裸で独りぼっち

マジの日記

マルチ商法の小説『ニューカルマ』感想

■はじめに

出会い系の女にノコノコつれられてア○ウェイのカレーパーティーに行って以来マルチ商法のことが頭から離れない。

 

まるで、マルチ商法に恋してるみたいだよ…。

いずれはマルチ商法と枕を交わしたいぜ。

 

ということで、「マルチ商法 手口」とかでググっててたらこのNaverまとめが出てきた。

 

matome.naver.jp

 

俺はかねてより、新堂冬樹の黒い方の小説とか奥田英郎の『無理』とか裏社会系イヤミス(嫌な気分になるミステリのこと)が好きなので、さっそく図書館にいって借りてきた。

俺の完全な偏見でありその図書館の人に訴えられたら負けてしまうが、カウンターで業務をしている人はちょっとマルチ商法やってそうな真面目かつ変な感じの人ばかりだった

そういえば就活時にある図書館のカウンター業を主に行う会社の面接を受けたのだが、そこの初任給が月30万円と妙に多かった。あれはなんでだったんだろう。

闇の力を感じる。

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■作者と背景

 

『ニューカルマ』は今年の1月に集英社から刊行された小説。

作者は新庄耕。

少年サッカーの県代表として全国大会出場したものの、挫折してスーパーDQNになり、クラブに入り浸る。しかし、21歳で慶應SFCを卒業。卒業後はリクルートに入社。しかしエリートとしての生活に危機感を抱いて1年半で退社し、職を転々とした末投稿した小説『狭小住宅』で小説すばる文学賞受賞。受賞後1作目がこの『ニューカルマ』らしい。

 

こういうスーパーDQNと作家とかを両立する人生の人ってどういう思考回路何だろうか。クラブでワーッてなってセックスのためにめちゃくちゃ頑張る価値観と小説のために色々考える価値観って違いすぎると思うんやけど。

でも、そういえばスーパーDQN→作家の人は大勢いても作家→スーパーDQNの例は全然いない。なんか年取ったら脳のドーパミン分泌量が減るとか?そういうのが関係しているのではないか。根拠はスーパーゼロだが。

 

『狭小住宅』は不動産業界のブラック営業を描いた小説らしい。とりあえず2作目までの新庄氏はそういう「社会の裏側つらいえげつない系」の作風のよう。

 

■『ニューカルマ』感想

 

そんな新庄氏が大学時代彼女にマルチの商品を交わされた経験や自分がネットワークビジネスの会員だった経験を元に書いたのが『ニューカルマ』。

あらすじ

大手メーカーの下請けとして働くタケシ。ある日、突然大学の友人から電話がかかって来る。案の定マルチ商法の勧誘ということで馬鹿にしていたのだが、会社の経営不振によるリストラの危機感からセミナーに参加し、会員になり、と徐々に深みにはまっていき、仕事も、友人も行きつけのバーも、自分を心から引き留めてくれる親友すらも失っていくー

 

こうして考えると、俺のアムウェイ誘われ体験談なんて実際には勧誘される前に逃げてきたのだから全然安全地帯での話である。

 

同じくマルチの小説『睡魔』を書いた梁石日くらいはまり込まなければ偉そうにマルチのことは語れやしない。

(ネットの情報では幹部になったり大量の会員を増やして表彰されたりしたそう)

 

ともかく、この小説では主人公タケシがマルチにドはまりしていく。

 

ネタバレになるが、一度ではなく、何度も、もうマルチはしない、と決めてもまた別のマルチをやってしまうのだ。

 

冷静な目で行動を見ると大馬鹿空っぽ脳みそマンとしか言いようがないが、小説を読むといくばくかの説得力がある。

 

特にそう思うのが、タケシが枕営業というチートも用い、順調に会員を増やして月収70万円を稼ぎだすところだ。

 

普通にいいなあーと思ってしまう。

作者もインタビュー

ネットワークビジネスの闇と光 新庄耕「ニューカルマ」

で話しているが、マルチ仲間とはいえ、同じ目標に向かって切磋琢磨できる仲間がいて、大金を稼ぎだせるならもう、マルチ全然いいじゃんーと思えてしまうのだ。

 

知り合いから元大手メーカーのエンジニアを紹介されて、ネットワークビジネスで月300万円くらい平気で稼いでる大変優秀な方で、「新庄君、普通に働くなんて馬鹿らしいよ。この世界のほうがいいよ」って言うんだよね。

ネットワークビジネスの闇と光 新庄耕「ニューカルマ」

それが怖いところで、ある種理屈に合わないところで忌避しないと、自分より頭のいい奴に理屈で説得された場合、理屈民族はもう承伏させられてしまうのだ。

 

陳腐なたとえだが、オウムとかと同じである。自分は賢いと思って油断していると、上祐になってしまう。

 

システムを提供してくれて、実際それで結果出してる人もいる。商品が悪かったらダメだけど、昔に比べて商品も良くなっていて。それだったら本当に何を批判できるのかな、というのは、読んでいて思いました。

ネットワークビジネスの闇と光 新庄耕「ニューカルマ」

 

まあ、タケシは結局枕営業で得ていた人脈を他に取られてガンガン転落していくのだけれど。

 

とどのつまり、ネットワークビジネスでいろんな健康商品を売ること=功徳を積むことになる宗教に入って転落していく小説だともいえる。

 

そのために、自分宗教を強固にしながらも、うまく世間と当てて他の考えを取り入れ、利己的でありながら寛容でなければならないんですな。

 

ということが分かった。

 

俺をアムウェイの集会に連れて行った女によませたらどう思うか知りたい。

 

たぶん、「私は違うよ!わかんない!」ていうんだろうなあ。

 

あーあ。 

 

↓マルチに弟がはまった人の体験談ブログ。これも面白かった。

d.hatena.ne.jp