歌ネタ王2019感想
MBSが毎年やっている歌ネタ王。
300万という微妙な賞金はどこから算出されたのか、「歌ネタ王」ではなく「音ネタ王」のほうが座りがいいんじゃないのか、様々な疑問を内包しつつも今年で7年目。
歴代王者は以下の通り。
第1回(2013年):すち子&真也
第2回(2014年):手賀沼ジュン
第3回(2015年):中山功太&COWCOW
第4回(2016年):かまいたち第5回(2017年):藤崎マーケット
第6回(2018年):メンバー
初回で「すち子&真也」が受賞していることからもこの大会の賞レースというより お祭り感が良く出ている。あおりVもシリアス皆無だったしな。ナイツがこの1年歌ネタ王に絞っていたというのがギャグとして成立するくらいだから。それに去年のメンバーへの100点連発。あれでもうおふざけ祭りやんと芸人・ウォッチャーは全員認識したであろう。
それにしては300万って大きい。応募総数も千いくらなわけで。
決勝進出者9組
令和喜多みな実が登場し、いわゆるシンプルなギター漫才を披露する。まさに一組目として基準点としか言いようのない出来。ギターソロをむたいにかき鳴らすというのも去年アイロンヘッドの『先生にいったろ』出会った気がするぞ。優勝はしないが基準としてベストだった。
続いて優勝するラニーノーズ。ABCの歌を切ないJPOPにするというネタ。審査員のピアニスト清塚信也によると予選ではエドシーラン風のネタを用意していたらしい。そっちの方が見たかった。これも基本的にこの歌そんな風に歌うんかい!だけなので、そんなに評価はできないと思う。ただ、WギターWボーカルの強みで曲として強かったことが高得点に作用したんだろう。歌ネタ王だから、歌がやっぱり重要なんだなあ。じゃあコミックバンドとかもっとでてええんちゃうの。
天才ピアニスト。tverで観れず。
きつね。いつも通り。いわゆるエンタ的な誰でもわかりやすいネタ師として狐を見ていたけど確かに歌ネタ芸人師というラインで見ると先頭走ってる感はすごい。サンプラー使う芸人はギター使う芸人くらい増えていいだろ。
お見送り芸人しんいち。まいなびラフターナイトで披露してたネタのパッケージ。「タトゥーまみれの男が1ラウンドKOされるの好き」「ディズニーで喧嘩するカップル好き」など基本的に意地悪あるある秀逸なのだが、唯一「金ない学生のまえでビッグマック食べるの好き」がお前も大して金ないやろ感がすごい。しんいちの生活を思い起こされて哀しくなる。ブルースである。
新作のハーモニカはニューヨークのラジオでドキュメンタリーで田んぼが取り上げられていて非常にあつい男だったということでイメージが上がった。歌ネタでは最後に歌のフルコーラスを披露して終わることが多いがそれでは拍手になっても笑いにはならんのでいかんともしがたいなあと思う。新作のハーモニカの場合はサビ入りで削るという配慮が見られたけど。
昨年チャンピオンのメンバー。歌ネタ王のおかげでお笑いで飯を食えるようになったというが、それだけだと賞味期限は今年までだろう。というわけで連続出演は正しい“手”だと思う。ただ、去年とあんまりにも代り映えしなかった。ネタとしてはほぼ天丼で、一定のリズムなのでシステムがバレたら後は安定の面白さしか供給できないんだよなあ。
友近・ゆりやんレトリィバア。ドキュメンタルで披露した五社英雄ソングとゆりやんのまいをアメリカ女が行うというネタ。世界観芸人はどちらかといえば苦手なんだが、なぜか見れた。完全にお遊びでやってることがこっちにもわかって気楽に見れるからだろう。
ナイツ。いつもの普通の歌に狂人はなわが突っ込みまくるネタ。『私がおばさんになっても』に熟女好きが突っ込むというキャラまで組み込んできたのは地味にこのどんづまりのおふざけみたいなネタの進化を感じた。やたら面白かった。しかし、会場では芸人サイドしか笑っていなかった。
最終決戦
3位のきつねからネタを披露。中盤の後藤とのからみで「ちょっと後藤さん(サンプラーのボタン)おしてみてくださいよ→あ、すいません音切ってました」というくだりがあり、「なんか音鳴らした方が面白かったやろ」と思ったのだが、なるほど、後半のネタバレになるかもしれないからこその策だったのか。
また冒頭でのドッキリの伏線にもなっていた。審査員とのやり取りを歌ネタ王でつなげるというのは珍しく、おそらく営業行きまくりのきつねの確かな腕を感じさせられた。
続いて友近&ゆりやん。刑務所から逃亡する女犯罪者キャラコント。もはや歌ネタでもなんでもない気がするが。。。藤井隆の笑顔が見れただけで十分か。
最後はラニーノーズ。だるまさんがころんだをギター付きでやる。前半の焼き直しみたいなネタになるんじゃ…と思ったがだるまさんに見つかって止まるところと曲の止めをシンクロさせるアイディアは確かにこの番組一番の面白を生んでいた。
どこでやってもすげー盛り上がるだろう。
清塚信也の「お笑いと音楽にどんな共通点があるのかなと思っていたんですが、ラニーノーズのネタを見てわかりました。“間”ですね」というのは非常に本質を表す分析だったと思う。tverで観れる音楽番組ではボケ過ぎでちょっときついときがあるが、コメント対象は清塚のものだ。