『ジンメン』―現時点感想
今日は、ちょっと前にバナー広告でバンバン宣伝されていたあざとい漫画『ジンメン』を読んだ。
しばらくWeb漫画を読まずにいたら、『サンデーうぇぶり』というWeb漫画サイトができたということで。
ウェブ漫画サイトを乱立してそこから人気が出た奴だけを猛プッシュ→単行本化で儲けるというのが最近の漫画界の手法なんだな。
いや、前からあった手法か知らんけど。
この漫画に原稿料とかって出てるんだろうか?
マンガ読むのもちょっとさぼったら時代に置いてかれんな……。
現在41話ということで2時間で最新話まで追いついた。
ざっくり読んだ印象は「テラフォーマーズ×ハカイジュウやなこれ」である。
どっちかといえばハカイジュウ味が強い。
もっと言うとハカイジュウも数多あるパニックサバイバルSFの類型の1つだ。
あからさまにテラフォーマーズの虫を動物にしただけのところもある。
そういうあざとさがあるけれども、それらの要素のパッチワークがうまいので、あからさまにパクリだけの話とも言えないのが、作者の巧みなところであり、漫画界の地下闘技場みたいなところから頭一つ抜け出せた理由なのかなと思う。
「この作品を読者はどうとらえるか」とちゃんと考えている作者だと思う。
周りの人間はパニックに陥る中で一人別の視点からものを見ることのできる主人公、主人公の原動力は幼馴染の美人を守ること、あからさまに主人公太刀を裏切るやつらが出現しそいつらはすぐジンメンに悲惨な目にあわされる。
これらはめちゃくちゃベタ。これらだけなら、読んでもしょうがない。
しかし、動物好きの主人公がパニックの中でも和解の道を探る、というのはドラマを生む、とても素敵な設定だと思った。
主人公と旧知の敵が最後に心を取り戻し、蜜月のときを思い出しながら死んでいく、というのはやはりたいへん熱い展開だ。
バトル漫画では、ありがちなことかもしれないが、こういう人外パニック系では珍しいアプローチだと思う。
また、主人公が和解の道を探る、とは言いつつもそのためにほかの人間の足を引っ張る場面は巧妙に避けられているのもストレスレスでよかった。
ゾンビ物で半感染者を生かすか殺すか迷って、主人公側は守ることを強固に主張して、結局ゾンビパニックが起こる、という残念展開にはもううんざりである。
緊急時に危機感がなく周囲に迷惑をかける人間が主人公ではとてもじゃないが感情移入できない。
その点、『ジンメン』では主人公が敵側(ジンメン側)につく場面は、どうあがいても結果は同じ場面ばかりで、言葉でうだうだ主人公が持論を語るところも比較的少ない(あるにはあるが)。
基本的にはびっくり箱漫画(衝撃的なシーンのどきどきで人を惹き付ける漫画)で、「これが生涯ベストの漫画です」という人は考え難いが、日々のストレス発散としてびっくり箱開きつつ物語成分も取り入れたいという場合にもってこいな、理想的無料Web漫画でした。