グダグダな街コンに行って仕事トーークに感動した話③
の続き。
俺は大学生のひろきと2人で安いキャバクラの片隅にいた。
目の前には、明らかにスーパーで買ってきた
「巻きずし」「タンドリーチキン」「魚介サラダ」「ハムカツ」「得体のしれない黄色いやつ」が並んでいる。
それらを挟んで向かいには、愛想の良いデブと愛想の悪いデブが座っている。
まあなんだ、西の良い魔女と東の悪い魔女みたいな感じだ。
街コンの二次会は「おでん居酒屋」で行われると聞いていた。
しかし、それは1部の選ばれしモノだけらしい。
俺とひろきは赤レインコートのみえと三々五々別れ、クラブ八だか九だかいうキャバクラを借り切った会場で2人のデブとマッチングさせられたのだ。
これなら普通に営業中に来たいわ!と思うが、
営業中でもつまらなそうなちゃちいキャバクラである。
当然、会話は盛り上がらない。
「お2人のご趣味は…?」
ひろきが果敢に攻め込んだ。しかし返事は
「うーん。。。。あんまない」
愛想の悪いデブのガードはどうしようもなく固い。
取り繕うように答えた愛想のいいデブの趣味は手芸だという。
おお……!一気に好感度が上がるな!
女は愛嬌とはよく言ったものである。
愛想のいいデブがキャサリン・ゼタ=ジョーンズに、
愛想の悪いデブが肉塊に見えてきた。
キャサリンに何かきいてみよう!
「明日とか、何されるんですか?ほら、三連休じゃないですか…?はは」
「私は休みじゃありません」
肉塊がしゃべった!
せっかくのキャサリンへの発言が愛想の悪いデブに抑えつけられて、線香花火の燃え滓のように地に落ちて、消えた。
おれはしょうがなく「得体のしれない黄色いやつ」に箸を伸ばしてその場の空気を改善させようと試みる。
なるほど。かぼちゃとナッツの和え物だったのか。そこそこうまいな。
しかし、また愛想の悪い肉塊が。
「まず、はきそう」とえずきだす。
同時に手を伸ばして彼女も「得体のしれない黄色いかぼちゃとナッツの和え物」を口にしていたのだ。
どうやら香辛料が口に合わなかったらしい。
ここで俺はひらめいた。
「かぼちゃとナッツ」を悪者にしよう!
いわゆる仮想敵を作るとチームの結束が高まる論理である。
大体いじめとかもこの論理で起きる。
「わかるわー。なんだこりゃ。ちょっとそこのお姉さんも食べてみてくださいよ」
ひろきと愛想の良いキャサリンも何かを察したようで、そのあとは「得体のしれない黄色い仮想敵かぼちゃとナッツ」の悪口で和気あいあいとした時間を過ごした。
そのとき、隣では地獄だった。
「俺YouTuberなんだ!ヒカキンって知ってる?」って言ってモテようとしていた人が1番の地獄だった
— 23才の夏休み (@miya080800) 2016年7月17日
隣のYoutuberはその後、大学生のひろきを指さして「エグスプロージョンにちょっと似てね?ぎゃはは」とイジってそこそこ笑いを取っていた。
そのあとは、席替えだ。
Youtuberの人のところで向かいに座っていた女性たちと一緒になる。
「エグスプロージョン~」でそこそこ受けていた彼女らである。
ちょっと本能寺の話をすれば、大盛り上がり。
織田と明智を肴に、薄いレゲパンがすすんだことすすんだこと。
あっという間に一時間がたち、おでん屋に自由に移動してもよい許可が出される。
本能寺でいうところの、楽市楽座である(笑)
俺と本能寺ひろきは喜び勇んでおでん屋に向かった。
おでん屋では、いとうまい子によく似た黒髪の女性、日本エレキテル連合の中野聡子(田所さんの方)にちょっと似た明るい茶髪の女性、特に何にも似ていないが濃い顔の普通の茶髪の男性と席を同じくすることになった。
そして、書いても仕方ないほど普通の話をした。
なんか仕事の話とか兄弟の話とかだ。
普通の話は平等に回ってきて平等に消費されるので時間がかかる。
気づけば、2時間がたち、18時になっていた。
二次会のお開きの時間だ。
俺はなんとか楽しい空気で終われたなという達成感でいっぱいだった。
この達成感をオカズに1人芝居ができるレベルである。
しかし、同じ席だった濃い顔の男性が、
「三次会いかない?」
声をかけてきた。
「うーん。行きたい!でも1人は怖い」
おれはひろきを呼ぶ。
備中大返しじゃ!
結果最後のおでん屋のメンバー5人で、繁華街の居酒屋まで行くことになった。
(続く)