20200912_クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者
クレヨンしんちゃんの映画を2つも見た。
ひとつは劇場で、ひとつはテレビで。
評判のよさを聞きつけて見に行った。
それと、コンセプトフェチなので。
(というか大雑把にしか作品を楽しめない)子供向け映画で落書きをテーマにして、それを動かすというのはめちゃくちゃいいアイディアだと思う。
昨今の子供向け映画でしばしば落書きや子供たちの写真が主題歌とともにうねうね動き回るOPというのはあったが、それ自体を映画に利用しちゃえばいいんじゃないの?というのは発想として美しいし、効果も見込まれる。
視聴者の子どもたちは自分の絵が大好きなしんちゃんの中で動き回っているのでうれしいし、
大人たちは新しいコンセプトに挑戦しつつ、創造性を子どもたちにある種助けられて新規なものを作ることができるし、
我々大人の視聴者も子供の絵が見れてうれしい。
三方よしである。という期待満載で見に行ったので、予想を超えることはなかった。
でもしっかり及第点の出来だったと思う。でも、各所で言われていることではあるけどやっぱり登場人物が多いんだよな~。
ユウマも唐突に出てきたうえに性格的には素体の風間君といった感じであんまり特筆すべき魅力がない。
とはいえヤダみが一切ない男の子だったので物語上のストレスにならない点は好感が持てたのだけれど。一方ヤダみを一身に背負うブリブリざえもんは、ボケキャラとして正直言ってしんのすけと食い合ってしまうのが問題だった。一日飯を食わず、素直に言うことに従って、ななこおねいさんのひいきもせずみんなを救おうとするって、ちょっとしんちゃんいい子すぎないか?
勝手で自由なハチャメチャ5歳児=しんちゃんだからこそ、嵐を呼ぶ勇者たりえると思うのだが、これではただの勇者である。
そういえば、ボーちゃんが選ばれず、しんちゃんが勇者に選ばれたのも根拠がない。それはそういうものと言われればそれまでだが、めんたいこを書いたしんちゃんと石を活写していたボーちゃんならボーちゃんの落書きの方が自由じゃない?
ボーちゃんが好きなので、しんのすけの引き立て役としてのみ利用されたのには納得がいかない。また、水にぬれるの基準があいまいなのが気になった。
涙、カレー、汗…。
キャッチコピーを見て初めて気づいたけど、そういえばクレヨンは「クレヨンしんちゃん」というタイトルにもかかっていたのだな。
そういう意味でも目の付け所が圧倒的に良い。
ただ、上記のポイントに加えて、設定については大いに気になるところがある。
今回の話、つきつめれば「春日部という街」がやばいというだけの話なのだ。
ラクガキングダムが落ちてきて起こる被害は、キングダムの民と春日部という街の崩落であり、すくなくとも直接的には人命被害については言及されない。
むしろ、現場に残ってクレヨンで奇跡を起こそうとする方が人命に対するリスクは大きい。
そこを賭しても「春日部の街」を守るというのなら、それ相応のロジックが必要だっただろう。
富士のふもとから帰ってくるパートを描いている場合じゃないのだ。
家に帰ってきてからは、公開日に合わせて放映されていた『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』を見た。
こちらが面白かった。
完全に大人向けの話だけど。
次の映画で監督交代だから好き勝手やったのだろうか。
ちょっとみさえが「女」すぎてクレヨンしんちゃんじゃねえだろ!とは思ったけど、それを賭してもやりたいことだったし、そういう志で『オトナ帝国』はうまれたのだからそれでいいのだ。