学生みたいだ
俺は今、大学受験を考えている。
というのも、国語だけが得意な典型的な文系人間の俺はその特性だけに頼り切って某大学の文学部に入り、そのまま卒業してWeb企業に勤め、結婚を機に退職して今に至る。
家計の柱は嫁さんだ。
男として情けないみたいな気持ちは一切ないのだが、これって搾取じゃないのかと思っていたりもする。
もちろん飯は作ったりもするが、掃除は結構サボるし弁当も作らない。
子どももいないのであんまり一人暮らしと変わらない。
だから、空いた時間でライターを細々とやって貯金を微増させているが、なんか悪いなあという思いはある。
しかし、それに報いる手段はおいしいご飯をつくるとか、面倒な手続きをするとか、子どもが生まれたら育児を担うとか、なるべく邪魔しないとかであって、別に何らかのスキルを付けたところで、である。
働いていないこの数年間で馬鹿になった気はしない。どちらかといえば、頭が凝り固まってバカだったなあと思うし、その盲が加齢とともに若干溶けたけど、それだけだ。
俺は馬鹿なまま、数学もレジ打ちもできない。
ライターをやって、英語を読んで、ピアノを弾いて、ギターを弾いて、たまに動画を編集しているが、全部楽しい範囲でやっているので趣味でしかない。
楽しいのはいいことなのだが、楽しい範囲でやっているだけでは到達しない領域はある。
天才は楽しいばっかりかもしれないが、俺はそうではないだろう。
かといって、うまい投資話やメンターを名乗るマイクロ宗教家、おざなりのプログラミングスクールなどに騙されるのはまっぴらごめんだ。
今は、「失敗しない」という意味でかなりいいルートを歩んでいるのだ。
あとは、俺の時間というまあどうでもいいものだけにリスクを乗っけてなんかやるくらいが最適解だろう。
だからこそ、大学受験なのだ。学問を修めることはおそらくプラスだし、理系の学問を学んでみたい。それが自信になるかもしれない。
と、思ったのだが、大学は当然学費がかかるし、教科書代や模試代も結構馬鹿にならない。
世の中そんなに甘くない。
金はかかる。
というわけで、「いや、一旦どこでもいいから未経験エンジニアとして入り込んで金とスキルだけ抜いて…」とか「本屋で働くのは楽しそうだし、レジ打ちくらいして小銭稼いでそれを学費に充てるとか…」と甘い算段で脳内ポイズンベリーだ。
なんか、ほんとに学生みたいだな。
といいつつ、大学共通テストの数I-Aの問題集を買ってみた。
せめて18歳の時くらいには賢くなりたいものだ。