映画『未来世紀ブラジル』ネタバレ感想
ぶんぶんぶん!
11月が始まった。
俺は平熱。
今月は来年住む家のあたりをつけなければならない。
といいつつ、
映画を見た。
テリー・ギリアムがそもそもモンティパイソンメンバーということでコントをベースにSFを構築した感がつよい。こういう未来都市のコメディシリーズがあって、それの大長編が公開されましたよという感じがする。
チープであり、作りこまれている世界観。
冗談みたいで馬鹿らしいが、一人乗りの車とか葬式の棺桶とか、尋問ごっことか、妙に凝る部分はこってつくられている。あんまり主人公に感情移入する部分はなく、最終的な落ちもジョークとして成立するのがそういう結末だったというだけで、別に悲惨とも感じない。夢の中のシーンもチープでコントっぽかったし、松本人志の映画を見たことがないのでこういうやつのもっと日本内輪っぽいやつなんじゃないかと憶測している。
社会問題に対するマジな風刺とか批判の意図とかもなく、単に面白いから管理社会を描き、様式美としてディストピアをつくり、そして少し外しているのではないかと思う。お役所仕事で手続きが遅くてさーなんてのは、床屋でしゃべるような国に対する愚痴であって、サービスとしてのギャグだろう。
情報を直接見ないで鏡越しに、というのはそれよりももう少し芯に近いような気もするし、単にかっこいいからそうしているだけにも思える。
その後、町山智弘の『映画の見方がわかる本-ブレードランナーの未来世紀-』を立ち読み。前買ったけど引っ越しに際して捨ててしまったのでもう一回買うのはどうももったいなく感じられたのだ。
色々な映画サイトに書いてあるうんちくはこの本やあるいはこの本が参考にした資料が基になっていると推察される。町山智弘は映画に関してはしっかり調べていて、ときどきそんなストーリーだったっけ?みたいな解釈をするときはあるけど、少なくともまじめに調査している、一次情報を取っているという点で信頼できるのだ。
映画館で観ないと多分途中で見なくなってしまっていた気がする。
世界を感じるにはやはり周りが全部真っ暗で、爆音でその世界の土埃や汗や風を感じられる状況でなければならない。
午前10時の映画祭なんか主婦かニートか老人しかいけねえだろ、と思うが、それでも主夫の俺としてはやってくれていてよかったという感覚である。
そもそも風刺的世界なので、人物が生身のようでいて、トムとジェリーの登場人物のような二次元感もあり、死のうが生きようが発狂しようがそれは不可逆ではないという感じがした。
思考実験の箱庭。