今日いいとおもったもの(2016/10/21)
本
『Jポップで考える哲学』
こういうあさましい感じのする新書を買うのは非常に恥ずかしいのだが、
わかりやすく哲学してる本が大好きだから結局買ってしまった。
まだ「名もなき詩」の章しか読んでいないが、こうしてみると、これはいい歌詞だなぁ~と思う。
自分らしさの檻の中でもがいてる⇔あるがままのこころで生き(ている状態)
なんだって。
桜井和寿は基本エルビス・コステロをパクッテるって聞いたんだが、
この曲もそういう部分があるのかね。
シーソーゲームは明らかにOliversArmyっぽいとこあるけど。
あと「んあああ~~」っていう前立腺責められてる人みたいな
声の絞り出し方は。。
漫画
芸人で漫画家のチャーミングじろうのマンガ。
この人の絵はONEと似た感じの下手さで、雑ゆえに
下手なんだけど、シンプルで読みやすい。
よくよく考えたら、あんまり起伏のない展開なんやけど、
なんともね。
竹内真『文化祭オクロック』のセカイ系論について
目次
1.廃れたセカイ系と終わらない問題
「元はアニメやマンガの評論から出てきた言葉らしいんですけど、簡単にいうと、自分の身の周りの出来事とか感情とかを、そのまま世界の崩壊なんかに繋げちゃうような作品のことを指すんです。二十世紀の終わりごろまでは個人と世界の間に社会ってものが存在してたけど、今じゃあ社会ってものを抜きにして個人の自我と世界が直結しがちだってことで、そういう考え方もセカイ系って呼んだりもしますね」
竹内真『文化祭オクロック』p122
「セカイ系」という言葉はもはやかなり古い。
宇野常寛の指摘を待つまでもなく作品数、という意味でのムーブメントは「セカイ系」というワードが広まった時点で終結していた。
そして今では……。
例えば、シンゴジラ。〈現実〉は〈虚構〉に、つまり「日常」は「大きな物語」に勝利した。
「君の名は」。興行収入60億の大ヒットスタート。
ちびちびメールを送る必要なんてないし、急に山崎まさよしのリリックビデオにならない。
「きみとぼく」なんてのは、汲々と没入するためではなく、エンターティメントとして消費するためのもの。
bumpもradもMステに出た。今のバンドは紅白目指すって言う方がかっこいいぜ。
きみだけのものじゃない。
きみの「セカイ」じゃない。
しかし、「セカイ系の問題」は結局解決されていない。
これは別に、東浩紀がシンゴジラにセカイ系を求めたからではなく、
言いしれようのない反社会的なセカイ系のセカイが、事件を引き起こしつづけているから。
職場やネットで誰からも相手にされないからって人込みに車で突っ込んだ殺人犯とか、親に叱られてむしゃくしゃしたから赤の他人を指した通り魔とか、そんな類の人がいっぱいいるじゃないですか。
竹内真『文化祭オクロック』p123
例えばちょっと前に話題になったこの
意見陳述、犯罪の質こそ違うが、2008年の秋葉原の連続殺傷事件の加藤智大と似ている。
と思ったらこういう記事があった。
やはりシンパシーを感じているらしい。いや、こんな類似性の指摘、腐るほどされてるだろうけど。
2つの事件に共通するのは、やはり、社会でうまくやっていけないのなら、セカイ=世間的に認められた目の前の幸せな存在、を壊してしまえ!という考えだと思う。
そういう人たちって、社会ってものを意識しないで、自我の外側がそのまま世界全体になってると思うんです。
竹内真『文化祭オクロック』p123
2.『文化祭オクロック』とは?
ここからは本の感想。
何度か引用してる『文化祭オクロック』 2012年に創元推理文庫から出版された小説。表紙は節度を保ったラノベって感じ。
内容も大人も楽しめるとは思うものの、ティーン向け。ジャンルは青春ミステリ。
だから、近いのは米澤穂信の『文化部シリーズ』とか、あとよりみちパンセ系。
作者は竹内真。『粗忽拳銃』で小説すばる新人賞、『カレーライフ』で京都水無月大賞を受賞している。ちゃんとした作家だ。
※『パーフェクトブルー』の作者で北野誠のラジオ『サイキック青年団』(大手事務所の悪口言って終わった)の放送作家の竹内義和と混合しないよう注意。俺はエセサイキッカーだから誤解していた。
ストーリーは、文化祭の学校を舞台に、校内ラジオを取り仕切る謎のDJネガポジの正体を巡って様々な視点が交錯し、学校の止まった古時計とともに真相を暴くラストへ向かっていくというもの。
ちょくちょく入れてた引用は、そのストーリー自体にはあまり関わりのない数ページ。
DJネガポジと、文芸部員一年の村上の会話だ。
「思索」が趣味だという村上は、ラジオで、最近思索していることとして、冒頭のようにセカイ系を語る。
セカイ系と反社会的な事件を結びつけるのは、珍しいことではない。
むしろ王道の文脈。
でも、この後のDJネガポジの発言は、割とセカイ系解釈としては珍しいものだと俺は思った。というか、ずれている感じ。DJネガポジはセカイ系に詳しい人間ではないという設定なのだから仕方がない。
だが、それが妙に今示唆的である気もするのだ。
3.世間におもねるネオセカイ系
今年、相模原の障がい者施設で19人が死亡、26人が重軽傷。
犯人は、元半グレだし、殺意の対象が「世間」ではないし、なんか大したことないやつが妙に大胆な事件を起こした以外は先にあげた事件との共通点はない。
『例えば仲間で遊んでるときに、一人のケータイが鳴り出して、そいつがでかい声でお喋り始めて、みんなが引いてるとするでしょ。そいつに向かって、「もっと小声で話せよ。空気読め」だったらわかるんだけど、そいつに注意したら反対に「うるせえな。今大事な話してんだよ。空気読め」って逆ギレされたら、ちょっと待てよって思うじゃないですか。そんなの空気でも何でもない、お前の勝手な都合だろって。極端な話、そういう奴って自分の感情を空気って言葉にすり替えてると思うんですよ。自分と世界を混同してる感覚っていうか』
竹内真『文化祭オクロック』p124-125
これは先ほどずれているといったDJネガポジのセカイ系の話。
作中で
『そういうのもセカイ系って呼ぶのかな?』
「いや……呼ばないと思います」
といわれているようにセカイ系の定義や文脈とはずれるが、どちらかといえば相模原の事件には当てはまる気がする。
犯人による殺害をほのめかすメモの中に、「努力しない人間は生きていてもしょうがない」といった内容が
前触れなく発症か 相模原殺人容疑者の“精神疾患” 〈週刊朝日〉|dot.ドット
なんというかこの犯人の主張で「世の中はこうあるべきだ!」っていうセカイに閉じこもっている感じ。
やっぱり、セカイ系は2005年あたりに批判されたように、現実から目を背け、幻想に逃げ込む甘えの思想なんだと思うんだけど、あまりにその〈虚構〉への逃避がうまくいかなくなりすぎて、「お前ら」〈現実〉のいう通りだよ!努力できないダメな奴は死ぬべき!」という「空気読め」を逆手に取った逆ギレみたいなものが事件を起こした気がする。
これを「世間」におもねるネオセカイ系と呼びたい。
そこにある気持ちは「認められないなら壊してしまえ!」じゃなくて、「これはお前らが普段言ってるやつだから壊してるんじゃなくて通常営業だよな!」という気持ちが、根底にあるセカイ系。
まあ、「世間」から目を背けるTHEセカイ系も逆切れでやってはならないことを起こしてるんだけど、主張がまだ内向きで、まったく賛同の芽もないものだったと思う。
それが、相模原の事件では多少同調意見が極々少数ながら見られたわけで。
こういう事件が後に続く可能性もずっと高いような気もする。
それを防ぐ方法もDJネガポジが教えてくれるのではないかと思って、この本を読み返すわけだが、彼は唐突にこの話題を打ち切り、曲を流して放送を中断してしまうのだ。
後に流れるのは、レディオヘッドの『Inside my head』だけ。
この曲の歌詞、暗い。。。
It won't let go, it won't let goー自由になんてなれやしない
You're inside my headーお前は私の頭の中
Radiohead(レディオヘッド) - Inside My Head Lyrics 洋楽好きのための洋楽歌詞・動画専門サイト WEB-SONGS.COM
マルチ商法の小説『ニューカルマ』感想
■はじめに
出会い系の女にノコノコつれられてア○ウェイのカレーパーティーに行って以来マルチ商法のことが頭から離れない。
まるで、マルチ商法に恋してるみたいだよ…。
いずれはマルチ商法と枕を交わしたいぜ。
ということで、「マルチ商法 手口」とかでググっててたらこのNaverまとめが出てきた。
俺はかねてより、新堂冬樹の黒い方の小説とか奥田英郎の『無理』とか裏社会系イヤミス(嫌な気分になるミステリのこと)が好きなので、さっそく図書館にいって借りてきた。
俺の完全な偏見でありその図書館の人に訴えられたら負けてしまうが、カウンターで業務をしている人はちょっとマルチ商法やってそうな真面目かつ変な感じの人ばかりだった。
そういえば就活時にある図書館のカウンター業を主に行う会社の面接を受けたのだが、そこの初任給が月30万円と妙に多かった。あれはなんでだったんだろう。
闇の力を感じる。
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■作者と背景
『ニューカルマ』は今年の1月に集英社から刊行された小説。
作者は新庄耕。
少年サッカーの県代表として全国大会出場したものの、挫折してスーパーDQNになり、クラブに入り浸る。しかし、21歳で慶應SFCを卒業。卒業後はリクルートに入社。しかしエリートとしての生活に危機感を抱いて1年半で退社し、職を転々とした末投稿した小説『狭小住宅』で小説すばる文学賞受賞。受賞後1作目がこの『ニューカルマ』らしい。
こういうスーパーDQNと作家とかを両立する人生の人ってどういう思考回路何だろうか。クラブでワーッてなってセックスのためにめちゃくちゃ頑張る価値観と小説のために色々考える価値観って違いすぎると思うんやけど。
でも、そういえばスーパーDQN→作家の人は大勢いても作家→スーパーDQNの例は全然いない。なんか年取ったら脳のドーパミン分泌量が減るとか?そういうのが関係しているのではないか。根拠はスーパーゼロだが。
『狭小住宅』は不動産業界のブラック営業を描いた小説らしい。とりあえず2作目までの新庄氏はそういう「社会の裏側つらいえげつない系」の作風のよう。
■『ニューカルマ』感想
そんな新庄氏が大学時代彼女にマルチの商品を交わされた経験や自分がネットワークビジネスの会員だった経験を元に書いたのが『ニューカルマ』。
あらすじ
大手メーカーの下請けとして働くタケシ。ある日、突然大学の友人から電話がかかって来る。案の定マルチ商法の勧誘ということで馬鹿にしていたのだが、会社の経営不振によるリストラの危機感からセミナーに参加し、会員になり、と徐々に深みにはまっていき、仕事も、友人も行きつけのバーも、自分を心から引き留めてくれる親友すらも失っていくー
こうして考えると、俺のアムウェイ誘われ体験談なんて実際には勧誘される前に逃げてきたのだから全然安全地帯での話である。
同じくマルチの小説『睡魔』を書いた梁石日くらいはまり込まなければ偉そうにマルチのことは語れやしない。
(ネットの情報では幹部になったり大量の会員を増やして表彰されたりしたそう)
ともかく、この小説では主人公タケシがマルチにドはまりしていく。
ネタバレになるが、一度ではなく、何度も、もうマルチはしない、と決めてもまた別のマルチをやってしまうのだ。
冷静な目で行動を見ると大馬鹿空っぽ脳みそマンとしか言いようがないが、小説を読むといくばくかの説得力がある。
特にそう思うのが、タケシが枕営業というチートも用い、順調に会員を増やして月収70万円を稼ぎだすところだ。
普通にいいなあーと思ってしまう。
作者もインタビュー
で話しているが、マルチ仲間とはいえ、同じ目標に向かって切磋琢磨できる仲間がいて、大金を稼ぎだせるならもう、マルチ全然いいじゃんーと思えてしまうのだ。
知り合いから元大手メーカーのエンジニアを紹介されて、ネットワークビジネスで月300万円くらい平気で稼いでる大変優秀な方で、「新庄君、普通に働くなんて馬鹿らしいよ。この世界のほうがいいよ」って言うんだよね。
それが怖いところで、ある種理屈に合わないところで忌避しないと、自分より頭のいい奴に理屈で説得された場合、理屈民族はもう承伏させられてしまうのだ。
陳腐なたとえだが、オウムとかと同じである。自分は賢いと思って油断していると、上祐になってしまう。
システムを提供してくれて、実際それで結果出してる人もいる。商品が悪かったらダメだけど、昔に比べて商品も良くなっていて。それだったら本当に何を批判できるのかな、というのは、読んでいて思いました。
まあ、タケシは結局枕営業で得ていた人脈を他に取られてガンガン転落していくのだけれど。
とどのつまり、ネットワークビジネスでいろんな健康商品を売ること=功徳を積むことになる宗教に入って転落していく小説だともいえる。
そのために、自分宗教を強固にしながらも、うまく世間と当てて他の考えを取り入れ、利己的でありながら寛容でなければならないんですな。
ということが分かった。
俺をアムウェイの集会に連れて行った女によませたらどう思うか知りたい。
たぶん、「私は違うよ!わかんない!」ていうんだろうなあ。
あーあ。
↓マルチに弟がはまった人の体験談ブログ。これも面白かった。
薄甘い闇の中から
結論から言おう!
アーーーーーーーーーーーーームウェーwwwwwwwwwwwwwwwwイwwwwwww
当確ランプは一番の方に付きました!!カンカンカンカン!!!!!!!
いや、予想通りの結末。あまりに予想通りの結末となりました!
ワーワー。
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時計の針が9と5を指すころ、
俺は女と約束した時間に所定の場所で待機していた。
とっとと逃げられるよう自転車に乗ってきていた。
この自転車ね。
すると所定の時間になってもやつはこない。
あれ、見過ごされたかな?
やったーーーーーーーーー!!!!!
と思った瞬間。
来た。
花柄のスカートに白いインナー、ラクダ色のトップス。
首から何かカードのようなものをぶら下げている。
まさか、アムウェイの会員カードか❓と思ったら、これは普通に社員証だった。
へえ、結構有名な企業に勤めてんのね。
誘導されるがままに、街の灯りとほど遠い方向に誘導される。
(もう怖い。たしゅけてどらえもーーーーーん
ねずみ講破壊爆弾出して!!!)
内心はこんな感じだったが
しかし、俺は一つ決めていた。
「ちょっと探りをいれてやろう」と。
本当は昼にLINEで
「まさかとは思いますけどアムウェイの集いじゃないですよね笑
失礼だったらごめんなさい笑笑」
と書こうと思ったのだが、やめた。
そこで(あ、こいつアムウェイに詳しい)と思われて、より上の手口を用意される可能性を恐れたのだ。
俺が詐欺師ならそこでは「え?違いますよー(笑)」と書きつつ、その斜め上を行く策を考える。
そのリスクは取れない、そう考えた。
しかしもうお目当てのマンションに着きそうだ。ここまで来たら大丈夫だろう。
こいつも他の策を用意できまい。
俺「あの、
女「はい?」
俺「○○さんが来てくれてほんと安心しましたよー笑、いや、きてくれるかな、ってちょっと不安だったんで笑忘れちゃったのかなと。えへへ」
女「え?そんなことないですよー。笑本当にみんないい人たちなんで、楽しんでくださいね」
俺「はい!ありがとうございます。ですよねー。みんなリア充って、いうかねえ!そんな感じでほんとうらやましいですよー。え?どうやって○○さん仲間に入ったんですっけ?」
女「いや、私は人の紹介で」
俺「ですよねー、いや、僕なんかは、ほら、やっぱ知らない人のホームパーティとかはネットでググると詐欺とか色々出てくるっていうか、なんか怖いっていうか」
女「」
「いやーそうですか??私は全然わかんない笑」
今なんか空白がなかったか????????(;・∀・)
その点ばかりを気にしながら上の空で自転車を止め、オートロックのマンションの9階へ2人で入った。
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やたらに重い扉を開くと中から話し声が聞こえてくる。
うっすら流れているのはアンビエントみたいな音楽。
うちで一番走りやすい靴を靴箱にしまって中に入った。(本当はすぐ逃げられるようにしまいたくなかったけど、皆がしていることをここでしない言い訳は思いつかなかった。)
中では、6人ほどの男女が、12帖ほどのリビングで立って談笑している。
中心にはテーブルがあり、2杯のカレー?が入った鍋と、同じ数の豆腐サラダのボウルが。その周りを、やや筋肉質で半パンの男、スーツの上着を脱いだ男、学生みたいな女、痩せて背の高い男、背が低くて化粧の濃い女が囲んでいる。
リビングには4帖ほどのキッチンが併設されている。その中で水を入れる老けたギャル曽根みたいな女。
こいつがここの主?
右手にはもう一つ部屋がある。
荷物を置くように促されたので素直に従う。もちろん上着は着たままで、貴重品はポケットの中だ。
この部屋の奥には洗面所とシャワー、そして浴室がある。
ここで俺が注目したのが部屋の隅の空気清浄器。
eSpring…?なんだこれ、どこのメーカーだ。
脳裏に焼き付けておく。
他にもアムウェイっぽいものはないだろうか。
このグラスは、IKEAか。
このコンポは…?BOSEかい!
…そうこうしている間にまた続々と男女が入ってくる。
全員が
「あー、あらどうもー!」
などと声をかけるが、特にそのあと話をするわけではない。連れてきたやつとだけ各々話す。俺も最初の女とずっと話していた。
と、全員がそろい、飲み物が運ばれてくる。
缶入りの炭酸水と、缶入りのレモン水と、グラスに入った水だ。
!
!
!
っあーーーーーーーーーーー!
水の入ったグラスの蓋に「Amway」ってかいてあるーーーーーーー!!!!!
これがグレーが漆黒に変わった瞬間である。
もうこの場にいる人間は、自分以外全員信用できないのだ。
そんなレザボア・ドッグス的な展開に、俺の眠っていた能力が開花する
…わけではなかったが、「ここにいる奴ら全員敵だ」
と思うことで、そこそこ傍若無人にふるまえるようになった。
勝手にまだ安全そうなレモン炭酸水を注ぎ、カレーも確保する。
「それじゃ……カンパーーーーイ!」
老けたギャル曽根の音頭でグラスがあわされる。
また初めのように仲間内だけの会話が交わされる、と、
「あっパパも来てるじゃーん」
俺を連れてきた女がパパと呼ばれる男を俺に紹介する。
パパというくらいだから幹部なのか?と思ったら、
まだ25くらいの若者であった。
警戒しながらパパと話す。パパは身重の妻を抱えているらしい。
それが本当なら、あぶく銭追いかけるのやめて全うに働きなさいよ…。
続いて都万(仮名)(こんぐらい変わった苗字だった)やもう名前も忘れた痩せて背の高い男も紹介される。
俺はごくごく普通の話、(こっちは寒いだとか、なんの仕事をしているだとか、趣味は何だとか)、を話す。心の温度はゼロのままで。
「ちょ、ちょっと一回トイレに行ってきます」
トイレで、さっきのeSpringをググって、震えた。
こ、これだ!(;^ω^)
これでアムウェイのステマだと思われたら癪なのでリンクは貼らない。
これは、勧誘される前に帰らねば…。
女に「明日5時30分から仕事だ。」という大嘘を吐き、もう帰りたいと伝える。
女はたいそう怪しんだろうが、意外にもすんなり「じゃあ、もう××さんにあいさつしたら帰っていいよ」と。××さんとは、老けたギャル曽根のことだ。
「それにしても、hadahit0くん、さっきから部屋をきょろきょろ見てるよねー?」
やばいいいいいいい。
「い、いや、僕のアパートはぼろアパートなんで、こんな部屋いいなーって。きれいで、まるでモデルルームみたいじゃないですか」
女「あ、そうなんだ?いつかはこんな生活してみたいとか思う?」
こ、こっちもやばかった!!!
「いやー、でも苦労もありそうっていうか…」
何とかしのいで、勧誘されることもなく、帰れることになった。
俺を連れてきた女と痩せた男が「あの人いる?」「いない」「いや、いるっちゃあいるけど…」「ああ、なるほどね笑」的な意味深な会話をしていたのは怖かったが。
荷物をすぐさままとめ、花柄の女とエレベータで降りる。
女「そういえばさあ、hadahit0くん、来るとき怖いとか詐欺がどうとかいってたじゃん?」
俺「はっはい」(ややばい)
女「大丈夫だった?笑」
俺「はい。。。いやー、みなさんいい人で、全然」(いっそ「アムウェイだろてめえ」って言ってやろうか❓いやだめだ。今尻尾をだせば、まだエレベータ止められて連れ戻される可能性がある……!)
一階に到着した。
俺「今日は本当にありがとうございました。」(いまだ!!もう走って逃げれる距離!屈強な男もいない!もう言ってやれ俺!)
「あ、ちなみになんですけど、○○さんたちってアムウェイの方なんですか?」
「え、ううん。わかんない、なんで。」
「いや、浄水器とかそうだったから」
「え?そう?」
「わたしほんとにわかんない」
そういった彼女の眼は、来た時よりもずっと、深くてグレーな闇を、鈍く発しているように見えた。
そのあとはめちゃくちゃ自転車を飛ばして帰りました。(´;ω;`)
坂の上の暗雲
俺は朝から憂鬱だった。
ぜっっっっったいアムウェイだという気がしてきたからだ。
よく考えたら虎の巣にわざわざ足を運ぶようなものなのである。
虎の子もいないのに。
業務にも憂鬱で手がつかない、気がする。
ついつい「アムウェイ 手口」とか「アムウェイ マンション」でググってしまう。
みんなもないだろうか?不安すぎてそのワードを永遠に検索してしまった経験。
おかげでアムウェイについて多少詳しくなった。
いわく
・良質という触れ込みの洗剤や空気洗浄機を売ろうとしてくる
・売った子会員は得た収入の一部を上納金として上(アップというらしい)に納める
・ねずみ講とは違い、MLM(マルチレベルマーケティング)やネットワークビジネスと呼ばれるので、違法ではない(商品が介在するのか金だけなのかの違い)
・目の前でテレビショッピングっぽいインチキ比較実験をかましてくる。
らしい。
そうか、違法じゃなかったのか、悪かったなアム○ウェイ。
アムロ・ウェイ。
とはいえ、やっぱりほぼほぼ悪質だと思う。
いわばバタフライナイフと包丁のような違いではないか。
前者は持ってるだけで罪。
後者は持ってるだけでは罪ではないが、使い方によっては前者と変わらん。
そして、もし今日の組織がアムウェイならば、バタフライナイフのアムウェイだ。
なぜなら、勧誘するという事実を隠しているからだ。
それは、「景品等表示法」に触れる立派な罪なのだ。
しかもマンションの一室など個室で逃げ場のない場所での勧誘も禁止されている。
脅迫されて雰囲気に勝てないことはあり得るからな。
もう、「うわっダマされた大賞」見ていかんとこうかな…。
他人が騙されるさまは面白いが自分がそうなってはたまらん。
なんて、、、それでも行くのだ。
ぶっ潰す!!!
現在19:10、天気晴朗なれど波高し!!
待ち合わせまで、あと65分ーーーっ。
限りなくアムウェイに近いグレー
はい!
突然ですが
それではここで「俺が明日どういう組織の活動に巻き込まれるかダービー」を開始します。
①アムウェイ的なねずみ講・ネットワークビジネスの組織 1.80 (オッズ)
②オウム?統一教会?的な宗教組織 2.01
③乱交パーティー 8.80
④普通のリア充サークル 15.16
事の発端は、10日ほど前にさかのぼる……
俺は市内のカフェである、出会い系サイトで知り合った女性とお茶していた。
いつ、つぼや健康になる水を売りつけられるのかとひやひやしながら…。
その女性は5回ほどチャットのやり取りをした程度で
「LINEしてますか?」と巧みにこちらの連絡先を聞き出し、
会おうと言い出した。
これは、出会い系の法則でいうと、98%サクラである。
男がなりすまし、チャットのみで色恋営業をした末、宗教勧誘やバカ高い商品の売りつけ、連絡先の引き抜きを行うのだ。
しかし、会えてしまった。
しかも写真通りの人間が来た。
LINEに表示される名前が本名だったので、俺はその人の名前でFACEBOOK検索をし、
探りを入れたのだが、普通にその人のページが出てきたし、リア充な日常が多くアップされている。
しかししかし、ここではた、と疑問が思い浮かぶ。
はたして、本当のリア充が出会い系サイトに登録するかね??
怪しい、怪しいのだ。
限りなくどす黒(アムウェイ)近いグレーである。
しかし、まだだ。まだ金の話をせず、ヤツは引き上げた。
何らか用があるらしい。
……このまま別のカフェで俺以外の誰かを同じ手口で仕留めにかかるのでは?
(23歳 男)
ベストアンサーはわからない。
さすがに尾行はできなかった。もしそうじゃなかったらこっちがストーカーである。
それは犬にも食わせられない失態だ。
とにかく、そのときのお茶で、その人が入っているキャンプやボルダリング・料理パーティーを楽しむ若者が集まるサークルの、何らかの事業を行い莫大な収入を得てハワイに別荘を持つ女社長の、所有するマンションの一室で行われる、カレーパーティーにお呼ばれすることになった。
↑くそ怪しい!!!!!!!!!!!
若者?→「養分」の間違いでは?
何らかの事業→「ねずみ講」では?
マンションの一室→「悪事を行う事務所」では?
カレー→「大麻入り」では?
でも、俺は行くことにした。
それは、万が一の③の可能性が消し去れないから…。
いや、嘘だ。
たまにテレビで放送される乱痴気騒ぎの「公然わいせつ罪」で逮捕されるニュースは聞いているこっちがいたたまれない。
お前、親泣くぞ!
と。
とんだ人生の幕の閉じ方やぞ!
と。
そんな死ぬほど恥ずかしい罪で仕事も友も自由も失う気はない。
俺はなんか変な経験がしたいのだ。
この世の深淵がのぞきたいのだ。
アムウェイにチキって無難な平日を過ごしたと思って余生を過ごしたくないのだ。
一番怖いのは行ったら闇金ウシジマくんの肉蝮みたいなやつや
窪塚洋介が演じる不良(Ⓒニューヨークの漫才)みたいなやつが出現して、
命も金も奪われることである。
そこで、俺は同僚に明日の夜21時に電話をかけて、安否を確認してもらうよう、
依頼した。
加えて、入口の場所は確認しつつ、背中は壁側にしか向けないつもりだ。
さあ、
俺がアムウェイや宗教に洗脳されて悪のカンブリア宮殿入りするのか、
乱交パーティに加わってsixty nineするのか、
ヤバいアウトローにミンチにされてコインロッカーベイビーズになるのか、
こうご期待!
震えて眠れ!!!!
グダグダな街コンに行って仕事トーークに感動した話③
の続き。
俺は大学生のひろきと2人で安いキャバクラの片隅にいた。
目の前には、明らかにスーパーで買ってきた
「巻きずし」「タンドリーチキン」「魚介サラダ」「ハムカツ」「得体のしれない黄色いやつ」が並んでいる。
それらを挟んで向かいには、愛想の良いデブと愛想の悪いデブが座っている。
まあなんだ、西の良い魔女と東の悪い魔女みたいな感じだ。
街コンの二次会は「おでん居酒屋」で行われると聞いていた。
しかし、それは1部の選ばれしモノだけらしい。
俺とひろきは赤レインコートのみえと三々五々別れ、クラブ八だか九だかいうキャバクラを借り切った会場で2人のデブとマッチングさせられたのだ。
これなら普通に営業中に来たいわ!と思うが、
営業中でもつまらなそうなちゃちいキャバクラである。
当然、会話は盛り上がらない。
「お2人のご趣味は…?」
ひろきが果敢に攻め込んだ。しかし返事は
「うーん。。。。あんまない」
愛想の悪いデブのガードはどうしようもなく固い。
取り繕うように答えた愛想のいいデブの趣味は手芸だという。
おお……!一気に好感度が上がるな!
女は愛嬌とはよく言ったものである。
愛想のいいデブがキャサリン・ゼタ=ジョーンズに、
愛想の悪いデブが肉塊に見えてきた。
キャサリンに何かきいてみよう!
「明日とか、何されるんですか?ほら、三連休じゃないですか…?はは」
「私は休みじゃありません」
肉塊がしゃべった!
せっかくのキャサリンへの発言が愛想の悪いデブに抑えつけられて、線香花火の燃え滓のように地に落ちて、消えた。
おれはしょうがなく「得体のしれない黄色いやつ」に箸を伸ばしてその場の空気を改善させようと試みる。
なるほど。かぼちゃとナッツの和え物だったのか。そこそこうまいな。
しかし、また愛想の悪い肉塊が。
「まず、はきそう」とえずきだす。
同時に手を伸ばして彼女も「得体のしれない黄色いかぼちゃとナッツの和え物」を口にしていたのだ。
どうやら香辛料が口に合わなかったらしい。
ここで俺はひらめいた。
「かぼちゃとナッツ」を悪者にしよう!
いわゆる仮想敵を作るとチームの結束が高まる論理である。
大体いじめとかもこの論理で起きる。
「わかるわー。なんだこりゃ。ちょっとそこのお姉さんも食べてみてくださいよ」
ひろきと愛想の良いキャサリンも何かを察したようで、そのあとは「得体のしれない黄色い仮想敵かぼちゃとナッツ」の悪口で和気あいあいとした時間を過ごした。
そのとき、隣では地獄だった。
「俺YouTuberなんだ!ヒカキンって知ってる?」って言ってモテようとしていた人が1番の地獄だった
— 23才の夏休み (@miya080800) 2016年7月17日
隣のYoutuberはその後、大学生のひろきを指さして「エグスプロージョンにちょっと似てね?ぎゃはは」とイジってそこそこ笑いを取っていた。
そのあとは、席替えだ。
Youtuberの人のところで向かいに座っていた女性たちと一緒になる。
「エグスプロージョン~」でそこそこ受けていた彼女らである。
ちょっと本能寺の話をすれば、大盛り上がり。
織田と明智を肴に、薄いレゲパンがすすんだことすすんだこと。
あっという間に一時間がたち、おでん屋に自由に移動してもよい許可が出される。
本能寺でいうところの、楽市楽座である(笑)
俺と本能寺ひろきは喜び勇んでおでん屋に向かった。
おでん屋では、いとうまい子によく似た黒髪の女性、日本エレキテル連合の中野聡子(田所さんの方)にちょっと似た明るい茶髪の女性、特に何にも似ていないが濃い顔の普通の茶髪の男性と席を同じくすることになった。
そして、書いても仕方ないほど普通の話をした。
なんか仕事の話とか兄弟の話とかだ。
普通の話は平等に回ってきて平等に消費されるので時間がかかる。
気づけば、2時間がたち、18時になっていた。
二次会のお開きの時間だ。
俺はなんとか楽しい空気で終われたなという達成感でいっぱいだった。
この達成感をオカズに1人芝居ができるレベルである。
しかし、同じ席だった濃い顔の男性が、
「三次会いかない?」
声をかけてきた。
「うーん。行きたい!でも1人は怖い」
おれはひろきを呼ぶ。
備中大返しじゃ!
結果最後のおでん屋のメンバー5人で、繁華街の居酒屋まで行くことになった。
(続く)