裸で独りぼっち

マジの日記

エロ漫画と一涅槃寂静

アフター誕生日。

要するに普通の日。

俺は『エロ漫画表現史』を読んだ。

エロマンガ表現史

エロマンガ表現史

 

そんな一日だった。

 

朝、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見た。

ファックファックファック!!

 

感想

おもしろい。3時間あるのにあっというま(と言っても途切れ途切れに見たけど)。やっぱり映画はどでかい金使ってどでかい人数集めてどでかいくだらないことを丸ごと見せてくれんと。
ひとことでいうとピカレスクロマンで、でも別に不幸な出自や愛への飢えはなくて、ひたすら浅はかに“欲”駆動で前進前進を繰り返すのが想像上のリアルというか、株を操作して儲ける奴なんてこんなゲス野郎に違いない、ていうかそうであってほしいというこちらの望みに100%応えてくれる。
これをスコセッシは71歳で撮ったというのだから驚きだ。
俺、『アイリッシュマン』は寝ちゃったけども。

それにしてもファック連発とか、薬物やりまくりとか、マネーロンダリングとかそういうの出てくる映画絵退屈と思ったことがないのでこれは単純にそういう事象に興奮してるだけで、いったらBPM200の曲で強制的にアガってる人みたいな状態な気もする。
そしてR18指定に意味はあるんだなとも思った。そうとう自制心はある方だと自負しているけれど、やっぱりこれ見ると後先何にも考えなくていいなら「薬物やりてー」と思うもんな。バッドトリップの無様で(ガルウイングのドアを足で開けるくだり!)死にぞこないの状態さえ、よっぽど上がってる感じがする。
まあ、そういう気風がある中でこの映画を見るっていうのは合法的なトビ方なんだろうなあと思うし、そんななかでここまでの打点を稼いでくれるなら俺は言うことがない。
俺が好きな漫画上位に位置する福本伸行『金と銀』の「悪党になりたいんじゃなくてなれないんだろうが」イズムというかそこに共通するので、やぱりうっと品行方正に足元をすくわれることを恐れて生きてきたから、無意識に真逆の何かに憧れがあるんだろうなあ、そしてそれは子供が大人に無条件にあこがれるように、あこがれているうちが花、夢見る夢子ちゃんなんだろなあと思うのだった。

 

悪漢になりたい、圧倒的な自信と莫大なマネーを持ちたい、俺が世界で最強だとラリりたい、と思う。

それはみんなだよ!と思う。

・と、思いつつ「ムリだ…」と弱気になるし、そのおかげでシャバの空気を据えているのだから感謝しなければならないとも思う。

俺は弱気でよかった。俺は臆病でよかったのだ。

蛮勇になる必要はない。

ただ、もう少し懸命(賢明)になってもいいかもしれないが。

 

『エロ漫画表現史』を読んで、俺は自信を失った。

地道な努力をせず、危ない橋を渡ることなくメイクマネーするなら、エロ漫画を描くしかないと俺は以前から思っていた。

音楽も、漫画も、お笑いも、感動も、みんなただでいくらでも手に入る時代だ。

でも、エロだけは「最高の逸品」を手に入れるためなら人は金を払う──俺は自身に照らし合わせてそう策を練っていた。

しかし、結局それはよく知らない、作ったこともないただの消費者でしかない、そんな人間の蛮勇でしかないことを思い知らされた。

始めに表現が生まれ、それを大勢の情熱ある若者が練ってついてブラッシュアップし、その積み重ねの上に今があるのだ。

俺はときどき、「人間がこの地上に75憶人近くいるということを忘れている」ということを思い出す。俺が一日にする仕事の75億倍が今もこの地球上で、75億倍のエントロピーが増大しているのである。

俺の一生は地球の一涅槃寂静(10*-24)にもみたない。