裸で独りぼっち

マジの日記

映画『ブラックボックス:音声分析捜査』ネタバレ感想

ブラックボックス:音声分析捜査

youtu.be

 

後半緊張感が高まっていい感じに面白くなってくる
前半は準備に費やされていて、音声分析官という業務の地味さも相まってやや退屈
それに、主人公のキャラを理解できるまでに結構時間がかかるというのも大きい。
「序盤は生真面目すぎて職場で上司から冷遇されている有能な男」くらいのイメージなのだが、かなり背景をもってキャラクターが描かれていることが、後半だんだんと、音声の中に埋もれた「意味のある言葉」が浮かび上がってくるかのように理解できてくる。
セスナ機の不具合を指摘するミス(実際にはそうでなかったが)で一度危うい立場になったとか、本当はパイロットになりたかったけど目が悪くて諦めたとか、父親との関係が悪かったとか、じんわりと「かわいそうな人や」ということがわかってくる。
音を聞き分ける能力が高いがゆえに街中の雑音で耳鳴りがしてしまうような繊細な主人公は、だからこそ狂気的に音声分析にのめり込んでいく。

人の車をこすってドライブレコーダーを確認しておきながらごまかしたり、平気で不法侵入したり、嫁はんのPCにパンツ一丁で不正アクセスしたりと、随所で「こいつ犯罪者やん」と印象は悪い。もちろんそれは意図的なもので、だから視聴者は「誰が正しいか」わからずずっとハラハラさせられるという構造だが、とはいえ大方本当は主人公が正義側で終わるんだろうなということはわかるよな。

すぐに告発すればよかったじゃんとか、殺人の方の捜査は何でそんなに進んでないんだとか、いろいろとバカな部分はあるのだけれど、前『バニッシュメント-消失-』をみたときに近しい、ヨーロッパのでかくて寂しげで人がいない家の怖さ、そこで反響する音の不安感みたいなものは体感できて、なかなかの緊張感が味わえたので◎。
映画館で見て良かった。こういう音響に注目系の映画最近増えてるな。なんかでかい進化があったのかな。

本当にブラックボックスということだったんだろうか。

主人公がいいものなのか悪いものなのかもずっと一応黒い箱の中に隠されている。

まあ、劇映画という時点でだいたいええもんやろと察しがつくんだけど、それでも『シャッターアイランド』とか『ミスト』みたいなやつらが犠牲になって俺たちに緊張感を与えてくれているからな。

あと、俺はフランスがなんか好きやな。

もちろんおしゃれっぽいラブコメがそっちから来ることが多いからなんだけど、こういうサスペンス的な奴も意外と見に行く。

結局俺はフランス人の見た目が好きなのか?

見た目で映画を見に行っているのか?

そのあたりを疑わざるを得ないほど選好しているような。