相席食堂『上島竜平』『トムブラウン』感想
『上島竜平』
リアクション界の双璧といえば出川・上島だと思うが、上島には色濃く昔のコメディアンのにおいが残っている。
はっきりいうと人生の落伍者感。出川がある程度空気をとらえたうえで失敗を魅せるコメディアンだとすると上島は最初から空気が出来上がった場で役割を演じ切ることができる銀幕のコメディアンだ。
演技者なのである。
今回の旅でも草団子ばかり持ち出され、おでんのくだりはうまくいかない。おばさんをマドンナ呼ばわりするたった一個携えた武器で戦う。その様が面妖で、今の養成所からは絶対に出てこない藝人の味を感じさせるのだ。
『トムブラウン』
トムブラウンもとてもじゃないが器用な人間ではない。平場でとにかく苦労している。
みちおの狂気性・布川のハニカミのいずれもテレビの液晶にはそぐわないものだ。薄暗い力イブの舞台でこそ映える。(実際、M-1出場後も板橋の公民館みたいなところのお笑いライブに出演していた)
それでも地元の家族や仲間に応援されて札幌から出てきた。しかも北海道時代はローカルタレントとしてある程度人気を得ていたというのだから。
才能の壁の高さよ。