『ザ・ファブル』 漫画と映画の感想 #ネタバレ 漫画の魅力と映画の……な点の理由について
Filmarks感想(映画)
原作既読。
『サンブンノイチ』面白かったタイプの俺なので、賛否両論分かれる映画版でもかなり楽しめるんじゃないの? と思い足を運んだ。
結果としては、まあ、、、わかるという感じ。そのそも原作がある目的に向かって主人公が向かっていくタイプの話ではなく日常を過ごしたい主人公が事件に「巻き込まれて」しまう話なので非常に2時間の尺にはまとめにくい。日常の描写が表の描写としてのメインなのだから。
その結果、長い目で見れば味のあるキャラクター(ようこ、バイト先の眼鏡、タコ店長、ボス)などがいらない存在となってしまっていた。また猫舌などのファブルのギャグも重ね過ぎで滑っちゃっていた。世評の通り岡田准一のアクションと柳楽優弥の演技は見事。個人的に好きな安田顕も変わらず良かった。ただ、悲しいかな岡田純一とためを張ってアクション出来るネームド俳優がいないためかアクションの多くがファブルがなぜか都合のよく銃を持たない多数のモブか銃持ちで待ちかまえているフードらかになってしまっている。廃工場のガラスを割って柳楽優弥を助けたシーンがクライマックス化していたのでそのあとが非常に蛇足に思えた。特に向井理と柳楽優弥の殴り合いと山本美月の転落ハラハラ劇はいらなかったでしょう。。
さらにファブルの子どもの頃のシーンもいらなかった。今作、ようこの酔鯨描写とか、バイトの面接で笑われるファブルとか、原作ファンサービスしすぎて初見だと意味不明じゃないか?となるくらい原作の要素を崩すことに臆病になっているのにファブルの子ども時代は創作(山ごもりの話はあるがボスとのエピソードはない)。別に謎の強い男でよかったろう。ボスとのつながりを副組長と柳楽優弥の関係性と対置させたいならもう少しそちらにフォーカスすべきだし。。といいつつ、その2人の関係性とか、不殺を破りそうになるファブルとか、要素が多すぎで、もう少し絞るべきだったんよなー。やっぱりそんなドラマはいらないからファブルが覚醒してつおい!というところだけを考えることはできなかったのか。。。
ドラマとしてこれだけの好素材はないと思う。ドラマ化希望。
読書メーター感想(漫画)
1巻
スピード感がえらくない作画で、格闘が出てくる漫画としては致命的なのにセリフ回しと設定で人気を博しているで、あろうと思った。 「紙面上のキャラに針を刺すと血が出るような漫画が描きたい」との作者の弁だが、むしろキャラの微妙な非実在感がアンニュイな魅力を与えていると思う。
2巻
人間味を表現するのに意外性を使うのがうまいな、と思った。 高橋は酒に弱く、洋子は弱い男が好き。 若頭は存外人情に厚く、ファブルはジャッカル富岡で大笑い。 今後ハードな展開になるのかどうか知らない。ならなくていいな。
3巻
ファブルのかわいげ漫画と化している。 ファブルだけでなく弟子になりたいクロもかわいい。 ファブルのナチュラル異常者っぷりを表現するためなのだろうが職場のみんなに山で放置された話はしてよかったのか? ファブルの底がしれないように計算されている。 知れてしまうとつまらないが見えないと興味がわかない。 うまくコントロールしてくれよ…!
4巻
小島という悪役が出たことでラインが明確に。 盛り上がってきた。
5巻
ヤクザらしい悪辣漢小島。 舐めてた相手が殺人マシーン(ただし殺さない)の幕が開くか――。
6巻
[勝つのは強い方や] イチバンかっこいい巻
7巻
後始末&幕間的な巻。 ファブルはこの日常が面白いのだ。 独特な絵のタッチを見る限り画力はないが表現力はあるんだなと思う。 それにしてもつけペンで書いているとは思えないくらい動きのない絵なのだが。
8巻
山ごもり巻。 クロが意外に根性を見せる。 また、サバイバルうんちく漫画としても面白い。 どこまで本当化は知らないけど。
9巻
怨み屋本舗の敵みたいな悪人がでてきた。 またもミサキがピンチになるのか?
10巻
表紙を見てもファブルのこの人相でヒーロー性を持たせたのはかなりのうでだなあと。
11巻
ようこも強いなあ。立ち絵のヤンキー感がやはり異様で、それが良い。
12巻
「今度はコケる前に支えたぞ」 ファブルが完全にヒーローだが、よく考えたらこいつ非常な殺人マシーンなんだよなあというのが常に頭をよぎる。そのあたりどう落ちをつけるのか。後半に効いてくるだろう。
13巻
タコちゃんはいい人だよお。
14巻
ファブル通しの戦いへと徐々に進んでいく新フェーズ開始。 ファブルにはずっと最強でいてほしい気もするし同格相手との戦闘が見たい気もするなあ
残り
ヤンマガ紙面上で読んだ。ファブルの格はいまだ下がらずだが、ミサキにばれたことで今後の実は…コメディの展開はどうなるのか、そちらの面で全く先が読めなくなった。
改めて映画の感想
ファブるとか、ドラ泣きとか、映画のために変な造語作るのはサブいよな~。
それにまるで関係ない洋楽を主題歌に持ってくるのも
つまりそれだけサブい宣伝をしなければならない制約が制作陣に科せられていたということだ。
だとすると、俺はとても江口カン監督を責める気にはなれない。
多分いろいろあって苦労したんだろう…。
最初の目線を映像化する演出もプロデューサー陣に分かりにくいといわれて泣く泣く入れたり、大阪に入った途端新喜劇みたいな音楽を入れるもの無理やり…。
あ~なんて不憫なんだ。そのなかで最後の砦としてアクションだけは守り切ったとしたらまあ評価してあげたくなるというのが人情ではないか。
とはいえそのアクションも椅子に括り付けられて柳楽優弥をファブルが救うとことがピークで、そのあと尻すぼみだったので構成に問題があるのではないかと疑問が残るが。
あと、漫画の感想を読み直して思ったけど「勝つのは強いほうや」。このわかりやすくカタルシスを生むファブルの激かっこいいセリフをなんで使ってくれなかったのか……!
ジャッカル富岡のギャグの前にこれを入れなさい!
漫画全体の感想
実は読む前はもっと日常ギャグな作品なのかと思っていた。
元殺し屋の日常のギャップコメディでいうなれば味わいとしてはアゴゲンとか聖お兄さんみたいになるんじゃないの~と。
思いきや実際はウシジマくん的な裏社会リアル3割、ギャグ3割、胸打ち震えるプロ系バトル3割、恋愛1割といったバランスだった。
漫画では小島らとともに拘束されたとき、ミサキはフェラまでさせられてあやわ強姦一歩手前というところでファブルに救われた(そこで「勝つのは強い方や」!である)わけだが、ヒロインであってもそこまでは汚す、ファブルを決してイケメンには書かないそれでいてカッコよく見せるし、ミサキも純真なままに描ききる。その思い切りの良さ、容赦なさは元走り屋の作者ならではの胆力が発揮されている点だと思う。
そういう人間ではない俺はそこに一番惹かれる。