裸で独りぼっち

マジの日記

映画『ファーゴ』ネタバレ感想

ファーゴ

有名な割にあまり凄みを感じない作品だった。
最初に真実であるといって本当は丸々嘘(いくつかの実際の事件を一つにまとめたということらしいが)というのは誰もが思いついてもやらないことで、それをやったという意味で衝撃的ではあるんだろうけど、それと評価に結びつく意味も良くわからない。
そこまでのコーエン兄弟の業界での認められ方とかフィルモグラフィーを踏まえないと本当には価値はわからないのかもしれない。
しかし、最終的にバカなはした金のために争うのではなく、普通に生きるのが一番よという当たり前のメッセージに落ち着くのは確かに沁みる。
とはいえ、普通に生きていた嫁さん(おそらく)は無残にも殺されてしまって、息子は両親を亡くしてここから普通を歩めなくなるわけだからなあ。
普通が一番ではあるが、野心をもつ人間は現れるし、その結果ふつうの人間も迷惑をこうむるのだ。そのこと自体は解決できるわけでもなく、突き放したカメラワークも相まって映画の限界を感じさせられた。

短髪でないフランシス・マクドーマンは俺にとっては新鮮で、やっぱり顔は整っているのだなと思う。なんか、かっこいいというチャームはずるいが、俳優とはそのずるさで卓越している人間なのだからしょうがない。

スティーヴ・ブシェミを何回も変な顔というギャグは現代では採用されなそう。八重歯なだけでそんな変な顔でもないし。あと、小さいからなめられてんのかな。

 

youtu.be

「はじめは無邪気な偽装誘拐だった…」ってあるけど、偽装誘拐は邪気まみれだろ!

 

町山智弘の映画その他無駄話も久しぶりに購入して聞いた。

3つの実在の事件をもとにしていること、コーエン兄弟の持ち味に突き放した「冷たい」登場人物へ向ける視線(ロングショットの視線)、『アンナ・カレーニナ』が下敷きになっているのではないかというアイディアなど……。

 

本当にありそうな事件を全く架空で作り上げたというのはものすごく技術がいりそうなことにも感じるし、そんなもん、そこらにある事件を「面白くしよう」とせずに映像化するだけなんだから簡単だろという気もする。

でも、「面白く」しようとせずに作った事件の映画は「面白く」ないものになるはずで、それでそこそこ「見れる」作品になるのだから、やっぱり手腕はあるということなんだろうなあ。

「面白い」とまではいわない。

 

でも、何もなかったけど、おもしろかった、という程度の我々の日常の佳さってそこにあるので、テーマと合致してはいる。

 

「何気ない日常が、幸せなんだよネ……。」

 

ってか?