ」と返す。

これはある種下種というか、物語に過剰に意味を持たせようとする人間の勘繰りに思われてしまいそうで、また確証もないので書きづらいのだが、作中で明言されていないもののジョスランの秘書マリーは発達障害スペクトラムなのではないかと思った。
一方的な話し方とか、中華屋でのついつい行き過ぎた障害者ジョークとか。とはいえそういう愛すべきキャラというだけかもしれないし医者でもない人間が何をも判断できることではないのだが。
とはいえ「みんな立ち上がろう」というキャッチフレーズとともに黒人が駆け出すジョスランの会社のポスターをフロレンス曰く「古いわ」と一蹴し、「僕はトップを走る」というアジア人車いす走者の写真に挿げ替えるあたり、この作品の作り手がかなり現状のポリコレを批評的な目で見てそれらを更新するような作品を作ろうとしていることには間違いないのだ。

画作りも素晴らしく、特にプールでの一夜を終えたジョスランとフロレンスの寝姿を上空からとらえた画、車いすに乗せられてジョスランがマラソンのゴールまで運ばれる画は素晴らしかった。どうやってそんな体制になったんだとか、なんでジョスランそんなギリギリで力尽きるんだとかフロレンスマラソンに乱入するなとかいろいろ疑問は浮かぶが。。

とにかくかなり楽しめた。

強いているなら他人の葬式にうっかり混じってしまうとか別にキャラにもあってないギャグが最初散見されてちょっと不安になったのと音楽の使い方が若干ベタというかそこはない方がいいかなという部分が多かったくらいである。

『パリ、嘘つきな恋』というタイトルがジョスランだけでなくフロレンスにもかかっているのもベタながら良かった。

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 結構べた褒めである。

なんというかまあこういった類の作品は基本的に外れがない気がする。

多分監督が作家性とかを出さずにあくまでエンターテイメントとして作品を作ってくれるからだろうな。あとテーマが単純に王道で話を作りやすいし定石の演出手法も多分にある。

 

似たような分野で最近見たものだと『マダムのおかしな晩餐会』とか『セラヴィ』とか。

どちらもおもろかった。

払った金返せ!と思うことがない。冒険もないけど。

それでいい。