暑く平坦な日常
昨日は──
嫁はんが昼間に帰ってきたので婦人科にいってケーキ屋に行った。
夏は暑い。車の中もいつまでたっても涼しくならない。
家の中はクーラーつけっぱなしだ。
ずいぶん軟弱になってしまった。
自転車と扇風機は俺の夏の2大親友だったのに…。
彼らとはお別れの時が少し遅めにやってきた。
あんな友達は二度とできないだろう。
というわけで新しく友達になってもう2年がたつデイズ君のクーラーを21.5度に設定して、婦人科へ。待合室におそらく院長が読み終えたものを置いているだけであろう分厚い小説がたくさん設置された病院だ。
途中でのどが渇いて、婦人科に男一人というのも気まずいので俺は外に出た。
郵便局で待つことにする。
診察を終えた嫁はんとチョコレート屋へ向かう。
ケーキが食べたいから。
クーラーが聞かなかったのは設定がAutoに入ってなかったからだ。
カメラでも何でも、素人が適当に設定したものがAutoに勝ることはない。
テクノロジーへの敗北と自分の頭の悪さを感じるが、快適であればそれでいいのだ。
俺は大人だから、それで飲み込める。
チョコケーキとチョコレートドリンクを買って家に戻る。
夕飯は、嫁はんが以前から目をつけていたタイ料理屋からテイクアウトする。
タイカレーとスパイシーチキン。
鳥が丸々一匹届いた。
多くて食べきれない。嫁はんはその量に圧倒されて、倒れて、眠ってしまった。
俺は襖の陰に隠れて(狭いところが好きなのだ)掛け布団も敷布団も枕代わりに死体のように横たわる嫁はんを傍らに、『リバーズ・エッジ』(岡崎京子)を読んだ。