バズマザーズ『普通中毒』-①「時代をくれ」
このアルバムで(いや違うな)
ここ最近の状態として、
バズマザーズGtボーカルの山田亮一は
意図的にロックスター然しようとしている。
その傾向が如実に表れた曲。
前アルバム『怒鳴りたい日本語』の一曲目「怒鳴りたい日本語」は
使いたい日本語を自由に怒鳴るという曲だった。
この「時代をくれ」は
ある種同じシステムで、
今の邦楽ロックという状況について、
厚顔無恥なほど自由にいいたいことをいい、
旧時代のロックスターのように、新時代を自分等が掴むと怒鳴っているわけだ。
あんたの歌は、毒にも薬にもなりゃしないさ
目を逸らすな、声高いだけの優男さん
「時代をくれ」
などはあまりにロコツだが、それだけに本気感が伝わる。
こっから全部俺のターン
「時代をくれ」
なんて、冷静に考えると<遊戯王やんけ>といいたくなるが、
もちろんロックスターもバンドマンもにちゃんまとめやジャンプを読むわけで、
実際に耳に残るこのフレーズがインプットされているのはおかしくはない。
至極当然である。
それなのに使わないことを、きっと山田はやめたのだ。
時代を呑むためには、清濁併せ呑む気概が不可欠だ。
どんなフレーズも使うし、どう思われてもよい。
そんな骨太の思想がこの一曲から香り立つような気がする。
余談だが、7/8拍子というおかしな拍子が「時代をくれ」と「怒鳴りたい日本語」
ともに共通している。
ちょろっとよんだ『葉隠』を引用
「怒鳴りたい日本語」
新免無二斉の太刀筋さえ止まって見えるぜ
「時代をくれ」
のような剣豪モチーフのフレーズも両オープニングナンバーを双子のように思わせる。
何か山田なりのブームがあるのかもしれない。
その前の3rdアルバム『THE BUZZ MOTHERS』の一曲目「東京デマイゴ」にはみたところ前2曲と共通項はないようだ。
(終わり)