裸で独りぼっち

マジの日記

凪待ち 石巻堕ちもの香取慎吾映画 ※ネタバレ 

Filmarks

アフター6ジャンクションの評を聞いて見たくなり、TOHOシネマズ六本木に足を運んだ。
『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』など白石監督作品がいずれも楽しめたという理由もある。

結果としては『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』には及ばないものの楽しめた。作品としての完成度が上記二作に劣るわけではなく、ダウナーななかにほのかな希望がみえ……る?というような『凪待ち』の淡い作風が邪悪もしくは悲壮ながらアッパーだった全2作よりも俺の好みに合わなかったというだけの話である。

仕事仲間をかばって印刷工場を辞めることになった香取慎吾演じる木野本郁男は競輪中毒。その生活を脱却すべく、仕事を頼って娘つきの内縁の妻―昆野亜弓(西田尚美)―の実家である石野巻に引っ越すことになり――。

つい半年前まで宮城県に住んでおり、2016年には石巻も訪れた。だいぶ復興してきている場所(女川の駅周辺とか)はあるものの、やはり海沿いには更地が目立つ。そこで物語が紡がれる物語というだけで、どんなものか気にはなる。

さて、見た人ならわかる通りとにかく香取慎吾がギャンブル依存というかたちで心の弱さをさらけだし、もう底を打ったかと思えばもう一つどん底をさらし、と玉ねぎ式に傷つきつつ転がり落ちていくのが本作のハイライトである。おい、まさかその金は、やめてやめて!と観客が思うも無情にも画面はぐーっと傾いていく。
その堕ちる感、裏切られ感はほかの二作では得られず、また主人公に強く感情移入していたからこそ抱くことができた思いだった。

作品で疑問に感じたのは無理にサスペンス要素を盛り込んだことと、郁男が喧嘩強いか弱いかわからないところw。サスペンスについてはさすがにそれくらいのヒキ要素を含めないと興行的に失敗すると考えたのだと思われる。喧嘩については実際にやってないから何とも。

 俺は大学入るくらいまで役者という職業を差別していた。

脚本家の書いた筋書きに乗っ取って役を演ずるだけやろ? 楽勝やんけと思っていたのだ。

流石に映画をそこそこ見るようになり、一個一個のモノ作りに何十人南百人のパワーと怨霊が込められていることを知った後は、役者のすごさを徐々に思い知りだすわけだが。

今作は役者が非常に魅力的だし役者を見に来たといっても過言ではない映画だった。

いっぱしの映画通気取りかよと思うがそれが感想の結論だ。

 

ãåªå¾ã¡ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ