裸で独りぼっち

マジの日記

映画『アンテベラム』ネタバレ感想 #酷評気味

アンテベラム

『ゲットアウト』や『アス』を期待するとクオリティで2、3段劣る
そもそも構成が悪い。まず、黒人解放以前の状況を見せてから、そこに至るまでどのような流れがあったのかを描く。普通に黒人解放以前の話かなと思っていたらびっくりする仕掛けなわけだが、宣伝の仕方からしても予告からしても現代人が紛れ込む仕掛けがあることはわかってしまっている。そのため、わかっている種明かしをひたすら待たされる空虚な時間が続く。実質的に物語が後半2/3まで進んでいないのだ。
主人公が何か仕掛けをしているのかと思ったら、単に忍び足で脱出する練習をして、子供の絵で心を慰めていただけだった。そんなやつが黒人女性のオピニオンリーダーになれるだろうか。いや、心が折れなかっただけえらいにしても無策過ぎでは? ヨガを習っていたのが伏線だったとでも? その割に携帯の場所はわかっているし、敵は一体ずつ襲ってくるしで緊張感がない。
あんなホステルみたいなことをするならもっと徹底的に管理しないと自分が寝首かかれるだろう! そもそもベッドから脱出した時点であいつを殺してないとおかしい。お前(主人公)のせいで黒人男性のリーダーみたいなやつは死んだのだ。主人公側にそういった倫理的な咎は追わせないということかなと思ったらそのあと普通に殺すし。
まあ、あの黒人男性がほいほい逃げ出せるのも管理甘すぎだし、警察も仕事しなさすぎである。
せめてあの状況下で人間模様やドラマがあればよかったのだが、このわかりきった設定が結局物語の主軸となってしまっていて、主人公が逃げ出す決意を固めるきっかけとなった妊婦との関係も大して描かれていなくてきっかけとしてよわすぎ。
予告の時点では、「ああ、なるほど1900年代初頭に主人公がタイムリープしてしまう悪夢のタイムスリップものね」と思ったのだが、違った。絶対そっちのほうが面白いし主人公が便りにされる必然性も生まれると思うんやけど、最後のエンドロールも短かったし予算が少なかったんやろなア。

凄ーく酷評している。

期待していたからだ。

ていうか、ジョーダン・ピール作品だと勘違いしていた。

勘違いさせるような宣伝方法を取っているからだ。

ポスターも『アス』とちょっと似ている。

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それを期待してか、劇場の客入りも悪くなかった。まばらに入った客人たちはどのような感想を抱いたのだろうか。

Filmarksの感想はざっと見ると悪くないようで、世間とのずれを感じる。

 

確かになんも知らんと見に行ったらこの構成でびっくりしてしまうんだろうか。

でも、そんなわけないと思うけどな。

こんなホラーっぽいポスターにしている以上、単に昔のイヤな黒人差別の状況を描いただけの映画なわけないだろ。

 

アンテベラムは「内戦以前」という意味で、アメリカでは、その内戦が南北戦争を示すことが多いです

引用元:気鋭監督コンビが明かす! ジャネール・モネイ主演スリラー『アンテベラム』は“二度と経験したくない悪夢”から生まれた!?┃Banger

このタイトル踏まえると確かに「あ~歴史ものかな」と思って見に行く人もいるのかな。

でもそんなだまし討ちしたら興行成績が上がるわけがないのよ。

 

結局仕掛けに終始しすぎてドラマが薄めなのよな。

どうやって拉致された人の間で協力関係が築かれて、どうやって白人連合があそこまでの帝国を築いたのかの流れにこそドラマがあるわけだから。

それが描かれないとどうにも嘘っぽい、それこそ作り物の舞台に思えてしまう。

作り物の舞台を描くのだから、それを囲む作り物の映画という舞台、第四の壁の向こうはしっかり構築してくれないと。

 

捜索届けだしてるならあんなとこさすがに見つかるだろ。