裸で独りぼっち

愉快な毎日の記録

遠野で聞いた語り部の話メモ  

本日遠野に旅に来ている。

遠野といえば遠野物語。いわずとしれた民俗学者柳田邦夫の遠野に伝わる民話を集めた説話集だ。

その地で、語り部の民話を聞く、という機会があった。

覚えておける自身はないが、忘れてしまうには忍びない。

というわけでここにメモしておく。

 

[語り部の話1]

ある家の娘が突然いなくなってしまった。

家人は探し回ったが、どこにも姿は見当たらない。

神隠しにあったんだ」家人はそう話し合い、娘のことをあきらめた。

それから33年経過した。娘がいなくなった日は、親戚一同で集まり、娘について語り合うことになっていた。

そんな家に、1人の客人が訪れる。

それは、白髪交じりの老婆だった。長年の苦労をにじませるような疲れた表情と老人特有の雰囲気。

「……どなたでしょうか?」

扉を開いた親戚がそう尋ねると、その老婆は自分が33年前に神隠しにあった娘だと答えた。最初はいぶかしんだが、どうも本当らしい。

「家族に会いませんか。兄弟も、母もまだおりますよ」

しかし、老婆は首を横に振った。今更家族に合わせる顔はない、と。

どんどはれ。

 

[語り部の話2]

これは、家制度という枠組みの中で、夫婦が営まれていた時代の話だ。

曰く、生まれたその時から男性は「福の神」である。

それに対し、女性は、「鬼」である。2本の角が生えている。だから、結婚の際には「角隠し」を身に着けて、髪を結い、その鬼たる面を隠蔽しなければならない。

女性は嫁ぐと、「嫁」になる。嫁は、女と家を合わせた字だ。

女は子供を産むことで、その家の人間となる。

それまでは、女は玄関から家に入ってはならない。こっそりと、災いを呼び込まないように、だれからも見つからないように裏口――勝手口から入らなければならない。

勝手口はかまどの備え付けられた台所とつながっている。女はそこで火を操り、家を守らなければならない。

 

年を取った女は婆となる。婆は波と女を合わせた字だ。波とは人生の荒波である。自分が家を取り仕切っているといばっている男だって、人生の波には決してあらがえない。それを乗り越えた英雄が婆である。

婆は子を育て、それは孫に受け継がれる。そうして家は続いていく。

これは、戦争に日本が負け、男女が平たく(平等に)なる前の話である。

どんどはれ。

 

[語り部の話3]

これは、

山男と山女の話だ。

 

ケース1:ある日、ササを担いで山を歩いていた兵六は、後ろから、ササが大きくたなびくほどにすさまじい風が吹いてくるのを感じた。

ふりむくと、女がいた。女はイネを背負い、すさまじいスピードでかけてきた。兵六はその様子に思わず目を奪われた。女はそんな様子をあざ笑うように兵六を追い越していった。

 

ケース2:その日、与吉は狩りに出ていた。雉や鹿、それに山鳩などを狩って今夜の飯の種にするのだ。森の中には、木々、虫、小動物、などのいつもの風景に加えて、見しいらぬ異物――女がいた。

きれいな女だった。とても、与吉の住んでいる田舎にいるような女だとは思えなかった。物の怪の類に違いない、そう考えた与吉はその頭めがけて火縄銃の弾丸を放った。

すると、女は倒れた。そして、微動だにしなくなった。

なんだ、普通の女だったのか。与吉はその髪を記念に切り取り、家に持ち帰った。

そうしてその髪を懐に隠し持ち、たらふく獣の肉を食って眠った。

夢の中、与吉は家にいたその中に、六尺ばかりおある大男が押し入ってきた。そして、与吉の懐に手を突っ込み、女の髪を奪った。

はあ。はあ。目を覚ました与吉。夢だったかと懐に手を伸ばすと、果たして女の髪はなくなっていた。それから与吉は狩りをぷっつりとやめてしまったという。

どんどはれ。

 

[語り部の話4]

五徳という道具がある。囲炉裏にくべる薬缶や鍋を支えておくための台のようなものだ。その五徳、支えるための足は3本である。

それなの五徳。それにはわけがある。

昔、五徳は四徳という名前だった。そして、足は4本だった。名前と一致している。

それにたいし、昔、犬は3本足だった。現在の後ろ足が1本足りない状態だ。

そのため、後ろの1本足を引きずって歩いている状態だ。これではバランスが悪い。

哀れに思ったお釈迦様は、四徳にこう言った。

「おい四徳、足が4本でも3本でも動かないおまえには関係あるまい。1本を犬にやってはくれんか」

四徳は了承した。そうして、犬は4本足に、四徳は3本足になった。

その功績を見たお釈迦様は四徳は1本足を失ったことで1つ徳を積んだ。と言った。

つまりは四プラス一で五徳。それが五徳のはじまりである。

どんどはれ。

 

おまけの話。

[語り部の話1のおまけの話]

「どんどはれ。」とは「わらくずをはらえ」という意味。

「どんとわらくずを払え」→「どんとはらえ」→「どんとはれ」と変化した語りの終わりを告げる言葉。

昔は囲炉裏を囲んで藁(わら)仕事をしながら物語を語り合っていた。

その時の終わりを告げる言葉が「どんと(作業によって体に散った)わらくずをはらえ」だったというわけである。

 

[語り部の話3のおまけの話]

この、山女・山男というのは、現在では外国人もしくは犯罪者のことだといわれている。

外国人説については、彼らの体格が一様に日本人離れしたものとして報告されていること、赤や金などの髪で歌えられる例が多いことなどがある。天狗など、外国人がもとだといわれる怪異のたぐいは多い。

犯罪者説については、日本のムラ社会の気風と当時のずさんな犯罪者の取り扱いが関係している。例えば身内から嫁いだ先から逃げ出してきた娘や盗み・殺しを犯した子どもは受け入れられない。さりとて、牢獄に閉じ込め続けることもできない。

その結果、彼・彼女らは県外の山に追放されることになる。そうして、夜道で犯罪をはたく。そんな彼らを避けるため、山男・山女の脅威が伝承されたのではないか。

語り部はそう語る。

『IT イット "それ"が見えたら終わり。』 ネタバレ感想「別に終わりじゃない」

全米で『エクソシスト』超えを果たし、歴代ホラー映画No.1の興行収入を達成したスティーブン・キング原作のホラー映画『IT イット "それ"が見えたら終わり。』を見てきました。

 

Twitterの感想は以下の通り。 

 

70点

wwws.warnerbros.co.jp

全体所感

Twitter感想に尽きるんですが、良くも悪くもお化け屋敷映画でした。ペニーワイズ(ピエロのお化け)がワッと出てきてギャーと驚かされる感じ。

よくこのようなハリウッド的ホラー演出はJホラーと比較して「怖くない」「子どもだまし」といった低い評価を下されがちですが、やはり純粋に楽しいことはこの映画の大ヒットを見ても明らかだと思います。

まあ、僕自身はJホラーの静的な怖さとお化け屋敷的なハリウッドホラーが2つに峻別できるというのにもそもそも懐疑的で、「緊張→恐怖」の割合の違いが傾向として表れているだけのようにも感じています(Jホラーの方が緊張の割合が大きい)。

実際今回も図書館で太っちょ少年ベンが襲われるシーンの何か出てきそうで、出てこない感じはJホラー的でしたしね(とはいえ首なしエッグボーイが出てきたシーンはあまりにお化け屋敷的でしたが)。

 

良かった点

 

1.演出(とくにペニーワイズ)

1989年のTVドラマ版も含めて、このIT独自かつ最大の魅力はピエロの怪物の造形の奇矯な禍々しさにあると思います。

――ピエロ恐怖症。

自分も幼少期には上記の罹患者で、実家2階のトイレ前に飾られたそれには得体の知れないものを感じで目をそむけていました(当時「マダーサーカスゾンビ」という遊戯王カードを所有しており、そのイメージが脳裏に焼き付いていたのもあると思います)。

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そのペニーワイズの雰囲気がしっかり表現されていたし、しっかり演出されていたかなと。

演じたビル・スカルスガルドさんは演技本番まで子供たちにペニーワイズの造形を見せないようにしていたそうですが、その演出も効いており、子どもたちのリアルに怖がっている気持ちが見ているこちらにも伝わってきました。

 

2.ベバリーの魅力

ベバリーはこの作品のヒロインであり、周囲からあばずれのレッテルをはられ、実際には父から性的&モラル的虐待を受けている少女です。

彼女は弟をペニーワイズによって失った主人公ビルらが属するルーザーズ(負け犬軍団)入会することになるのですが「こんな子がいるなら負け犬で全然いいや」と思えるほどの魅力がありました。

大人びた魅力、つまりは淡い気持ちを抱かせる進んだお姉さん的な、でも気軽に話せる気安さも持ち合わせている。

例えば、ルーザーズが崖の上から川に飛び込むのを躊躇しているところへ彼女がさっそうと現れビキニで海へと飛び込みます。その際のルーザーズの驚きとニヤケと喜びが混じったような雰囲気がすごくいいんですよね。そのあとの川遊びの青春感もたまらなかった。

実際には性的虐待を父親から受けているという非常に重たい背景を持つキャラクターなのですが、そういった弱みをルーザーの前ではほとんど漏らさないというのも、幻想を維持するという意味でよかったと思います。もちろんこの点は虐待がそれほど痛みとして機能していないのではないかという批判の種にもなるとは思うのですが。今回は虐待の直接的な描写はありませんし、この程度のバランスが良かったのかなと。

 

悪かった点

 

1.キャラ大杉問題

ビル(主人公)、ベバリー(ヒロイン)、ベン(太っちょ)、リッチー(おしゃべり)、スタンリー(パーマ)、エディ(過保護)、マイク(黒人)と7人がルーザーズとして登場するのですが、この中でもリッチー・スタンリー・マイクの掘り下げが薄すぎ。。

リッチーは家庭環境が一回も出てきませんし、スタンリーは怖い女の絵に脅かされるだけ。マイクは両親を不良少年ヘンリーに焼き殺され、自身も殺されそうになったところを反撃して井戸に落とすという結構なことをするのですが、その割にその後どうなったとか両親を殺された痛みなどの描写が薄い。

原作がそうだから仕方ないのですが、やはり2時間と少しの映画の尺で7人の腫瘍登場人物を出すのは無謀です。キャラはまとめてしまって5人くらいにした方がよかったんじゃないのかなー。その方が人数も減って恐怖感も高まりますしね。

 

2.ルールがわからん

ベバリーの家の排水溝を通して血を噴出させたり、ベンの家の地下室に弟の幻想を伴って出現するなど現実改変能力&空間操作能力を持つことを想像させる怪物ペニーワイズ。

しかし、そんな怪物はルーザーズの暴力でいともたやすく傷つきます。

怖がらせられるだけで物理攻撃はできない敵なのかなと思いきやベンの腹に爪で傷をつけたりしてますし、どういう種類の敵かわからないので、まあ主人公たちを致命的に傷つけるようなことはできないのだな、と途中から高をくくってみてしまいます。

そして、やはりその想像は超えてこない。

敵がなにがなんだかわからないのはホラーとしてはむしろプラスに働く要素だとは思うのですが、主人公グループも殺せるくらいのいい意味で悪い得体のしれなさを見せてほしかったなと思いました。

邦題で”それ”が見えたら終わりというので、『リング』における貞子の余蘊い見たものは絶対に殺してしまうジンクスを発揮するのかと思いきや、別にそんな設定もなく、むしろ見た人をびっくりさせてからが長いですからね。

 

終わりに

キャラが5人でやれば文句なしの作品になった気がします。特に前半はペニーワイズの恐怖感とスタンドバイミー的青春感が交互に出てくる緩急がとても気持ちよかった。次は主人公たちが大人になった27年後を描くpert.2が予定されているとのことですが、だれか主要キャラが冒頭で死んだぞ、という噂を耳にしたらマストで見に行こうと思います。だとすれば前半が最高のふりとなって後半に襲い掛かる恐怖が期待できるので。

でも、そうはならなそうだなあ。

M-1 2017 全組感想と全体所感”理”

人と人がしのぎを削るショーレースの盤上。そこには何等か全体に共通する”ムード”のようなものが醸成される……ような気がする……と断言したい。

 

今年のM-1グランプリ、つまりM-1グランプリ2017は”理”のM-1であった。

 

昨年のM-12016は”技”。銀シャリ・和牛・スーパーマラドーナ。この巧者3組がしのぎを削り、結果として最も”しゃべくり”の枠の中で進化を突き詰めてきた銀シャリが勝利をつかんだ。

 

その前のM-12015は”華”。敗者復活を勝ち残ったトレンディエンジェルが圧倒的なまでのポップ性とウケでM-12.0の頂に上り詰めたのは記憶に新しい。

 

理は「理想」の理であり、「理屈」の理である。

理想! 漫才とは「チンピラの立ち話」ではなく、「喋りのプロによる技巧の披露である」という理想。動きや発想といった”素人芸”ではなく、以下に客を引き込むかが重視されるべきだという思想。

 

理屈! ユニバース・カミナリ・スーパーマラドーナ・和牛。とかく今年流行したフォーマットである”伏線回収”。漫才コントであれ、しゃべくりであれ、一定の世界線というものがあり、そこからの逸脱が後に暴かれる。その、「理(ことわり)」の隠ぺいと再提示の快感の破壊力に大勢がうなった夜。

 

では、優勝したとろサーモンは「理想的」で「理屈」の通ったコンビだったのか?

そうではない。”すかし漫才”のころだったらそうかもしれないが、今のとろサーモンはそうではない。

だから、俺は和牛が優勝したと思った。

でも、そこで「ゆがんだ天才、ボケ久保田とそれを糾す巧ツッコミ者村田のとろサーモン」を選んだことこそ、漫才が理想という枠に収まって欲しくないという理想と、和牛を順当に選んだとき盛り上がりを見せたM-1、2.0の波は引くだろうという理屈という審査員の気持ちが逆説的に表れたのではないか。

屁「理」屈かもしれないが、

 

1組目 ゆにばーす

巨人89リーダー87礼二90小朝91大吉92松本87上沼90 合計626

川瀬名人「1組目やったんで、もう、逆にあきらめ付いたというか」

 今回のM-1で最も割りを食ったのがこのコンビである。王者のコメントを求められた際、トレンディエンジェルのたかし(ツッコミ・巨大ロボを操る敵みたいな方)が「正直、ゆにばーすの5番目、6番目に出てきたとき、どんな点数がどうだったのかなって」といったのが忘れがたい。全くその通りだ。受け通りでいえば、決勝に残らずともさや香の上くらいの順位にはなっていたのではないか。

ネタは、『地方のビジネスホテル』

ほかのネタに比べても明らかにレベルが高い。大切に抱えてきた勝負ネタだったろう。

それを一組目で披露することになった川瀬名人の胸中いかばかりだったか。

――不利を覆すくらいのウケがとれるネタや、間違いない

――おそらく落ちるから一番ええネタ見せとこう

前者、後者いずれの気持ちも混ざりあっていたに違いない。

 

漫才コントで見えない部分を種明かしして想像力を刺激させる手法というのは、演技力が試される代わりに観客に与える臨場感が桁違い。3回戦のネタ合コンでも頻繁に使われていた手法だが、今回は登場人物がはらと川瀬名人だけですっきりと整理されていた分、伏線が丁寧かつ分かりやすく、観客にもかっちりはまっていた。

 

(はらに押されて)「あ、すいません」

「天井引くない?」

「ここ一階やねん」 

 「翼の折れたエンジェル」を腹がシャワーを浴びて熱唱するというただただ絵的にインパクトの強い部分をサビに持ってこれたのも強い。あそこで抜かれた松本人志の笑い顔を君はみたか。

だが、

「一巡目でつけられる最高点が92点だと思うので」

ということで、合計点はやはり抑えめになってしまった感は否めない。

正直、優勝の絵は見えないが、決勝3組には入ると思っていた。1巡目でさえなければ。

 

2組目 カミナリ

 正直、決勝に行くとは思っていなかった。

一度ばれたフォーマットは、弱い。

その後できるのは、新たな手法を発明するか、その手法を伝統芸能にするかである。

しかし、カミナリが取った手法はブラッシュアップ。

それまでずれていた”どつき”の間を詰め、伏線を張り巡らせることで後半に畳みかけを実現できることになった。

後者はともかく、前者は”進化”なのか?

俺はそう思った。どつきがずれた間の後に来るからこそ新しい漫才なのであって、その間が詰まってしまったらただのドツキ漫才だ。

とはいえ、そのチェンジがなければ、決勝にコマを進められることはなかっただろう。

ずれた間が亡くなれば、当然それは普通のドツキ漫才であり、普通の漫才のフォーマットでも成立しやすいものとなる。

わかりやすく書くと、数コマずれてから突っ込んでますよ、というサインとしてカミナリのドツキは機能していたと思うのだ。それがずれを失ってしまったら、ドツキはやや過剰なものとなる。

上沼恵美子がドツキをなくせと言ったのには、そういった意味も含まれているのかもしれない。

(――いや、あの人は絶対好みでぱちん!ていうのが好かんだけだとは思うけど)

そもそもをいうと、最強の動物というテーマでサメとかワシとか俺自身とかを持ち出してくるのはボケであるまなぶのキャラから考えても、アホ不自然すぎる。本当のアホではなく、ふざけた回答をしているふざけたやつに見える。川柳や電話でのアルファベットの伝え方ではないが、もうちょっと理に傾いたテーマでネタを作るのがカミナリにはあっていると思うんだけどどうだろう?

 

3組目 とろサーモン

友達や新道辰巳やにちゃん(現5ちゃん)がバチバチに優勝候補だと期待していたとろサーモン。結果としては優勝。

とろサーモンの漫才は久保田という異質な人間を村田がザ・ナニワなツッコミでいなす。システム厨の俺は透かし漫才が好きだったが本人たちが嫌いだったと聞いて驚き。

 

1本目のネタは3回戦でもやっていた「旅館」。

どんな季節も雨が降ったら終わりだと無粋の塊のような偏屈発言をする久保田。

旅館の女将に全く寄せる気がない久保田。

カマキリからハリガネムシがでているという不快な話をやばそうな早口で語る久保田。

俺は実はそんなに久保田のこういうやばい奴感にはまってない。

なんか大喜利下手な人がキャラでごまかしてる感じがしてしまう。

感覚的な笑いは苦手だ。

でも、「続行!」「継続!」は確かにかっこいい。

あれは非常にわかりやすいメタだということはわかっているけど。

でも、スマブラでいうと確実にあれがスマッシュだ。

あれがみれれば満足だ。

 

2本目のネタは去年の敗者復活でもやっていた定番ネタ「焼き芋屋」。

ここで決勝初出場のベテランパワーが光った。

面白いネタが大量にプールされていると強い。

Twitterコンテンツリーグの雑誌、SHOWCOMにも連載しているお笑いDVDコレクターの菅家しのぶが言っていた通り、何言ってるかわからんところも多々ある。

『芋だけに 雪水とれる明日かな』

 

芋だけに 雪水とれる明日かな 。これ、どうゆう意味ですか?とろサーモン... - Yahoo!知恵袋

でも確かに「芋神様~」のくだりの新興宗教間はとろサーモンにしか出せない威光みたいなものを放っていたし、これもやっぱり「スマッシュ」なのだ。

2回必殺技を放ったら強い。

それは和牛もなのだけど。

 

4組目 スーパーマラドーナ

敗者復活戦をぶっちぎりで勝ち上がったスーパーマラドーナ

なんかほかの決勝常連コンビ。和牛、銀シャリ(優勝したけど)、ジャルジャルらに比べると一枚落ちる感は否めなかったと思う。

ドラゴンボールでいうとピッコロというか。

でも、やはり宇宙人はちとレベルが違う。

敗者復活戦でものすごい追い風が吹いた。

それは、笑神籤ルールとなり、敗者復活の絶対的アドバンテージが崩れたとしても、やはり追い風だと思った。けど、Gyaoの後番組で武智自身が言っていた通り、敗者復活が一番良いネタだった。

3回戦でもやっていた「合コン」。

設定は平平凡凡なのだからとにかくボケの質とツッコミの技術で稼ぐしかないのだが、やっぱり「アントニオ猪木のセリフ山手線ゲーム」のくだりがピークだったね。

昨年の『エレベーター』といい、見えないところにわなを仕込む達者さが武智の最大の武器である。さすがM-1前日までネタを直しているようなストイック人間なだけある。

まあその、つまり一回集団演劇みたいな舞台をやったらいいんじゃないかと思う。

田中を含めた大勢を操る演出家が武智だ。

で、その状況を漫才で成立させるにはどうすればいいか。

見えないボケをどう表現するか。

それをやったとき、最強のネタができるのではないか。

あ、でもスーマラ来年ラストイヤーかな。

ああ。。。

 

5組目 かまいたち

「怖い話」。

俺はかまいたちが優勝すると思っていた。

ライアーゲームで有名な漫画家の甲斐谷先生が偉くお笑いが好きなようで、優勝予想を当てた人に似顔絵入りサイン色紙をプレゼントするとのこと。

かまいたち、ゆにばーす、さや香といったのかな俺は。

赤っ恥である。

今見た共通点としては、とにかくひらがなが多い。

俺は読みやすさ重視で予想していたのだ。ときどき自分が痴ほう症じゃないかと疑う時がある。

ともかく、その甲斐谷先生はとろサーモンを押していたのだろう。

DVDのジャケットも出がけたようだし。

優勝したのはさぞうれしかったでしょうね。ええ。

なぜかまいたちにしたかというと3回戦・準々決勝で披露した「心理テスト」がやたら良かったからだ。

これと昨年敗者復活でやっていた「UFJUSJ」があれば固いなと思った。

それなのに、「勝ち切るネタ」ではない!

なんども劇場でかけてきたら飽きてくるのだろうか。

初出場のベテランコンビはぜったい既存の勝負ネタ2つで挑むべきで、今年のネタ2本で行く必要はないだろと思うが和牛のこともあるし、それが漫才師の、いやいや芸人の矜持なんだろうなあ。

俺は卍がはまらなかったよ。

 

6組目 マヂカルラブリー

 俺は去年やっていた「ベランダ」よりも「野田ミュージカル」の方が好き。

劇場で一度もマヂカルラブリーを見たことのないズブの素人にもかかわらずだ。

だから、ネタ選びが失敗した(ネタが初見向けではなかった)というのはちょっと違う気がする。

大吉先生もたまむすびでいっていたが、村上のツッコミが単調。

それでもボケのパンチで引っ張っていけるはずだが、この一億総ツッコミ時代には、その波は起こらなかったのだろう。

かといってたとえツッコミとかしても仕方があるまい。

2人ともボケになれ。

でもそしたら、虹の黄昏の亜種みたいになっちゃうよなあ。

難しい。

 

7組目 さや香

別に好きでもないけどはまる予感がしていたさや香

案の定はまったがあと一歩点数が伸びず。

ネット上ではボケの新山がチュートリアル徳井過ぎるとの評価。

俺はフォーマットに目が行き過ぎて「ダイアンやん」と思っていたが

確かにあのリアクションは徳井なのか。で、顔が後藤。

コピーキャラでダークホースの順位としては、最終結果6位というのはまさにちょうどいい順位である。

 

8組目 ミキ

ミキがこんなに伸びたのが正直一番納得できない。

よくも悪くもいつものミキだったのになあ。

1発目のネタは「漢字の説明」。

舞台で体で漢字を表すのはTIMっぽくていいなとは思った。

でもなんか頭で漢字を描きにくいしもちゃっとしてないかとはまれなかったのも事実だ。

2本目がスターウォーズ。定番のやつ。

「体悪いねん」のくだりはいつも面白い。

ああいう生活の実感に即したワードがいいな。

だから、選曲が古いとかそういう批判はんまりピンとこない。

ただ、ボケが弱い。それに尽きると思う。

もっと亜星が変態になれ。

 

9組目 和牛

度肝が抜かれた。

伏線回収好きというのは恥ずかしい。

そこに笑いの本質はないと思う。

和牛だけ2本とも1分近くネタ時間をオーバーしていたというのも気づかなかった。

恥ずかしい。

だから優勝しなかったのは妥当なのだなと思う。

でも、面白かったなあ。

1本目はウェディングプランナー

前半は動きのない打ち合わせなこともあり、あんまり受けていなかった。

で、飛び出してからのバーン、パーン、ジョブズ―である。

そういう受けとかメリハリとかすべてが緊張と緩和を体現しているようであった。

2本目が温泉旅館。

伏線回収は大好物だけどボケ数は明らかに減ってたよなあ。

女将の演技をリアルにやりすぎではないか。

そに力を入れるとボケ数も減るしコントになってしまう。

漫才コントはあくまで漫才である。

なんてことは和牛はわかってるんだろうけど。

 

10組目 ジャルジャル

M-12015でジャルジャルが優勝を逃し、トレンディエンジェルが優勝を手にしたときは俺は悔しく思ったものである。

新しさとポップさなら新しさだろうよーと思った。

で、今年のジャルジャルは決勝にこそ残らなかったもののめちゃくちゃ大きな評価を得た。

まっちゃんからの最高得点。福徳の一言「ようお前いまボケれんなあ」のピックアップ。

しかし、俺はもはやジャルジャルやろ、ここは新しさやろ、とは思わない。

一昨年のジャルジャルが進化したらこうなるだろうなという感じだったからだ。

もちろんお前これ思いつくんか、と言われたら思いつかない。

でもジャルジャルが思いつくだろう予想はつく。

だから、世間ほど評価はしていない。

世間は少なからず松本の最高得点に引っ張られたと思っている。

あと、決勝進出者決定記者会見のときのジャルジャルのコメントはちょっと滑ってた印象がある。

なんだったっけ。

M-1後、ラジオで福徳が「あれはゲームやからマジでちゃんとは決めてない」と言っていた。

俺にいわせりゃ、ゲーム過ぎた。もうちょっと隙があっても良かったんじゃないの、とお笑いに救いとだらけを求める俺は言う。

でも、真剣勝負の場で真剣にゲームやるっていう状況はすごいおもろいな。

そういうことを意図してるのかな。

 

 

 

 

 

M-1敗者復活戦はスーパーマラドーナ・天竺鼠・南海キャンディーズに入れた

 

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M-1敗者復活戦を見終わり、スーパーマラドーナ・ 天竺鼠南海キャンディーズの組に票を入れた。

 

つまり、スーパーマラドーナが決勝に行くことになる。

 

まあスーパーマラドーナは入れなくても決勝行くだろ、と一押しのからし蓮根に票を入れることを考えたが、3回戦・準々決勝のネタの面白さは確実に上回り、安定感は抜群なスーパーマラドーナにやはり票を入れるのが、忖度のない純粋な結果だと感じた。

 

天竺鼠は予選から面白いし何ならそのまま決勝に行ってほしいと思っていた。そしてその期待を下回らなかった。「マイク忘れてますよ~」から「マイク持ってこんでええねん!」への綺麗なスイッチ。普通にみても面白いだろうが、3回戦・準々決勝の動画を見たお笑いファンはさらに笑いに厚みが増す。そういう目配せまでしてくるとは、飄々としているようでいて決勝に行く気めちゃめちゃありますやん、と俺の心の中の若手のライブでゲームコーナー仕切るタイプのツッコミが叫んでいる。

 

南海キャンディーズは迷った。3回戦・準々決勝のネタは少し政治弄り等ポップさに見合わない山ちゃんの我が出た気がするし、やはり山ちゃんしずちゃん2人の関係性はもう見慣れてしまっているからだ。しずちゃんの役者・ボクサー時代は、2人の漫才を見飽きるレベルには持ってこなかったという点でよかったのかもしれない。しかし、「なあクズちゃん」に始まる山ちゃんへの罵倒、「ママたれなんかブログで小銭を稼ぐ職業なんだよ」という山ちゃんの悪意、静ちゃんの動きボケなど南キャンの魅力が詰まった漫才がここへきて完成していたのだ。俺はずっと熊本弁×センスボケのからし蓮根をいち推しているが、ここは南キャンに入れたいと思った。

 

ほか、印象に残ったコンビ

 

Aマッソ

加納がボケに回り、文明開かせ侍となって様々な文化文明にあたるものを押し付けようとする、というやたらめったらトリッキーな漫才。

時間オーバーしたし、敗者復活でも、やりたいことやるだけ、というかっこよすぎてひくパターンだった。

この人たちは売れなくても永久に漫才を続けて、めちゃくちゃなパトロンとかを見つけ、なんにせよ永久に評価を集めていくんだろな、と思った。

「この1年コント師と口きいてません!」というコメントにはお前らがいとしてるやがいと。それを知らない人は漫才にかける意気込み強いボケか~と思うだろうし、両面テープのようにいいボケだなと思った。

『ギフテッド』 75点 たいへんまっとうなパンチだった ※ネタバレ感想

はじめの一歩でいう真柴ばりのフリッカージャブをお見舞いされに行ったら、思ってもいないがゆえに意外な鷹村のストレートを喰らったような、そんな気分。

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www.youtube.com

75点

『ギフテッド』とは、天から才能を与えられた(gifted)人間のこと。カリフォルニアでフリーのボート修理工を営むフランクは、数学において顕著な才能を示す7歳の少女とメアリーと、片目の愛猫”フレッド”と暮らしていた。その早熟故、普通の学校の教育にはなじめないメアリー。しかし、フランクはメアリーを生んだのち自死を選んだ自身の姉ダイアンの遺志”彼女を普通に育てたい”を尊重し、彼女をギフテッド向けのスクールに通わせようとはしなかった。そんなある日、メアリーに英才教育を施したいと考えるフランクの母、イブリンが現れ、フランクはイブリンとメアリーの養育権を法廷で争うことになる――。

 全体(えらくストレートで真っ当な家族もの。シンプルにリフレッシュしたいときに)

日本版ポスターのコンセプトは”インスタ映え”らしい。

そんな俗っぽいものだったのか……。

とはいえ、その安定感のあるデザインは「これ名作だよ」とあたかも我々に訴えかけているようですらある。

だから、絶対見ようとは思っていたのだ。

 

映画のタイトルにもなっている通り、この映画の1つの主題は「”天才”をいかに育てるか」。サヴァン症候群なんて言葉があるが、天才は規格外だからこその天才なわけで、ときに”普通”の学校では「天災」にもなりうる。では、天才ばかりの学校に通わせ、その才能をもてはやし、毎日大人と接しさせればよいのかというと、マコーレ・カルキン君(彼は一生君付けされる運命か)を引き合いに出すまでもなく、YESとは言えないだろう。

その2つの価値観が法廷で戦わせられる、という要素はあるにはある。

 

だが、映画全体を包み込むテーマはもっとシンプルなものなんだなあ。

シンプルに「親子愛もの」です、これ。

なにせ作中でも12を争う名シーンが病院で何時間も子供が生まれるところを待って、その瞬間の親の表情をメアリーに見せることで間接的に「望まれて生まれてきた」ことを伝える場面なのだから。

もう一つ、ほろりとしてしまうシーンのセリフは「ずっと一緒だって言ったのに!」です。

大体想像つくでしょ?

たぶん、その想像は外れていない。

そのくらいストレートなお話なので、やや肩透かしを喰らった……というのは申し訳ないほど真っ当で、まあ結論としては佳い作品というところに落ち着くなあという感じです。

 

良かった点

 

1.マッケナ・グレイスの演技

インスタのフォロワー467千人のマッケナ・グレイス。まつげがくそ長い。

フラーハウスにも出てるらしいね。

 

たれ目で彫りが深くてふと眉。そもそも利発そうな顔をしている。

まあ、どこでも言われていることだけど、ギフテッドと7歳の子どもという相反するような人格をたいそううまく演技の中で同居させておる。

ギフテッド感は、やはり”おばあちゃん”といるときにあらわれることが多い。あんり・ポアンカレら数学者の肖像画が飾られた大学のフロアで「私もここに肖像画が飾られるかもしれないの?」と尋ねる顔は野心を忍ばせた天才そのもの。

しかし、フランクといるとき体へのまとわりつきやぶら下がり、特に夕日で陰になったシーンでの覆いかぶさりやサングラス使いまで、動きだけでフランク大好きなことが伝わるし、非常に仲睦まじい。もちろんフランクと引き離され、再開したシーンでの涙も見事である。

 

ほかに演技としては、担任でフランクとロマンスの仲となるボニー(ジェニー・スレイト)の若い先生感も良かったと思う。

 

 2.偽物のアウフヘーベン

基本的には視点人物はフランクなのだから、観客はフランクに共感する構造となっている。

フランクはメアリーを普通に育てたいと思っている。恋愛やほかへの興味さえもあらかじめ摘まれてついには死を選んだ姉の二の舞にはさせまい。そう考え、イブリンにはメアリーを渡さない。

反対にイブリンは、才能あるメアリーにはそれにふさわしい教育を受けさせるべきだという考えがある。また、自分もかつて数学者だったことから夢を託しているし、才能を使わないのは社会にとっての罪でさえあると考えている。そのせいでダイアンが死んだとは考えたくない。

 

まあここだけ見るとどっちの主張もわかるとはいえ、毒親丸出しのイブリンには渡したくないよなーという結論なのだが、法廷ではイブリンの行為(姉への束縛)が明かされた後に、フランクのネック(裕福でない暮らし・ピアノも買ってやれない・去年酒に酔って留置場に入れられた)などが明かされる。

で、とはいえ心情的にはまだフランクだよ、と思っているところに折衷案が出される。

「メアリーが12歳になるまで車で30分の場所にいる里親にだし、お互い定期的に会う。12歳になったらメアリーにえらんでもらう」

 

ここで、「お、これこれこれがええんや」と観客は99%思う。これこそ、アウフヘーベンだと。

 

だが、結局それもメアリーを才能の入れ物としか考えない、空虚な論理でしかない。

ギフテッドとはいえ子どもなのだ。今まで住んでいた家を離れさせられて、それで納得いくだろうか? 12歳で結論が出せるだろうか? 里親にきちんと意見がいえるだろうか? 

 

テーゼとかアンチテーゼとか、そういう論理では割り切れないところに人間の心情はある。

 

まあ当たり前だしメロドラマ調といえばそうなのだが、やはりうっかり見落としがちな視点を与えてくれる構造は見事だろう。

 

残念に思った点

 1.里親が悪い奴? 疑惑

法廷での折衷案に従ってメアリーを里親に預けたフランク。しかし、無理やりにでも迎えに行くことになる。

それは、メアリーがかわいがっていたはずの片目の猫フレッドが保健所に出されていたからだ。

で、保健所に彼が出された理由は里親が猫アレルギーだったからだとわかる。

でも、猫アレルギーだと彼らは言っていなかった。

つまり、黙ってメアリーの親友を処分しようとしたわけだ。

悪い里親である。

 

……じゃあ、いい里親なら?

 

結局メアリーはフランクと住むのが一番という結論になるのだが、里親が悪人という展開を入れてしまうとそりゃそうなるさという感想しか出てこず、着地への感動がぶれる。

 

”里親がたとえ良い人でも、フランクがいいんだろ!”

 

そういうメッセージが込められていると思うので、安易に里親が悪人展開は出さないでほしかった。

 

余談だが、このエピソードではブラックジャック中盤のピノコが養子に出される話(『ピノコ再び』)を思い出した。

www.akitashoten.co.jp

 

総括

Yahoo!映画の評で「『I am sam』の天才版類型じゃん!」というものがあった。

たしかにそういう部分もある。正直俺は『I am sam』の方が感動した。

でも、「天才をどう育てるか」というテーマが取り扱われ、一応の結論が示されるという点では、この映画はやはりほかにない何かを持っている。

「天才的な映画だ!」とは言えないけど「感動とか癒しとかを与えてくれる」という意味では「ギフテッド」の看板に偽りなしだと思う。

『セブン・シスターズ』95点 男子の大好きな質感&完成度(※ネタバレ感想)

 

youtu.be

 

www.7-sisters.com

一人っ子政策を強いる超管理社会を舞台にしたSFスリラー。

月曜日から日曜日までそれぞれが曜日の名を冠した7姉妹

子どもを1人しか持ってはならず、2子以降はコールドスリープを受けて家族から引き離される社会で彼女たちは、1人の人間カレン・セットマンとして暮らしていた。

その方法は、自らの名前と同じ曜日ごとにまったく同じ容姿にメイクアップし、人格や記憶も映像と演技を駆使して一致させるというもの。

そうして銀行員として出世コースに乗っていた姉妹だったが、ある日、出勤した月曜日が帰ってこないという事態が発生。それを皮切りに秘密を知った「児童分配局」に命を狙われることになる――。*1

全体(超掘り出し物、男子のツボを的確についてくる名作) 

最初はあんまり期待していなかった。

上映館数も少ないし、公式サイトの小島秀夫氏(『メタルギアシリーズ』を生み出したゲームクリエイター)の言う通り*2、「最近『ブレードランナー2049』も観たところだし、もうディストピアSFはおなかいっぱいだよ!」と思っていたからだ。

 

しかし、最後まで見てみると、えらくおもしろかったのである。

冒頭のディストピア世界の説明の方法や映像の質感はまさに量産型ディストピアSFを想起させたが、7姉妹が登場してからは一転! 非常にハードでソリッドなストーリーが、アクション・謎解きを伴ってグイグイ進められていくのである! 

とはいえアクション多めな佳作に過ぎないし、「結構主要キャラが無情に殺されるからちょっと食い足りない感はあるなー」と、後半30分くらいまでは思っていた。

 

しかし!

ラスト30分で明らかになる真相と伏線、そのテーマとのつながりには思わず腕を組んだままチネ・ラヴィータ仙台の椅子にもたれかかって「やば、面白いなこれ」とつぶやいてしまった。*3

 

最近見た映画の脚本の中でも恐ろしく隙の無い、練りに練られた名作だった。

7姉妹を演じ分けたノオミ・ラパスと魅力的かつ個性的な衣装づくりを行ったデザイナー人にも東洋の一凡人から賛辞を贈りたい。

 

良かった点

 

1.明らかに面白そうな設定

一人っ子政策ディストピアで7姉妹が1人を演じる、という設定の時点かなり面白そうっぷりはほかの映画の中でも際立っている。まずこの映画に目を付けたのも、その奇抜な設定を映画館のサイトで目にしたからであった。

とはいえ、設定が面白そうで実際は微妙なSFなんてはいて捨てるほどある。例えば『T●ME』なんて25歳で成長が止まって時間が通貨になる世界という設定はめちゃくちゃ面白そうだったのに、期待を上回ることはなかった。

 

そこでもうひとねりもふたねりもしているのがこの映画の偉いところである。

 

2.ハードな死生観※めちゃくちゃネタバレです。

この映画、味方(7姉妹)もどかどか死ぬ。

最終的に生き残るのは、2人だけなのだ。

一番悲惨なのは水曜日だろう。

さんざん敵から逃げ切っておいつめられた屋上から隣のビルに飛び移れば助かる――という王道展開。これまでの鍛錬を信じて飛び上がったところを、隣のビルに駆け上がった自動分配局の掃除人統括者(クリスチャン・ルーベック)に撃たれ、命乞いの間もなく転落死してしまうのだ。

ほかにも処女を失った翌日の土曜の死なんてのも悲惨で容赦ない脚本家の死生観が垣間見えた。

キャラが死んでしまえば後には登場しえないわけで物語(キャラ萌え)的には損でもあるのがだが、とかく主要キャラだけ神(作者)の見えざる手によって生かされがちな映画作品において主要キャラにも平等に死のルールが適用されるのは論理的に納得のいく展開であり、痛快でさえあった。

 

3.無駄のない脚本

とにかく観客を飽きさせない工夫をまっとうに積み上げた作品だと思う。

アクションの中で話の全体像を明らかにしていき、登場人物に見せ場を作りつつ物語を鈍重にする「過剰な嘆き」や「馬鹿な行動」は使わない。

中盤当たりではきっちりおっぱいも見せてPG-15作品にちょっとだけ我々が抱く期待をかなえてくれる。

ああ、これ男の子の好きな話だな、と感じた。

2で書いたハードな死生観といい、キャラの心情表現や魅力よりも作劇的一貫性や展開の論理を重視して作られている。

まあ公式サイトでLiLiCoやサヘル・ローズがコメントしていることからも女性にも刺さる物語であるのは明らかだが、より男子に刺さる話だと、俺の霊感がささやいている。この作品をブラック・リスト入りさせて映画化に持ち込んだマックス・ボトキン(脚本/共同プロデューサー)には今後も注目していきたい。*4

 

残念に思った点

1.よく考えたら…なずさんさ

ほぼないが、しいて言うなら、7姉妹が1人を演じ切るって相当本気出さないと無理あるだろ! あれでいいのか?

公式サイトでもコメント*5されてるけど、水曜日だけ体鍛えてたら他と体形変わってきてばれるだろ!

1人が指失ったからほかの曜日の指も切り落とすっていう爺の判断もイカれてる。かけた指の方を義指でごまかすとかその曜日だけ外で出るのを禁止するとかでいいだろ!(ただ、これが中盤のアクションシーンの熱い伏線になっていたりもする)

…とはいえ、こんな欠点は制作人は気づいてそう。ここは残してもメリットの方がデメリットを上回ると判断したんでしょう。

 

総括

100点くらいの完成度を感じた。

少なくとも、これをブラッシュアップしてより面白くしてみろよ、と監督に言われても俺は何もできない。

公開館数が少ないのだけが不思議な点なので、世の中の人はもっと見に行けばお得だよ、と思います。

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*1:以上自作のあらすじ。公式サイトのあらすじはかなり終盤の展開までネタバレしているので眉間の方は要注意。

*2:「近未来ディストピアSFの量産はもういいから、ちゃんと管理して制限したら? そうコメントしようと思ってたら~」※公式サイトより引用

*3:あくまでも小声でですよ!

*4:来年は警察犬が主人公のコメディを手掛けるらしいけど、そんなほのぼのしたやつ、あうんだろうか?? 期待して待ちたい

*5:「他の姉妹たちは彼女が運動をし過ぎて一人だけ体形がかわってしまうことを心配しているの」※「7人のカレン・セットマン┃公式サイト」より

M-1ファンクラブ#1・2メモ

#1・2「笑い飯哲夫の回~M-1五大事件簿~」

#1出演者:哲夫(笑い飯)、石田明NON STYLE)、杉村太蔵、スーパー・ササダンゴ・マシン、渋谷凪咲NMB48

#2出演者:哲夫(笑い飯)、石田明NON STYLE)、スチャダラパーBOSE、スーパー・ササダンゴ・マシン、渋谷凪咲NMB48

・5位:カナリヤ安達やっと劇場の小競り合いから抜け出せる

・4位:ザ・パンチ過去最強のあだ名をつけられる

・3位:テツandトモ相方にネタ合わせではなくダンス合わせを催促

・2位:変ホ長調芸人らしい挨拶をしないということで陰口をたたかれる

・1位:ハリガネロック大上決勝スタジオに入るときややかがむ

 

杉村太蔵が好きなM-1決勝進出コンビは中川家

注目するのは尼神インター。

 

収録場所は吉本本社。

 

#1で取り上げられた素人漫才師

・たまご&ビクトリア(2回戦敗退)

…「返して、北方領土」。夢路こいしの娘

・めいどのみやげ ティーチャ&サッチー(2回戦敗退)

…結構有名な人

 

・こども漫才師枠

 

gyao.yahoo.co.jp

#2で取り上げられた予選参加漫才師

「プロレスラーになれそうなガチムチ漫才師」

・かりすま~ず ミッキーボード あゆ(2回戦敗退)

…あゆと永ちゃんのものまね

・メクルメクリン 川嶋おもち(2回戦敗退)

・よしけん&かんとりー 吉田謙一(1回戦敗退)

・ゆかりてるみ ジェット(2回戦敗退)

・コーラソーダ 兵頭天貴 アンディ・コング(当確)(2回戦敗退)

…アンディベンチプレス180kg、兵頭はからまわり

 

BOSEにとってM-1は競技。紳助の思惑通り。

笑飯、麒麟の衝撃。フットボールアワー優勝。ブラックマヨネーズのパワー。得意のキャラ。

注目しているのはさらば青春の光。能のネタが好き。

競技漫才。

gyao.yahoo.co.jp