20200418_田園
急遽温泉宿に宿泊した。
おっと、その手をおろしてくれ、ここは岩手県。
現在蔓延するウイルスCOVID-19の魔の手からは唯一逃れ、通常の温泉宿の営業も施行されている楽園のような場所なのだ。
他県の民は必要最低限の生活物資を手に入れる手段しか与えられず、日々穴倉のような部屋の中で隠遁生活を強いられていると聞く。
この楽園だけが、「あの出来事」が起こってからの令和の世におけるオアシスのような場所であった。
我々は朝から温泉宿を予約し、車に乗り込む。
4200円。この国の通貨価値において焼肉食べ放題、ゲーム1本、ダダリオギターの弦1セットなどと比肩する金額を払うことで、温泉宿に人間一人が宿泊する権利がやっと得られる。我々は50数万円でこうにゅうしたオンボロの軽自動車に乗ってブンスカと目的地を目指す。
道中で、特に話すようなことは起こらなかった。しかし、車どおりが通常と比べて少ないといったことはなかったことを報告しておこう。大勢の<善良なるイワテケンミン>とともに我々は西へと進む。
目的の宿についたのはグリニッジ天文時で17:00ちょうどだった。夕食の予約をし忘れていた私たち。フロントで急遽頼めないか聞こうかと試みたが、困惑されてしまった。妻にたしなめられ、身を引く。温泉宿内に「21:00」まで空いている食堂があったので一安心だ、そう気づいた。しかし、その思いはのちに裏切られることになる。
部屋についたらこたつにくるまり、私は日々作成している動画づくり、妻は仕事のレポートに取り掛かる。この行為によって我々は文明に貢献している。岩手県の文明を保つことに貢献できることを私も妻も誇りに思っている。とはいえ、その点をことさらにアピールするようなはしたない真似は慎まなければならない。炬燵の中で自分の任務を終えた私は、パタリとノートPCを閉じた。
夕食の前には体を温めなければならない。そのためにはいつものあのスウプを飲むか、もしくは高濃度のアルカリを含んだ大地の恵み──温泉につからなければならないのだ♨。
そのあと風呂に使って、ともだちとライン通話して、寝た。
あ、さっきの悲劇は、コロナ対策のために20:30に食堂がしまってしまったので食堂に行く機会を逃して夕飯がカップラーメンになってしまったことっす。こんちわっす。