漆のように
達磨が、並んでいる。
その横にはカゴバッグ。右端には『東北スタンダードマーケット』と銘打たれ看板が。
あ、今目の前をゴスロリの2人が通り過ぎて行った。
こういう人が意外と普通の声でしゃべっていると、どこで人前で奇抜な格好を披露できる勇気を得たのか、と思いを馳せてしまう。
俺は人の目を意外と気にしている。
毛の少ない猿がアーマーを身にまとい、小麦の粉を発酵させたうえで焼き、その上にチーズと豚のくず肉の腸詰めを乗っけたものや、豆の煮汁を飲んでいる。
俺は「お湯が多かった」という理由で取り換えられた濃いコーヒーに胃をやられながら、日記を書いている。
My Hair is Badのサブスクが解禁されたので、聞いてみた。
「真赤」「元彼女として」「関白宣言」「ワーーカーインザダークネス」「惜春」。
ふーん、普通だなー、と思うが、その普通さは売れた後はスタンダードになった。
セフレみたいな女の歌詞とか、犬系2番目彼氏の歌詞とか、マーケティングがお上手ですね、と皮肉がついつい浮かんでくるが、よくよく考えればぴんからトリオの時代から、悲恋を歌うのは日本人の歌のスタンダードである。
まあ、世界的にも失恋ソングってスタンダードなとこあるし。
そういう太い幹みたいなものをあえて忌避するほうが、変に意識し過ぎているんじゃない?
うるさい。
漆。