20200807_サンダーロード
狂い咲きでなく。
以下、レビュー。
いわゆるオフビートな映画。
わかりやすいものが好きなので個人的には苦手な分野。
しかし、なぜか嫌いにもなれない。主人公ジェームスが事情があるにせよ、葬式で踊り出すような男で、ちょっと狂人にしかずっとみえないので親権を失いそうになってもそりゃそうだわなとしか思えない。
このように現実におけるファンタジーの部分をそれはそれとして、とおいとけないものにはキツイ映画だ。しかし、ジェームスやクリスタル(娘)の演技力が高いのか、人の魅力は存分に出ていた。そこがまだ見ていられた理由かな。
ジェームスは失読症で、癇癪持ちで、話がへたくそで空気が読めない。
まじでできないやつが主人公だと、できないやつが頑張る系の映画が好きなはずの俺だがなぜかイラついてしまう。
でも、これがリアルなできないやつかもしれない。
娘はその対比としてかなりしっかり者に見えたが、学校ではクラス落ちを命じられるほどの問題児だという。
好意的にとらえれば人には映画で描かれる以上の顔があるという話だが。
どうか。カセットテープ・ダイアリーズといい、ブルーススプリングスティーンをキーにした映画が多いのは何か理由があるの?
スノッブでかみ合わないやり取りを楽しむ趣味はあまりない俺だが、このようにモチーフだけでそれなりに楽しんだ。
ほかのFilmarksの感想を見るとどんどん悲惨なことばかり起こる、悲しいみたいな意見が多いのだが、俺はそんなに悲惨だとは思わなかった。
そもそも、娘とどのくらいの頻度しか会えないのかわからないし、警察官の仕事だってあの一存で完全に首なのかわからないからだ。
さらにこれまで警官として数々の表彰を受けていたとはいえ、最近は署長と折り合いが悪く冷遇を受けていたのだから別にほかの仕事やってもよくない?と思う。
オチを言ってしまうと結局娘と暮らせるようになり、さらに娘もパパに手遊びを提案するほどなついているのだからそれでいいじゃんという感じがあるのだ。
母の遺産も受け取れたし、姉は裕福そうだった。
娘にバレエをやらせるには金がかかるだろうが、それを人生の目標にスーパーの警備員でもして第二の人生頑張りなさいよ、と思う。
主人公が障害を抱えていて娘を奪われそうになる、というストーリーから『アイ・アム・サム』を思い浮かべて劇場に足を運んだのだが、そもそも世界自体がちょっとコメディ仕様でスノッブだったのでもうこれずるい…泣いちゃう!みたいな感動はなかった。
でも、それがおしゃれなインディペンデント映画感にもつながっていると思う。