淋病
ちょっと映画館から遠い場所で暮らすようになったら途端に映画を見ないようになってしまった。こんな人間は、音楽から遠い場所で暮らすようになればきっと何も聞かないし、本屋から遠い場所から暮らすようになったら小説は読まないし、言葉から遠い場所で暮らすようになったら何も話さないだろう。
そういう現象が、「友達」で起きている。
ような気がする。
少なくとも同僚はいないし。
とはいえ、自身の時に心配にかこつけて連絡が来るということは、奴らも寂しいのだ。
淋病という言葉は、シモの病気にしてはあまりにも淋しさというフレーズのパワーが強すぎるよなあと思う。
どっかの、インディーズバンド、淋病というタイトルの曲作れ。
仙台と盛岡は新幹線で40分、仙台と東京は新幹線で1時間半。盛岡から東京までは2時間強でつくのだが、結局この3年でほとんど行くことはなかった。
もちろんコロナのせいなのだけど、行くようがそもそもあんまりなかったよなと思う。
この都合1時間半の隔たりが途方もなく遠く思えた3年前は若い。
俺はいまだに14歳のオレを大切に抱えたまま、「そろそろ余生ですわ」と前の職場の同僚に笑い飛ばす妄想をしている。