ハッと目覚めた
「うん、いいね。花の方だって君に買われたがっていると思うよ」
「でも、お金がないよう」
セリフの後に地の文が続く。
俺は荒くれ者。近所の鼻つまみ者。
二階から目薬。この時期のカフェの入り口付近の席は風が吹き込んでくるので長くは滞在していられない。
スクレイピングがしたい。昔取った杵柄でちょっとやるがページ遷移の仕方に手こずっている。
基礎から押さえなければならない。しかし、基礎からやっているような暇はない。
いや、暇ではなくやる気がない。
眠い。朝から眠っていない。
世間も実はそうだ。仕事に邁進している。
でも実は眠っている?
覚醒しているという我はない。ただ、起きているか眠っているか思考しているかわからない自分がいる。
心理学も哲学も文学の類。
科学の反対。
魔法の友達。
「あんたうるさいよ」
とナガサワコーヒー盛岡店にて俺のタイピング音をきいた嫁が言う。
俺はそれを聞いて、なるべくキーボードに「息をひそめさせ」ようとする。
朝の良い時間を奪いたくはないが、俺は時間がないのだ。
今朝は母が死ぬ夢を見た。
強盗に殺されたのだ。
俺も襲われたが、撃退した。
でも、母は救えなかったのだ。
数日前に母と交わしたラインが俺の意識をいまここで認識しているバースへ呼び覚ます。
ハッと目覚めた朝。