裸で独りぼっち

マジの日記

薄甘い闇の中から

結論から言おう!

 

アーーーーーーーーーーーーームウェーwwwwwwwwwwwwwwwwイwwwwwww 

 

当確ランプは一番の方に付きました!!カンカンカンカン!!!!!!!

いや、予想通りの結末。あまりに予想通りの結末となりました!

ワーワー。

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時計の針が9と5を指すころ、

俺は女と約束した時間に所定の場所で待機していた。

 

とっとと逃げられるよう自転車に乗ってきていた。

hadahit0.hatenablog.com

この自転車ね。

 

すると所定の時間になってもやつはこない。

 

あれ、見過ごされたかな?

やったーーーーーーーーー!!!!!

 

と思った瞬間。

 

来た。

 

花柄のスカートに白いインナー、ラクダ色のトップス。

首から何かカードのようなものをぶら下げている。

 

まさか、アムウェイの会員カードか❓と思ったら、これは普通に社員証だった。

へえ、結構有名な企業に勤めてんのね。

 

誘導されるがままに、街の灯りとほど遠い方向に誘導される。

 

(もう怖い。たしゅけてどらえもーーーーーん

ねずみ講破壊爆弾出して!!!)

 

内心はこんな感じだったが

しかし、俺は一つ決めていた。

 

「ちょっと探りをいれてやろう」と。

 

本当は昼にLINEで

「まさかとは思いますけどアムウェイの集いじゃないですよね笑

         失礼だったらごめんなさい笑笑」

と書こうと思ったのだが、やめた。

 

そこで(あ、こいつアムウェイに詳しい)と思われて、より上の手口を用意される可能性を恐れたのだ。

俺が詐欺師ならそこでは「え?違いますよー(笑)」と書きつつ、その斜め上を行く策を考える。

 

そのリスクは取れない、そう考えた。

 

しかしもうお目当てのマンションに着きそうだ。ここまで来たら大丈夫だろう。

こいつも他の策を用意できまい。

 

俺「あの、

 

女「はい?」

 

俺「○○さんが来てくれてほんと安心しましたよー笑、いや、きてくれるかな、ってちょっと不安だったんで笑忘れちゃったのかなと。えへへ」

 

女「え?そんなことないですよー。笑本当にみんないい人たちなんで、楽しんでくださいね」

 

俺「はい!ありがとうございます。ですよねー。みんなリア充って、いうかねえ!そんな感じでほんとうらやましいですよー。え?どうやって○○さん仲間に入ったんですっけ?」

 

女「いや、私は人の紹介で」

 

俺「ですよねー、いや、僕なんかは、ほら、やっぱ知らない人のホームパーティとかはネットでググると詐欺とか色々出てくるっていうか、なんか怖いっていうか

 

女「」

 

「いやーそうですか??私は全然わかんない笑」

 

今なんか空白がなかったか????????(;・∀・)

 

その点ばかりを気にしながら上の空で自転車を止め、オートロックのマンションの9階へ2人で入った。

 

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やたらに重い扉を開くと中から話し声が聞こえてくる。

うっすら流れているのはアンビエントみたいな音楽。

 

うちで一番走りやすい靴を靴箱にしまって中に入った。(本当はすぐ逃げられるようにしまいたくなかったけど、皆がしていることをここでしない言い訳は思いつかなかった。)

 

中では、6人ほどの男女が、12帖ほどのリビングで立って談笑している。

中心にはテーブルがあり、2杯のカレー?が入った鍋と、同じ数の豆腐サラダのボウルが。その周りを、やや筋肉質で半パンの男、スーツの上着を脱いだ男、学生みたいな女、痩せて背の高い男、背が低くて化粧の濃い女が囲んでいる。 

リビングには4帖ほどのキッチンが併設されている。その中で水を入れる老けたギャル曽根みたいな女。

 

こいつがここの主?

 

右手にはもう一つ部屋がある。

 

荷物を置くように促されたので素直に従う。もちろん上着は着たままで、貴重品はポケットの中だ。

 

この部屋の奥には洗面所とシャワー、そして浴室がある。

 

ここで俺が注目したのが部屋の隅の空気清浄器。

 

eSpring…?なんだこれ、どこのメーカーだ。

 

脳裏に焼き付けておく。

 

他にもアムウェイっぽいものはないだろうか。

 

このグラスは、IKEAか。

このコンポは…?BOSEかい!

 

…そうこうしている間にまた続々と男女が入ってくる。

全員が

「あー、あらどうもー!」

などと声をかけるが、特にそのあと話をするわけではない。連れてきたやつとだけ各々話す。俺も最初の女とずっと話していた。

 

と、全員がそろい、飲み物が運ばれてくる。

 

缶入りの炭酸水と、缶入りのレモン水と、グラスに入った水だ。

 

っあーーーーーーーーーーー!

水の入ったグラスの蓋に「Amway」ってかいてあるーーーーーーー!!!!!

 

これがグレーが漆黒に変わった瞬間である。

 

もうこの場にいる人間は、自分以外全員信用できないのだ。

 

そんなレザボア・ドッグス的な展開に、俺の眠っていた能力が開花する

…わけではなかったが、「ここにいる奴ら全員敵だ」

と思うことで、そこそこ傍若無人にふるまえるようになった。

 

勝手にまだ安全そうなレモン炭酸水を注ぎ、カレーも確保する。

 

「それじゃ……カンパーーーーイ!」

 

老けたギャル曽根の音頭でグラスがあわされる。

 

また初めのように仲間内だけの会話が交わされる、と、

 

「あっパパも来てるじゃーん」

俺を連れてきた女がパパと呼ばれる男を俺に紹介する。

 

パパというくらいだから幹部なのか?と思ったら、

まだ25くらいの若者であった。

警戒しながらパパと話す。パパは身重の妻を抱えているらしい。

それが本当なら、あぶく銭追いかけるのやめて全うに働きなさいよ…。

 

続いて都万(仮名)(こんぐらい変わった苗字だった)やもう名前も忘れた痩せて背の高い男も紹介される。

 

俺はごくごく普通の話、(こっちは寒いだとか、なんの仕事をしているだとか、趣味は何だとか)、を話す。心の温度はゼロのままで。

 

「ちょ、ちょっと一回トイレに行ってきます」

 

トイレで、さっきのeSpringをググって、震えた。

 

f:id:hadahit0:20160725235623p:plain

 

こ、これだ!(;^ω^)

これでアムウェイステマだと思われたら癪なのでリンクは貼らない。

 

これは、勧誘される前に帰らねば…。

 

女に「明日5時30分から仕事だ。」という大嘘を吐き、もう帰りたいと伝える。

女はたいそう怪しんだろうが、意外にもすんなり「じゃあ、もう××さんにあいさつしたら帰っていいよ」と。××さんとは、老けたギャル曽根のことだ。

 

「それにしても、hadahit0くん、さっきから部屋をきょろきょろ見てるよねー?」

 

やばいいいいいいい。

 

「い、いや、僕のアパートはぼろアパートなんで、こんな部屋いいなーって。きれいで、まるでモデルルームみたいじゃないですか」

 

女「あ、そうなんだ?いつかはこんな生活してみたいとか思う?」

 

こ、こっちもやばかった!!!

 

「いやー、でも苦労もありそうっていうか…」

 

何とかしのいで、勧誘されることもなく、帰れることになった。

 

俺を連れてきた女と痩せた男が「あの人いる?」「いない」「いや、いるっちゃあいるけど…」「ああ、なるほどね笑」的な意味深な会話をしていたのは怖かったが。

 

荷物をすぐさままとめ、花柄の女とエレベータで降りる。

 

女「そういえばさあ、hadahit0くん、来るとき怖いとか詐欺がどうとかいってたじゃん?」

 

俺「はっはい」(ややばい)

 

女「大丈夫だった?笑」

 

俺「はい。。。いやー、みなさんいい人で、全然」(いっそ「アムウェイだろてめえ」って言ってやろうか❓いやだめだ。今尻尾をだせば、まだエレベータ止められて連れ戻される可能性がある……!)

 

一階に到着した。

 

俺「今日は本当にありがとうございました。」(いまだ!!もう走って逃げれる距離!屈強な男もいない!もう言ってやれ俺!

 

 

 

「あ、ちなみになんですけど、○○さんたちってアムウェイの方なんですか?」

 

 

 

 

「え、ううん。わかんない、なんで。」

 

「いや、浄水器とかそうだったから」

 

「え?そう?」

 

 

 

 

 

 

わたしほんとにわかんない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういった彼女の眼は、来た時よりもずっと、深くてグレーな闇を、鈍く発しているように見えた。

 

そのあとはめちゃくちゃ自転車を飛ばして帰りました。(´;ω;`)

 

 

仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

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