村上龍『69』を読んでる途中の気持ち
村上龍『69』を読んでいる。
彼女にお前なら好きだろうといわれたからだ。
小学生時代の俺は村上龍を知らず、
中学時代の俺にとって村上龍は原題が「クリトリスにバターを」という小説『限りなく透明に近いブルー』を書いた癖に権威づいている人で、
高校時代の俺にとって村上龍はダブル村上の目の下が黒くてオードリー若林が愛読しており父の見るカンブリア宮殿で最後に感想文を書く司会だった。
要するに、周辺知識ばかり増えていったのだ。それなのに、俺はこれまで村上龍の作品を読んでこなかった。人並み以上には本好きであるあずにもかかわらず、だ。
何となく手が伸びなかったのは周辺知識を集めすぎたからかもしれない。タグ付けするほどに村上龍の幻想が俺の中で膨らみ、それが破壊されるのも肯定されるのもうっすらと怖いような気がしていた。
現在文春文庫版の『69』を110ページ。
四人の刑事が僕の家にやってきた。
ここまで読んだ。
彼女の言う通り、主人公の持て余す割にはあまりに実態のない自意識と性欲と饒舌な言葉は俺の好みにピタリと合う。
そんな部分が見抜かれていたかと思うと恥ずかしい限りだ。