宮古旅行2日目、市場から帰る
ホテルの朝食ビュッフェを食べているとき、人は貴族になる。
いくらでも選んでいい食事を前に、朝っぱらから「飯」という娯楽を楽しもうとする。
昔のフランスの貴族は暇すぎて一日に5回食事があり、そのせいでデブばっかりだったと聞いたことがある。
旅行中は結果として、間食などを含めると一日5回くらい食事をしている計算になると思う。
俺は貴族。デブの貴族。体重は71.2kg。慎重派。169cm。
おかゆとアサリの佃煮をセットで描き込み、蜜色のリンゴジュースを飲み干して、席を立った。
部屋に戻って出発の支度だ。
宮古で行くところを昨日昼食を摂った志むらという寿司屋で尋ねたのだが、浄土ヶ浜以外は特にないという意見だった。
あとは地元の人にとって当たり前のものばかりだ。
しかし、食物が残っているなら、ということで魚菜市場に足を運ぶ。
嫁はんも俺も市場が好きだ。
観光地の中でも整備されてなくて、銘々に経済活動を行っていて、そのおかげでなんというか、コンテンツの肌理が細かくかつ雑多である。
情報量を好むのは、感性が活字中毒者だからだ。
俺は地元ではシュル貝と呼ばれているムール貝を手に取った。
これを今日の夜、パスタにするのだ。
そのままの勢いで昼ご飯まで宮古駅の周辺で時間を潰そうと話していたが、嫁はんの体力ゲージはもうほとんど底をついていた。いや、どちらかと言えば気力ゲージが。
「もう帰る」
というので、「よし帰ろう!」と返す。
俺も少し、気力ゲージが疲れていたのかもしれない。
15:00に自宅についてすぐ、グーっと眠りについてしまったのだった。