春めきけだるく
俺ができると思ったことはできるし、できないと思ったことはできないのだ。
当然の話。
昼ご飯は何を食べたっけ?
たしか麺……な気がする。
※ブルーベリーチーズケーキとレモンスカッシュだった
だんだんと春めいてきている。
コートはいらなくなった。汗がケツににじむ。
俺と嫁はんは街を歩き、マグネットを探す。
嫁はんが職場で使うマグネットだ。
嘘の話ではない。
俺はRPGで主人公の仲間になったパーティのようにただ後ろをついて歩く。
ただ、それらNPCとオレが違うのは、時折下痢を処理するためにトイレに行くことだ。
その間、嫁はんは雑貨を見たり、マグネットを選んだりする。
昨日辛くしびれるマーボーを食べたせいで腹具合は一昨日のそれに戻ってしまっていた。それでも、後悔はない。
家に帰ってから嫁藩は一度職場へ向かう。
俺はなんとなく疲れた気がして、畳んだ布団に頭を据えて首を休ませる。
眠れやしない。
かといってほかの何かができるわけでもない。
amazonで『ハウス・ジャック・ビルド』を見ようとして、少し再生して止めた。
嫁はんが帰ってきたので、料理を作る。
第一回「下痢の人間に料理をやらせていいのか会議」の末、手を洗えばいいのではないかという結論が半ば強引に下された。
俺は調理師。
私、作る人。
鮭の西京焼きとほうれんそうのお浸しと、前買った春巻きを食べながらモダンラブの6話を見る。
ファザコンのサイコ女が30以上の天才物理学者に「パパみたいにして!」とすり寄って誤解させる話だ。
嫁はんは天才物理学者に対して「未熟で気持ち悪いんだよ!」と怒っていた。
俺はそれを見ながら最近70円高いものに鞍替えしておいしくなったような気がしないでもない水出し麦茶(ぬるい)を飲み下したとさ。