ハニーボーイ──77点、シャイア・ラブーフしらんことには……
子役少年とその稼ぎで暮らす父親の人間ドラマとその少年の現在を描いた『ハニーボーイ』を見た。
サントラがよかった。
予告編を見て、嫁はんが「こういう映画はあんまり好きじゃないな」といった。
こういう映画とはどういう映画化というと、「毒親美化映画」である。
嫁はんは実家とあまり関係が良くなかった過去もあり、そういううす甘い家族観を押し付けてくる映画には嫌悪を抱いている。
俺だってそんな映画好きではない。
とはいえ、もうちょっと深いんじゃないの?と思ったので見に行った。
余談にはなるがそういう毒親美化映画として俺が大嫌いなのは現在『浅田家!』でヒットを飛ばしている中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』である。
『浅田家』は評判がいいが、はたしてどうだろうか……。
結果としては別に毒親美化映画ではなかった。
PDSDの原因となったおやじのことをずっと思い出すだけだ。
コピー「大人になった今、僕は知った。そこに、愛があったことをー」は全然この映画を表せていない商業的なウソコピーだと思う。
実際のところ子どもの時からおやじの愛には気づいているし、とはいえおやじはロクデナシのままで、最後まで全然改心しない。
むしろ悪さが露呈したくらいである。
Filmarksでは一応ネタバレをぼかしたが、おやじは道端で違法薬物の材料を育てているのである。それでツリーハウスをつくってやる!なんていっていたが、「こいつまじでどうしようもねえな!」という結論でしかない。
はっきり言ってこの親父も、この親父の元に子どもを置いて出ていった母親も大失格である。
児相に仕事してほしい。
どっちかといえばシャイア・ラブーフのPTSD回復映画というか。その過程でおやじのことを思い出しているに過ぎない。
『ジョーカー』とか『ロケットマン』とかカウンセリングから回想に入る映画は多い。
それだけメンタルヘルスケアのための病院受診が当たり前となってきたということだろうか。
結局おやじは再逮捕されたのだろうか。
シャイア・ラブーフのことを知らないと結局よくわからないよな、と思う。
サントラは今年見た映画の中でもかなり上位で好きである。
そう、繰り返すがサントラが良い。また、使用されている楽曲も良い。
その、何となくエモさだけでもまあ楽しめたと思う。
ただ、予告編を超えることはなかった。思ったより平坦な話だった。
なあ