映画『リスペクト』ネタバレ感想
映画を見た。
歌の映画は映画館で見るに限るのだ。
リスペクトと言いながら、リスペクトを生み出してからの困難が長い。伝記映画なので悩んだけど名曲が生まれて完全体になれましたという単純な話にできなかったことがわかる。
歌も常に父や夫の抑圧的な悪いアレや自分の苦しみをアレサが吐き出している、歌の中で心情を吐露しているというものが多く、最終的な解脱もゴスペルで訪れるのでスカッと爽やかというわけにはいかない。むしろおおむねちょっと緊張しているしうまくいっているように見えても抑圧されていたり心中凝り固まっているしんどさがあった。事前に聞いておいてよかったなと思うのがコテンラジオ特別編の「キング牧師回(#05と#06)」。キング牧師がいかに黒人コミュニティの精神的支柱だった、また彼の死後アレサと父がなぜ非暴力主義をめぐって対立したかがよくわかる。
https://open.spotify.com/episode/3JBPXD513dFqwaGDSaRpgE?si=zvGybhjgQnWwOnkdpgi5Pg
人間はそうそう変われないし増長する。それを救うのが結局信仰心というのは、いかにもキリスト教的で乗れないなーと以前の俺なら思っていただろうが、なんか素直にキリスト教に入信してもええかなと思った。なんというか、宗教の以外にロジカルな部分がこの年で沁みてきたのだ。しかし、日曜に教会行くのとかめんどくさいしなー。
歌が上手くて公に対する態度も立派だとは言え、途中あんなに偉そうだったやつ(物語上の都合かもしれないが)に、アメリカ市民最高の名誉なんかくれてやるなよと思ったが、最後のオバマ夫妻の前での劇歌うまコンサート観たらやっぱり仕方ないかなと思ったよ。とびぬけて歌がうまいやつはずるい。
これまで見た映画や聞いた話と現在見ているものがつながった瞬間というのは「積み上げた教養が開かれた」感じがしてうれしい。
うれしい、とは素朴で幼い感情である。
理系畑の人は良く「うれしさがある」といった表現で何かのメリットや課題が解決できる機能を表現するのだが、それは何か機能を解決できて得られるものはその結果や達成される数的成果ではなく、結局自身の体感できる「うれしさ」だけだということを表現しているのではないかと思う。
というのは、文系男子の理系信仰かもしれない。
良く知らないものほど信仰できる。自分を救ってくれるのではないかと感じるからだ。
まあとにかく「歌」で金が稼げるようなデタラメな世の中なんだから、邯鄲の夢とでも考えて死ぬまでいきるのがよろし。
来年の事を言えば鬼が笑う。
というのは、先のことを考えても仕方がないという意味だ。
『ドリームガールズ』をまだ見ていないので、見ないとなと思う。