仙台より、男根はニューヨークにそびえたつ
本当に俺は放っておくと本も読まない漫画も読まない映画もあんまり見ない。
集中力がない。
自分にしか興味がなく、文化を持たない。
そんな俺が好き。
自分だけが好き。
自己愛の化け物。
化け物という表現自体ににじむ自分へのヌチャっとした自負!
どんなダメージを負ったって回復できるレジリエンスあるからね。
とおっ勃った自我を見せびらかしながら。
腰に手を当てて。
滑稽で子どもっぽいねと鼻で笑ってやると、少し恥ずかしかったようで、パンツをはいて表情を取り繕う。
女に弱みを見せたくないのだ。
私と彼が過ごすニューヨーク一等地の高層ビル144階から、下をのぞむと人が豆粒みたいに見える。
豆粒をジップロックから取り出して、彼らと重ねてみる。
─なんだ、豆粒よりもちっぽけね。
ベランダから落とした豆粒が、重力加速度に従って位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、眼下の誰かの頭を打ちぬく。そんなことはあるだろうか。
雨粒に殺された人をいまだ聞いたことはないけれど。
カラパイアあたりにそんな話もあるかもしれない。
現実の俺はと言えば仙台でチャリをこいで暮らすことにやっと慣れ始めた。
この都会で、コロナウイルスが蔓延している。
俺はいまだかつてその症状になっていないが、いつなるかはわからないなと思う。
心配だ。