R-1ぐらんぷり 2018 感想 ―個別のネタについて(Bブロック)
Bブロック1組目: 河邑ミク
ネタ:「レンタル彼女」
キャッチコピー:大阪ナリキリ娘
…漫画雑誌で言うと、ジャンプが吉本で人力舎がチャンピオン。
だとすると、松竹はサンデーだ。
かつてはジャンプと肩を並べたが、今は地味。。
そんなサンデー感満載のコントだった。でもサンデーの面白いやつ。『だがしかし』的な。
『THE W』では準決勝11位とギリギリ決勝に上がれずリポーターをしていた彼女。
全体の雑感はというと、なんかテレ東深夜のコント番組っぽいネタだなと思った。
それには、陽の意味と陰の意味がある。
陽の意味は、演技力ピカイチなので、映像的なコントだという意味。声音・首の角度、動き(彼女のときは横の動き・店員のときは縦の動き)など、すべてに神経が行き届いている。
陰の意味は、小さく収まってしまっているという意味。超ぶりっ子な彼女とビジネスライクなレンタル彼女の落差で笑わせているという以上のものはなかった。最初の種明かしがピークになってしまっている。
加えて、嫌な女というものに対する捉え方が雑な点がおしい。
ビジネスライクな変わり身と、金に汚いみたいなキャラがぶつかり合って、不協和音を発している。そこは目先の笑いを拾おうとせずに台本を練った方が良かったのではないか。
とはいえ、かわいいし売れそう。
結果:4位(0票)
Bブロック2組目: チョコレートプラネット長田
ネタ:「最新のジェットコースター」
キャッチコピー:完全自作自演ランド
…見返して一番楽しめた。
「く~最新のジェットコースター楽しみだな。もう15時間待ってるもんな」
つかみが早い。
「ショルダーバーが外れる」「ディメイティッド」「アントラブルヘルメット」など謎ワードのつるべ打ちで笑いを細かく稼ぐスタイル。
ただ、天丼するならもっとショルダーバーが外れるさまは滑稽にしても良かった。
ペガサスの羽が開かれるとか、そういう感じ。
ワードもありそうでない絶妙なラインを狙ったのだと思うが、、後半はもう少し飛躍しても良かったかも。
千鳥が漫才で入れてくるような奇妙なワードのセンスが欲しかった。
KOC第一回大会で披露した「ギリシャ風の世界」のコントといい、ありそうでなさそうな言葉の世界観でもっていくコントをチョコプラは1の武器としているが、どこか綺麗に世界を閉じてしまい、爆発力に欠けるきらいがあると思う。
そうやって世界をぶっ壊すことを迷走と呼ぶのだとしても、後一破壊が欲しい。
結果:2位(ヒロミ2票、陣内1票、久本雅美1票、関根勤2票、桂文枝2票、お茶の間2票)
Bブロック3組目: ゆりやんレトリィバァ
ネタ:「昭和の日本の映画に出てきそうな女優」
キャッチコピー:絶好調ぽっちゃりクイーン
…ゆりやんは格好悪い滑り方を避けている。それは、芸人としての危機察知能力が高すぎるからだと思う。
百合やんのネタは当りはずれが激しいといわれる。例えばこの「昭和の日本の映画に出てきそうな女優」(ショートver)や「海外の女優」はかなり評判が高い。だが、今回の決勝で披露したネタや「野菜中心の生活」はようわからんといわれる。個人的には、「ハリーポッター」もようわからん。
前半の特徴は絶妙な目の付け所による形態模写であり、後半の特徴は他では見られないシュールな世界観だ。要するに、目の付け所が鋭い(ほかと違う)という点は同じなのだが、そこから大衆に寄せるのか、より自分の世界にこもるのかで大きく話は変わる。
この1本目は、女優1本で戦い、木登り・だんだん崩れていく言葉・先生はトイレに行くだけという3点のみに別の笑いどころがある。女優の魅力をなるたけ殺さないための戦い方だ。だから、まあ、女優の面白さだけで審査員は審査し、その独創性と演技力の一転においてのみ長田と並んでいたたということだろう。
結果:1位(ヒロミ1票、陣内2票、久本雅美2票、関根勤1票、桂文枝1票、お茶の間3票)
ネタ:「せいやのなんなんじゃそら」
キャッチコピー:なし(復活ステージ2位のため)
…途中で物まねしてた桑田佳祐の歌はこちらですね。
タバコ・ロードにセクシーなばあちゃん
よくわからないことをやる、という芸ながら、ところどころにこれはそれ込みでたのしんでもらうものですよ~というエクスキューズがある親切設計。元教師を目指していた堅実な性質が現れている。
「みなさ~ん、僕の3分間は考えないでください。感じてください」
「意味わからん嘘つきました」
「ドーラン塗ってる意味わからないですよね、僕もなんです」
この芸で一番秀逸なのは店の店員呼び出すとこにあるチーンを楽器として使ったところかもしれない。簡単にネタのつながりを切ることができる(途中でなってしまってグダグダになる芸も混みとしても)。
結果:3位(お茶の間1票)