裸で独りぼっち

マジの日記

『ハッピー・デス・デイ』83点 90年代生まれ向けゲーム的リアリズムホラー ※ネタバレ

Filmarks 感想

スカッとするホラーが見たくて。
とにかく裏をかく、という点に注力した作品。

ビッチの主人公で、ループ攻略もので、そのループそれぞれの展開も定石を踏んでいない。
先を予想させない、という点ではここ数年見た作品の中でもトップだった。
例えばツリーの2周目、友達の彼氏がダマで襲ってくるという展開、2回も3回も実は犯人と思わせてフリでした!で予想もつけず犯人が出てくる。

セーフと思いきや…攻略できてなかった!もしつこいくらいにある。カーターがいたずらしかけてくるとかもうキャラ逸脱している。

そう、意外性のために整合性やキャラクター性をよく考えたら無視してないかという部分も少なくない。でも、最低限のラインを押さえている。

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Story

主人公ツリーは鈍痛とともに目覚めた。「今日は誕生日~。絶対に電話になんて出ない~」。目覚ましの音声が鳴り響いている。現場はカーターというサエない同級生の部屋。いかなきゃ!部屋を飛び出し、家に帰る。お昼は反炭水化物で連帯したイケてる女子たちの会合があるのだ。同室のロリが誕生日ケーキをつくってくれたがそれに手もつけず、飛び出す!夜はパーティへ。と、道に不気味なオルゴールが。そして背後にはマスク姿の殺人鬼が。ツリーはあえなく首をぶっ刺される――と鈍痛とともに目覚めた。「今日は誕生日~。絶対に電話になんて出ない~」。

一日が繰り返している…!

ヒップホップ的感覚とちょうどいいお約束 

眠かったので感想も適当になっているなあ。

盛岡フォーラムで続編と一挙公開されていたので鑑賞したのだ。

※でも結局続編はみていない。

物語の最後でメタ的に言及されるように、この映画は『恋はデジャ・ブ』(1993)を下敷きにしている。

ホラーと『恋にデジャ・ブ』をマッシュアップしたらめちゃくちゃ面白い作品ができるんじゃないか?というヒップホップ的な感覚で作られている。まさに現代のエンタメ作家的センスで構築された作品といえるだろう。

 

とはいえ、様式美から完全に脱していないのがこの映画だと思う。冒頭、ここまで予想のつかない展開の映画は今年初めてだと書いた。しかしそれは「俺」だからこそ思うことで、完全に予想外というわけではない。殺人犯を倒して一日を生き残ればゲームクリアとなり翌日を迎えることができる。

 

この話の作りとしてのお約束感とヒップホップ的感覚が俺には心地よかった。

しかし、少し世代や感覚が違えばそれがお約束的・アンフェアに感じられてしまうこともあるだろう。俺より下の世代からするとむしろ予定調和的で「古い」作品かもしれない(そもそもループものにはミレニアム以前に生まれた世代の「夢」が詰まっている気がするのだ。『う(ネタバレ)ドリーマー』『粗(ネタバレ)V』『進(ネタバレ)人』…)

 

アメリカ的あるある

キャンパスのアメリカあるあるの部分が全然、ぜんっぜんわからんかった。

あのあたりアメリカ人なら大爆笑なのか?

・ずっと立ったまま寝ずにいるパワハラ的サークルなんてものがあるのか?

アメリカの女はあんなに炭水化物を敵視してるわけ?

・ツリーに挨拶してきた自宅前のノオミラパス⇒オークワフィナみたいな女は誰だったんだ?

・そもそもツリーは何学部?医学部の教授の授業を受けてたってことは、あんなビッチでアホなのに医学部なの?どういうキャラ?

 ついでにいうとやっぱり物語上気になるご都合ポイントは多い。

・二回目以降のカーターへの説明もいちいちしてたわけ?で、それをいちいちカーターは飲み込んでたわけ?

・ループ前の記憶が徐々に残るようになったのはどういうこと?どういうルール?

・ドリンクの本数が多分残りの命ということなんだろうけど途中から描かれなくなったよね?なんで?

・なんでツリー同室の女蹴り殺してんのに家で暮らせんねん

・あの殺人鬼はなぜツリーを狙ったんだ?特に因縁ないだろ?●(真犯人)●のマインドコントロール

…たく、バカな話だよ!

でも そこらへんが俺の世代の感覚では丸ッと飲み込める気もする。

前述の通り、ループものが物語の一つの類型としてしみついているし、そういう東浩紀いうところの『ゲーム的リアリズム』にどっぷりつかって生きている世代だから。