実家に嫁はんと帰る
実家に帰省。
そもそもは反対していた。
年末年始なんてチケット代は高いし人通りは多いし、大勢と一緒に動いて損する奴は馬鹿だと思っていたからだ。
俺は、「みんなとおんなじことするのいやだー」と暴れる毛むくじゃらの動物を昔から心に買っている。
しかし、所詮は動物なのである。
そこにまっとうな理屈が通っているわけではない。
そして、うまいこと誘導してやりさえすれば簡単に宗旨替えさせることもできるのである。
というか宗旨はないからね。
花巻-伊丹16:05発。JALに乗って空を飛ぶ。
到着したのは出発地獄の30分ほど前だった。
余裕をこいて天ぷらそばを注文していたら、手荷物検査までのこり5分。
吸い玉のように麺と天ぷらと出しの塊を体の中に流し込む。
3分で食って手荷物検査を終え、ふう。
体内がつらい。
しかし、空港内の売店で売っているのはせいぜいカモメの卵くらいで、やっぱり外で飯を食ってよかった気もするな……なんて考えているとユーミンの歌声が聞こえてくる。
盛岡について歌った歌があるらしい。
うえっ。
俺の身体の中は油とそばと出汁で苦汁であふれている。
高度1500メートルでたぷんたぷんとゆれている。
去年から飯を食ったらゲロを吐きそうになる機会ばかりだったが、
その第一の要因は早食いだったんだなと、再び実感する。
伊丹空港でゲロをはいて、だいぶ楽になった。
国際線の免税店街を歩くと海外旅行みたいな気分になる。
電車で帰らず、リムジンバスに乗った。
650円だった。