20201004_さるなしジュース
嫁はんがいない休日の日中。
俺に休日も平日もない、といいつつ、何となく世間が動いているときと動いていないときの反応の違いはある。やはり世間が動いているときは何かと応答・返信しなければなあらないしそれがちょっと煩わしいものだ。
結局、仕事をする上では社会と接続されなければならない。
接続されると、コネクタを起点に引っ張られ振り回されることになる。
ケーブルを引っこ抜いてしまえばいいのだけれど、それでも無線でつながるだけかもしれないし、もう二度と差し込めないかもしれないと思うと、俺は……。
たまに通りがかっては気になっていたカフェバーに足を運んでみた。
さるなしジュースを飲んでみる。
さるなしジュースとは岩手県軽米町の名産で、キウイの原種ともいわれるマタタビ科の果物である。
これをぐいぐい飲んでやったのだ。
夜は嫁はんが帰ってきた。
夕飯を作るやる気を失っていたので外に食べに行くことを提案する。
果たしてそれは承認される。
嫁はんが以前職場の友人と一献傾けた居酒屋が「準備中」だったので、その近くのおしゃれっぽいダイナーに入る。
嫁はんはビール、俺はカルアミルクを注文する。
俺の胃は今や新生児のように繊細なので、嫁はんに注文を頼み、そのお相伴にあずかることにする。
いぶりがっこクリームチーズ、豆腐のあげ玉やっこ、ローストビーフユッケ、タコスサラダ、カルボナーラ……。
それらを箸で突っつきながら話す。
嫁はんは時折「私、喋り過ぎじゃない?」と気にする。
そんなに自分ばかり喋っているように感じるのだろうか。
不思議に思う。