裸で独りぼっち

マジの日記

『ダークナイト ライジング』 80点 どんでん返しの為のどんでん返しやねん でも好き

※ネタバレがあります

ノーランバットマン3部作の完結編。

前半30分は正直一番楽しめたかもしれない。

伏線とかどんでん返し、小ネタも結構きいている。

これは、完結編にふさわしい、のか?

うーん、でもなあ。

アラも多いぜ~。という煮え切らない私になった。

 

前半30分について

前作『ダークナイト』が大当たりしたからだろう。

飛行機を舞台にテロリズムが行われるビッグバジェットをもろに生かした展開で始まる。

飛行機が火を噴くとハリウッドだって感じがするのだ。

そして、アンハサウェイ(キャットウーマン)は顔が良い。

やっぱりレイチェル問題は『ダークナイト』においてでっかい気になる染みだった。

その点を払しょくしてくれたのはでかい。酒場での戦闘も見られるものだったし。

それにさすがに3作目まで見てきてブルース(クリスチャン・ベール)、ゴードン(ゲイリー・オールドマン)らに愛着がわいてきたのも大きい。

軟骨に障害を負って杖をつきつきブルースが登場したときは「ええー! あの時の墜落で?? 当たり所が悪かったんやねえ」と図らずも同情してしまった。

ゴードンが突入した地下の空間でベイン一味が潜んでいて、そこから地下水で逃げ出すという場面転換の手際よさもサービス精神満点で良い。それは、裏腹に思い返せばご都合主義……というこの作品最大の欠点を体現しているのだが。

 

ストーリー

ハービー・デントの死から8年、ゴッサムシティはバットマンを必要としなくなっていた。デントの死をきっかけに公布されたデント法。バットマンがデントの罪を被ったことで可決され、街の組織犯罪を一網打尽にしていたのだ。

しかし、悪は暗躍する。『バットマン・ビギンズ』でブルースが破壊した敵でありゴッサムシティを粛清しようともくろむ「影の同盟」の生き残り、ベインが証券会社を襲い、街に混乱をもたらし始めたのだ。凄腕の泥棒、キャットウーマンをつかってブルースの指紋を採取したベインは株を操作し、ブルースを破産させ、ウェイン財閥が所有する核融合炉を手に入れようとする。

ブルースは慈善団体を運営するミランダにその管理を託そうとするがベインは大挙して押し寄せ、街を占拠。核融合炉をメルトダウンに追い込み街を丸ごと消し去る計画の遂行に手をかけるのであった。

ベインについて

さんざんしょぼい、ただの脳筋などとレビューサイトでののしられている今回の悪役ベイン。影の同盟出身だというが、そもそも影の同盟からしてなぞの集団行動みたいな試練を仕掛けてくる忍者コスプレ集団で、ブルースがちょっと放火しただけで、No.2(ヘンリーデュカード)を残して壊滅しちゃったわけだからなあ。

ちょっとまあ影の集団という時点でどうにもしょぼいしダサい。

フリーメイソンやメンサの方が現実なのにまだしも外連味があるぜ。

ただ、今回ベインは大ボス(黒幕)ではないので、しょぼくてもそれは必然というか、そこを攻めるのは違うと思う。

めちゃくちゃ薄い精子で生まれたイモータン・ジョー(@マッド・マックス4)の9番目の息子って感じでええやん。

 

 黒幕について

さて、今回の悪役はミランダという大どんでん返し。

そのために子役を坊主にし、男女どちらかわからなくさせ、慈善団体の運営元かつ破産したブルースの慰め(性的な意味も兼ねる)役を担わせ、さんざんミスリードを行った。

…ミスリード、しすぎじゃね?

街を破壊したい世紀末主義者がどうして真面目に慈善団体を主催してたんだ?

その後、ブルースを騙してベインをスケーブゴートに核を爆弾化するわけだが、そもそもブルースの信用得られてたんだから、秘密裏に爆弾化させて秘密裏に街を破壊すれば良いのでは?

これは、どんでん返しの為のどんでん返しであり、合理的説明をつけようとすればミランダがめちゃくちゃバカという結論になってしまうのである。

やっぱなー、地下育ちだし。。多分小卒? いや、幼卒もしてないか。

だからかなー。。。

ちなみにバットマンに協力的な警官が実は原作のサイドキック”ロビン”だったという展開は、明かし方がさらっとしてて良かった。

 

 ブルースウェインの落とし前について

さて、今回ブルースウェイン=バットマンは英雄的死を迎えることでダークヒーローとしての役割を終えたわけである。

前半でブルースはバットマンに戻りたがっている(=町の浄化はバットマンとしてのブルースの死=生きがいの喪失な)ため、ゴッサムシティの浄化という目的と本来矛盾するのではないかという問いが薄く投げられていた。

ブルース「僕がバットマンに戻るのが怖いのか?」

ペニーワース「戻りたがっているのが怖いのです」

 結局その問いの答えは哲学的思考ではなくきわめてヒーロー的な無償の自己犠牲という行動で贖われたわけだ。

シャープではないけど、ヒーローものとしてはこれでいいと思う。

そう、今回のノーランバットマンは変身して戦闘するシーンが一番少なかったが一番ヒーロー的だった。

だから、飛行型都市戦闘機ザ・バットで余裕で倒せる状況でもきちんと乗り物を降りてちゃんと素手で戦う。

筋トレでパワーアップして敵を倒すという修行パートがある。

核融合機というスーパーオーバーテクノロジーが出現し、それが敵に悪用されてしまう。

昔ながらのヒーローの型に当てはまるベタな要素がいっぱいだ。

それは、リアル路線のヒーローというこれまでのノーランバットマンの狙いとは真逆を行くようだ。

まあでも、最終章くらいはきっちりベタで閉めた方が後味も良い。

ノーラン監督はそう判断したのではないか。

俺はその判断は正しかったと思う。

ダークナイト』とは逆に、『ダークナイトライジング』は期待していなかった分楽しめた。

ちょうどユニバーサルスタジオジャパンで『ハリウッド・ザ・ライド』は並んだ割にしんどいし酔うけど、あんまり並場なくてよい『ビートルジュース』は涼しいしショーなので受動的でも結構楽しい感じだろうか。

……え? わからん?