映画『偶然と想像』ネタバレ感想
このブログには俺の気持ちか映画の感想かしか、ほとんど書いていない。
それは、昨日のことを思い出すのが億劫だからだ。
今浮かんだことをそのまま画面にスパッタリングするだけならばらくちんだ。
でも、それって気持ちの整理にしか役立たない。
気持ちが整理できるという効能は他の何にも代えがたいのも確かだけれど。
『偶然と想像』を見た。
全体的に文芸っぽく、俺には合わなかった。合わないながらも文芸(それも現代の)においをこうしっかりと出せるのはすごいんだろうなーと想像はできるが。
外国映画だったらもっと素直に評価できたのかもしれない。
小説でやらないからこその価値があるのもわかるが、「わざと棒読み気味にして、セリフも書き言葉っぽくて……それなら小説でええやん」と思ってしまう。
最初の監督のあいさつで全然カメラに目線が向いていなくてシャイな人なんだろうなーと思った。別に得意でないなら、挨拶はなくていいのでは。みんなそんなに彼が好きか。【1】魔法(よりももっと不確か)
一番棒読みっぽく、不自然で奇妙な話。タクシーでつまらないのろけ話を聞かされて、「なんじゃこれダウ90000の漫才の女かえ」と思っていたら、それを聞いていた女がもっと悪だった。その元カレも最初は拒絶していたくせに悪魔に魅入られており、どうにも好きになれないやつばかりの話だ。
グッとカメラが寄って「想像」が明らかになるところはちょっとびっくりした。【2】扉は開けたままで
エロい話なので一番好きだ。でも、最後の部分いるかあ?とは思う。メールをご送信してしまったところで終わったら切れ味は全然違ったはず。でも、その発想は凡庸でもあるということか。まあ、最後に留年マンにキスした意味も全然分からんしな。
あと、そんな大事な音声を大学のメールに送ってくれという教授もうかつすぎる。堅物で浮世離れした人物だから、そのおっちょこちょいもキャラの内と言えばそうなんだが、大学のメールを私的利用すなよとも思うし。gmailを使いな。【3】もう一度
最終的な帰結とか、描きたかったものはいちばんわかりやすかった。それにほかの話に比べて嫌なやつがでてこないので、まだとっつきやすい。設定も「えー、そんなことになったら別の通信網を作ればいいだけでは?」とか「電車はしれんの?」「電気使えんの?」とかいろいろ気になるが、まあそれは短編だし。
あと、オタクの息子がリビングにフィギュア飾ってたのは気になったな。電車男のころのオタク感じゃないか。なんかまばらやし。
やはり、見た人の感想もFilmarksを総覧する限りわれているようだ。
散見されるのが「映画館で大きな笑い声が起こった」という感想。
俺はお笑いの事が好きだし、コメディ映画も好きだけれどそのような現場に出くわしたことはない。
これは、心象風景をあえて大げさに事実を書くことで表現しているのか、それとも本当に大笑いする空間も世の中にあるのか、俺の笑いの定義が、あるいはこの人々の笑いの定義が一般とは異なるのか、そのどれなんだろうか。
役者の古川琴音さんがかわいかったという意見もいくつか見たし、作中でファッションモデルの役もしているのでそういう扱いなのかもしれないが、かわいいだろうか。
それは、個人個人の好みだが、古くて燃えやすい羊皮紙のような表現を借りると、「カルチャー顔」だよなあと思う。
まあでも、それも含めて可愛いである。
俺は、かわいいとか人間の美に対する鑑賞眼がかなり劣っているのだ。
人間に興味がないし、おしゃれ嫌いだから。
だから、あまり自分の感性を信用しない方がいい。
と忠告する。
ジャングル系に再度感想を書こうか。
どうしようか。