裸で独りぼっち

マジの日記

怠惰の神さま/映画『フルメタル・ジャケット』ネタバレ感想

ほら、この世の仕事は全部いらない。

エッセンシャルワーカーはワーカホリックで、働きづめなので助けてやらないといけないが、俺だって休みたい。

空を飛んでいるかもね。

 

心に浮かぶよしなしごと。フルメタル・ジャケット

なんというか、心の残虐な部分が満たされるコメディ。それは、つまり、戦争ということだが。
戦争はばかげており、ほほえみデブの闇は見過ごされ、アメリカ軍はベトナムを焼きながらミッキーマウスマーチを歌う。戦線の状況は水増しして報告して、国民もみんなわざと騙されてる。
戦争という夢を見ている。
──という部分自体が「戦争を映画で見る」ということでもあって、やっぱりこれを楽しむということ自体が悪いことなんじゃないか──みたいな背徳感も覚える。
「クローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇」の法則にのっとれば、この映画「ロングショット」のそれで、敵のスナイパーに仲間が打たれて、それを助けにいってまたうたれてというくだりや、敵のスナイパーが断末魔の祈りを繰り返す下りを2~3回繰り返すのも、なんとなくシュールな「繰り返し」の面白さとともに、映画館という観測地点からロングショットで見ている時点で実はすべての悲劇は喜劇であり、色々な劇場で繰り返されているコメディなのだ、とも感じられる。
まあ、「映画をつくった」らそうなってしまったというだけなんだろうけど。

第二次世界大戦はとうに昔話となり、1990年ごろから起伏がないが故の平熱の戦場とテロの時代がやってきた。俺は愛機を便所で磨くだけのほほえみデブ。地元で平和に過ごしていれば、ヤツも幸せの中一生を終えられただろう。

すぐに映画を見ている「俺」の話にしてしまう。

してまう。

それは、俺が俺のために映画を見てるから。

そや。

デブの話が前半を貫いていて、『ラブやん』というお下劣ギャグマンガでほぼほぼパロディしていた買いがあったがな、と思いだす。

確かに真似したくなるアクの強さ。

端正な絵作りができるやつは、こうして下品でかつキャッチーな言葉の飴細工を作ることができんのや。

それはつまり、いびつなものを組み立てて素晴らしいものを作り上げるという最も端正なゲーム、いうたら折り紙みたいなもんやからな。

折り紙付きの意見ということで、よろしくどうぞ。