天に唾するよ
何度も繰り返すが、労働は本当に悪い。
早く全部ロボットにやらせられるようになりたい。
仕事を失わないか不安な人もその保証さえ得られればすぐにでも目の前のブルシットなそれを放擲できるだろう。
早く世界の一部になりたい。
モチベーションがあるやつらとその手先であるロボットが作る世界でどうかそのままで変わらずにいてくれと望みたい。
家畜でありたい。
と願いながらも、まあ時たまに絶対にやらなければならない、というわけでもない仕事に着手したりして日々を過ごす。
嫁はんは絶対にやらなければならない、というほどではないが義務付けられた仕事に毎日さいなまれている。
上手くできなくて「ワーッ」となるんだと悩みを話す。
嫁はんはロボットの世界になっても仕事を続けるタイプかもしれない。
俺は何ならロボットになってしまうかもしれない。
機会の体にしてもらって永久に生きるのだ。それが怖くなったらスクラップ工場で溶けるように死んでいこう。
来世も日本人であれますように。
日本語しかわからないから不安なのだ。それに、日本食が好きだし。
夜ご飯は実家から送られてきたうなぎを食べる。
前日は冷凍の肉を食べた。今日は冷凍のウナギを食べている。
フリーズドライ技術に俺は支えられて生きている。
もしそれらが一夜にして失われたとして、車輪の再発明をする前にこの命尽きてしまうだろう。
労働が文明をつくり、それがオレを豊かにしている。
天に唾するような心境を抱えながら、恨み節をつぶやく。