燃やせ
嫁はんは仕事で脳を痛めている。
悩んでいるという意味ではなく、多忙ゆえにダメージを食らっているという意味だ。
人間にはそもそもたくさん働けるかどうかの体力の違いがある、あるいは無理するのが普通だろ?と思う謎の信仰心があるか?
いずれかのおかげで便利で快適な世の中は続いているが、大勢の脳みそは少しずつ死んでいる。
俺は脳みそを箱に隠して、そこに生理食塩水をたっぷり注いで、大事に大事にしまっているつもりだ。
でも、精密機械は使わないとただ単に動かなくなるんだよなあ。
まあ別に最悪死ねばええしー。
と思って生きているが、もちろん今際の際には無様に暴れまわるつもりだ。
それも含めての死ねばええしである。
しかし、翻って考えるに、「死ねばええし」というのは親にも恋人にも社会にも甘えられなくなった人間が死に甘えているということだろう。
たいていの悩みは時しか解決しないし、それまではずいぶん前に買って使っていないスピーカーのように無限大の心の片隅で鎮座しているだけだ。
そして、いつかは大地震がやってきて、あるいは隣の家からのたばこ火で、スピーカーは灰になっておしまい。
時たま俺は脳内で「燃やしたらええんや!!」と叫ぶ。
声に出てしまっていたらどうしよう。