のどかな金持ちのぶたの一日/ファイト・クラブ
めちゃくちゃいい旅館に泊まり、金持ちの家のブタみたいな生活をする、の2日目。
朝ごはんは注文し放題の形式。
ビュッフェではない。
おいしいおいしい卵を食べる。
雑穀を食べる。
味噌汁を食べる。
ギリシャヨーグルトを食べる。
ぶひい。
飯をくろうた後はのんびりと外出に赴く。
部屋の清掃をしてもらうときに中にいては気まずいので、ここは席を外すのが良いと判断したのだ。
ほっとゆだ駅は温泉が併設されている全国でも珍しい駅で、その温泉は暑い、普通、ぬるめの3つの浴槽に分かれており、その頭上には電車の信号が。
電車が来る45~60分前は青、15~45分前は黄色、~15分は赤が点灯するらしい。
しかし、今は故障中で赤しか点灯しないらしい。
はっは!けっこうけっこう。
時間を気にせず使って、2Fの休憩室で『ファイト・クラブ』を読みながら涼む。
風がそよぎ、嫁はんはじんわり眠くなる。
彼女の故郷の島を思い出すのだという。
ほっとゆだ駅を出て、歩いて数分のところに位置するのが川村美術館だ。
しかし、残念ながらしまっているご様子。
別に休館日とかではないのだけれど、あんまり客が来ないから一時的に占めているらしい。
開けてもらえないかと、近所の公民館的なところに言ったらただただ戸惑われた。
そして、なぜか公民館の上映ホールに案内され、村一番のプロジェクターを見て、外に出た。
錦秋湖のほとりには草花が茂っている。
そして、広場では幼稚園児が弁当を食べている。
大きく手を振ると、子どもたちも大きく返してくれた。
川のほとりを、花の名を検索しながら散歩する。
俺は、のどかをしに来ているのどかなぶたである。
ファイト・クラブを読んだ。
20~30代の『ライ麦畑』だった。胡乱にのべつ間もなく語っているような文体とか、主人公の現実との軋轢とか、それを料理におしっこしたり金持ちの脂肪でつくった石鹸で意趣返しする少年的感性とか、結局のところ主人公の内面に疾患があったという話に落ち着くところとか。ライ麦畑に落っこちる子どもたちを救いたいと語ったホールデン少年は、大人となり、社会に組み込まれた大人に生命の危機を意識させることで、生きる意味を与える仕事に従事するのだ。まあ、それってそりゃ上手くいかないよねと現実の大人である俺は思う。パラニュークも冷めている