裸で独りぼっち

マジの日記

映画『シカゴ』ネタバレ感想 (午前10時の映画祭で見た)

シカゴ

バカかつメギツネばかり出てくるので、これは「フェミニズム的にはいかんやろな」と思ってみていたが、最終的にはここまでの胆力があればそれはやはり能力が高いと思われるので、別に今作っても大丈夫かもしれん。
いや、そんな側の話をするのは野暮である。他に出てくるのは賢くズルい弁護士とバカで誠実な夫なわけだから、あとは頭が弱くて欲深い女というのはなあ、と感じたわけ。犯罪の理由が全員痴情のもつれだったし。
まあでも、これは大人の寓話だから単純化するのが正解なのだ。
こういう世界観、こういうおとぎ話である。
とはいえ、実話に基づいて元のはなしは作られたらしいけど。
今見ると楽しく面白いけど、アカデミー作品賞は取らないタイプの作品だよな…『ボヘミアン・ラプソディー』みたいな。と感じられるけど、それは今のミュージカル映画の手法に慣れ切ったからで。心象風景をミュージカルに託すというアイディアは当時業界に激震を走らせたんやろなア。
『メリーポピンズ リターンズ』を先に見ていて、話作りに納得がいかずあまり評価していなかったのだけれど、こちらの大人のおとぎ話の方がロブ・マーシャルの得意分野だし、こうまですれば話の粗雑さも気にならなかった。
映画館にあった『午前10時の映画館』冊子にて、レニー・ゼルウィガーが「悪徳は無名にまさる」を真っ向から否定していて、「芯のあるイイ女だぜ!」と好感を持った。

町山智弘の解説動画↓。

youtu.be

これによると、「シカゴはそもそも寄席をミュージカルという形式で映画に詰め込む」ことを意図して作られた作品らしい。

確かにそういわれればずっと「ショー」みたいだったなと思う。

そう思うと、『グレイテストショーマン』もこの感じの再現を目指していたのかなと思う。

映画館にショーを見に行くこと(嵐のコンサートとか)は今では当たり前のものとなり、「2時間のおもしろいかつまらんかわからん物語を見に行った方がいいんでは?」とみんなが思い始めている時代に先んじて、2002年に映画の「ショー化」のパイオニアが生まれていたというのは確かに面白い現象だし、すごいことだなと思う。

ただ、その後ロブ・マーシャルがぱっとしないのは、「ショーは一回限りのもの」だからではないか。

ストーリーはショーよりもぱっとしないが、ショーよりも色々なものを描ける。

その能力がロブ・マーシャルにはかけているのかもしれない。